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(2023年・第28号刊行)
Ⅳ 東京・沖縄・東アジア社会教育研究会(TOAFAEC)の歩み
●創立 1995年6月2日(東京)
*TOAFAEC通信(創刊号「ひろば」1995、「ニュース」第13号など)→■
●経過1(前史・背景、1976年~1994年)
東京学芸大学社会教育(小林)研究室を拠点に活動してきた次の3研究会を合体するかたちで発足した。1970年代後半から1990年代前半にかけてのスタートであった。
①沖縄社会教育研究会(1976~95年、研究会通算128回、沖縄調査・訪問53回、「沖縄社会教育史料」全7集、小林・平良編『民衆と社会教育-戦後沖縄社会教育史研究』1988年等の刊行)
*(1)1976~1986年の経過→■ (2)1986~1995年の経過→■
②留学生特別ゼミとして出発した社会教育「アジア・フォーラム」(1989~95年) →■
③社会教育研究室0B・OGを中心に断続的に開かれてきた学習会、東京「社会教育理論研究会」(1986~95年)、また学部学生による「月刊社会教育を読む会」も開かれてきた。同研究室では、これら研究会の周辺に中国語学習会(1984~95年)が毎週開かれ、また1992年頃より、韓国・社会教育研究会が随時(韓国訪問の前後)開かれてきた。
この間に海を越えて、中国(89,92,94,95)、台湾(89,90,94)、韓国(92,94,95)、タイ・シンガポール(93)等を訪問し、ささやかな調査活動に取り組み、研究交流の方向を模索してきた。
研究室の共同研究の成果として、同研究室より『東アジアの社会教育・成人教育法制』(1993年)、『東京の識字実践・1992』、『東京の識字実践・1994』(1992年~1995年)等を刊行した。
研究室メンバーは、留学生を含めて、ほぼ全員が共同のゼミ活動・編集作業に参加し、東アジアの視点から日本の社会教育をとらえていこうとする視角に関心をもち、論議を重ねてきた。
以上のような活動が、1995年6月2月、TOAFAEC が発足→■する背景であった。
●経過2(中国・韓国・台湾との研究交流、1995年~)
1995年6月以降は、和光大学社会教育(小林)研究室を拠点とし、毎月1回の定例研究会を重ねてきた。メンバーは(中心メンバーは別にして)かなり流動的、しかしその間に多くの留学生が参加してきた。研究会の記録(→■)は、TOAFAEC「通信」及びパソコン通信「南の風」(1998年2月以降→■)にほぼすべて記録されている。
その後、東アジア各地との交流・訪問活動が拡がっていく。2000年までに中国(96,97,98,99,2001)、台湾(96,97,2000)、韓国(96,97,99,2000)等への旅が続き、国際フォーラム等に参加してきた。
特記しておきたいこととして、1997年1月には台湾を訪問し、台湾師範大学・台北市政府教育局主催による生涯教育学術研究国際シンポジウムに招聘され学術研究交流をおこなった。また1997年夏には内モンゴルの民族教育・成人教育について調査活動・研究交流をおこなった。
中国との関係では、1990年代初頭より、とくに上海・成人教育関係機関(上海市第二教育学院、閘北区業余大学等)との研究・交流が始まった。さらに1998年11月には華東師範大学継続教育学院の招聘により上海を訪問し、研究提携の意向書を作成・交換した。それに基づき、99年11月には華東師範大学関係者(学長、継続教育学院長等)を日本(東京・神戸・福岡)に招き、その後も提携・親善の方向について協議がすすめられてきた。また1994年頃より広州関係者との交流が始まり、東京より講演に出かけ、あるいは広州よりの訪日団を迎えるなどしてきた。2001年4月~5月には上海より広州を訪問し、同年11月には広州市電視大学からの訪問団を受け入れた。
2001年10月には上海側の招聘に応じて訪中し、蘇州・無錫両市を含め「社区教育」を主要テーマに調査活動をおこなった。2002年7月には、上海からの調査団(団長・葉忠海氏)を招聘し、神戸・大阪・川崎・東京各自治体の社会教育機関の訪問交流が行われた。2001年調査については『中国上海・蘇州・無錫「社区教育」調査報告書』(東京・沖縄・東アジア社会教育研究会、佐賀大学文化教育学部、2002年)→■がまとめられている。
なお上海市閘北区業余大学(当時、その後「社区大学」→「行健職業学院」)との協同による日中合作学院の設立について協議が行われた経過がある。双方合意による同「意向書」「定款」(案)等も残されている(旧ホームページに収録→■)。しかし最終的に合作学院の構想は実らなかった。2001年5月以降、閘北区新社区大学(「行健職業学院」)内において「小林国際交流閲覧室」(大学図書館1階)が開設され、日本社会教育文献の展示等が行われてきた。→■
韓国との関係については、まず黄宗建氏との出会いから始まる(1980年→■)。TOAFAEC発足後では、1996年から日韓文化交流基金の助成を得て、4回の韓国訪問を行い、文解(識字)実践、図書館、社会福祉館等を訪問してきた。1999年4月には、韓国文解教育協会の招聘により訪韓、東アジア識字実践交流の課題について講演(小林→■)する機会があった。
2003年より『韓国の社会教育・平生教育』編集・刊行の企画がはじまり、同年秋、韓国側・編者の黄宗建氏が来日し、2004年には本格的に編集作業が進行した。同5月には韓国関係者との合同編集会議のため訪韓、あわせて富川・光明両市の施設を訪問、関係者との交流を行った(小林・伊藤・小田切)。2005年9月には韓国(第4回)平生学習フェスティバル国際シンポジウムに招聘され、日本の公民館を中心に報告(小林)した。2006年秋には我が国初めての『韓国の社会教育・生涯学習』(エイデル研究所)刊行が実現(→■)、これを大きな契機として、2007年初頭よりTOAFAECを母体に「韓国生涯学習研究フオーラム」が活動を開始し、韓国に向けての『日本の社会教育・生涯学習』(ソウル・学志社)の出版企画・編集作業→■が進行した。
その後さらに中国については、2004年11月上海で開かれた社区教育に関する国際シンポに参加・報告(上野・内田・岩本・黄丹青)、同12月には福建省の生涯教育に関する国際シンポジウム、続いて北京で開かれた中国成人教育協会年次大会に参加・講演した(小林・末本)。2005年10月には烟台、上海、杭州を訪問・交流した。とくに上海成人教育関係者や華東師範大学等との研究交流が継続的に進められ、上海において出版活動が取り組まれた(後述)。これらを背景として「中国生涯学習研究フオーラム」の発足(2008年12月)があり、2009年3月には上海市社区教育調査が行われ、同研究フオーラムの新しい一歩を踏み出した。→■
台湾との研究交流については、1997年の台湾師範大学・台北市教育局からの招聘に始まり→■、間断を含みつつ、2005年5月に「東アジア社会教育研究」(第10号)編集・取材の目的をもって訪問(小林・内田等)、さらに2006年~2009年にかけて、「東アジア社会教育研究」編集・発行とも関連して台湾訪問(内田)を重ねてきた。→■
●経過3(沖縄社会教育研究、1995年~)
*<前史>戦後沖縄社会教育研究会(1976~1986)→■ 同(1986~1995)→■
沖縄社会教育研究会は、1995年以降はTOAFAECに発展的に継承され、
継続的に定例研究会を開催してきた。1998年春より、本格的に沖縄研究(第2サイクル)を再開することとなり、文部省科学研究費(3年間)の助成を得て、研究メンバーにより課題を分担し、沖縄本島、宮古、八重山(与那国)の地域史調査に取り組んできた。研究成果として、1999年3月に「沖縄社会教育の地域史研究」(第1集)を、2000年2月に同第2集、2001年3月に同第3集ならびに合本を刊行した(いずれも和光大学・小林研究室刊)。
2002年7月には、これまでの蓄積をもとに、第42回社会教育研究全国集会・名護集会に向けて『おきなわの社会教育』(小林・島袋編、エイデル研究所)が出版された。→■
なお2002年度は、新たに九州大学・松田武雄を研究代表とする文部科学省科学研究費補助による沖縄研究がスタートし、研究報告として「沖縄の字(集落)公民館研究」第1~3集(九州大学、2003~2005年)がまとめられている。さらに、次の段階に向けての沖縄研究(たとえば沖縄青年運動史研究・証言収集→■ 竹富島調査等→■、やんばる対談等)が山城千秋・小林文人等によって進行中である。→■
なお「沖縄社会教育研究会」は創設の一時期「戦後沖縄社会教育研究会」と称した経過がある。平仮名による「おきなわ社会教育研究会」は、那覇を中心に1977年より活動してきた沖縄関係者の研究会、東京の研究会とは姉妹関係にある。
●経過4(年報「東アジア社会教育研究」等刊行、1996年~。出版活動-中国・韓国)
沖縄・東アジアの社会教育研究について、研究年報『東アジア社会教育研究』が毎年刊行(1996年創刊されてきた。年報としての発行が軌道にのっている。本ホームページ(また各号末尾)に編集方針、編集委員会、編集経過、目次一覧等が掲載している→■。第10号までの歩みを基礎に、編集体制など第2サイクルへの新たな発展があり、第12号より特集企画が組まれるようになった。この経過には、沖縄研究だけでなく、韓国・中国・台湾についての研究交流fが少しずつ拡大してきたことが背景にある。
発行経費については、創刊から7号までは個人的負担に頼ってきたが、2003年度より規約改正により第8条に「維持会員」制度を設けることとなった。当初は事務局メンバーを含めて少人数(10人余)であったが、幸いに年を追うごとにメンバーが拡大してきている(上掲、2014年・25名+1団体)。
加えて2003年度より、中国・韓国ともに新たな研究・出版活動が胎動してきた。2003年秋には上海において『現代社区教育の展望』(小林文人・末本誠・呉遵民編、上海教育出版社)が刊行された(→■)。さらにその姉妹編『現代生涯学習論ー生涯学習社会への架橋』(同出版社)が2008年秋に出版された。
韓国については、上記のように2003年以降、日本語による初めての本格的な出版構想がすすめられ、2006年10月『韓国の社会教育・生涯学習-市民社会の創造に向けて』(黄宗建・小林文人・伊藤長和共編、エイデル研究所)が刊行された(→■) 2007年以降は、さらに韓国に向けて『日本の社会教育・生涯学習』出版が企画され、2010年秋にソウル・学志社による刊行が実現した。→■ さらに同書を底本にして国内向け2013年『日本の社会教育・生涯学習-新しい時代へ向けて』(大学教育出版)が刊行された。
●経過5(定例研究会の開催、1995年~2013年~) *歩み→■
1995年6月のTOAFAEC発足以来、ほぼ毎月1回の定例研究会が開催されてきた。2009年5月、第150回記念研究会を「東アジア社会教育・生涯学習法制」をテーマに開催し、東アジア研究交流委員会(下記)を結成する契機となった。同記録は研究年報「東アジア社会教育研究」第15号(2009年)特集としてまとめられた。毎回の定例研究会の案内及び記録は、TOAFAEC「通信」「南の風」に掲載されてきたが、すべての記録を本ホームページに収録している。→■ 定例研究会は2013年11月をもって200回を迎え、さらにその後も継続されている。
●経過6(新運営体制の発足、2006年~)
2006年総会において、TOAFAEC代表・小林文人は顧問となり、新代表は末本誠(神戸大学)に交代した。新運営体制は、末本代表のもと、副代表:伊藤長和(川崎市生教育委員会)、島袋正敏(元名護市博物館・図書館長)、2010年より上野景三(佐賀大学)となり、常任委員12名、事務局長:石倉裕志を経て遠藤輝喜(渋谷区教育委員会)、会計:山口真理子(調布市立図書館)の体制となった。→■
研究年報「東アジア社会教育研究」編集委員会は、編集長・小林より2008年度において内田純一(高知大学)へ交代し、新しい体制による編集・刊行が取り組まれてきた。創刊以来、編集委員会代表であった小林文人は、同顧問となった。2012年・第17号より編集長は上野景三(佐賀大学)が担当し、さらに第20号は内田純一が再び担当している。
●経過7(東アジア研究交流委員会の胎動、2009年~)
TOAFAEC活動を母体として、2007年初頭に「韓国生涯学習研究フオーラム→■」が、2008年末に「中国生涯学習研究フオーラム→■」が発足した。さらに両者をつなぐかたちで2009年5月「東アジア研究交流委員会」を結成する動きとなり、準備段階をへて、同6月に第1回交流委員会(代表・石井山竜平、事務局長・上田孝典)が開催された。社会教育・生涯学習に関わる東アジア各国・地域を結ぶ研究交流の取り組みが始まっている。→■ 東アジア研究交流委員会による中国・韓国との三国間研究交流は、三国トライアングルによる国際学術フォーラムへと結実し、2010年11月に上海において第1回大会が盛大に開催された。2012年に韓国、2014年には日本、その中間年にも準備集会が開かれる予定であった。→■ しかし日中韓の国際的関係の悪化を背景として、その後は「東アジア」研究交流は低調となり、三国間学術フォーラム大会も中止されている。
●経過8(2011年以降の動き)
2011年:3月11日・東日本大震災発生。東アジア社会教育研究交流委員会として緊急報告を福建省「終身教育」誌(2011年2~3号)に寄稿→■。日本語本文はTOAFAEC年報第16号→■に収録した。第16号特集として「東アジア研究交流の新しい地平・TOAFAEC活動の歩みを通して・理論的課題」をまとめている→■。
2012年:年報「東アジア社会教育研究」編集委員会は、新編集長として上野景三(佐賀大学)を迎え、「東アジアの社会教育・生涯学習を担う専門職と市民」を特集として第17号が刊行された。→■ この間、東京社会教育史研究の課題が論議され、第187回(9月定例)研究会において新しく東京社会教育史研究フォーラムが発足した。代表に小林文人、事務局長に斉藤真哉(板橋区)、資料収集・研究分析につとめ、3~4年後をめざして『東京社会教育史』(仮題)1冊にまとめる構想が動き始めた。→■
2013年:運営体制は変わらず引き続き順調に活動が継続されてきた。年報は編集長・上野景三、副編集長・江頭晃子が引き続き担当。会計・山口真理子の努力により、財政的にも堅調である。事務局体制は(本務多忙のため)充分に機能していない。東京社会教育史の出版に向けての取り組みは大きく前進した。11月に定例研究会は18年の歳月を歩み、記念すべき200回を迎えた。→■
2014年:2月16日・副代表・伊藤長和氏が逝去→■。 4月20日に川崎で「偲ぶ会」、5月30日にTOAFAECとして「追悼・伊藤さんを語る」集い(定例研究会)が開かれた。年報19号にも追悼記事を掲載。6月(2014年)総会では「常任委員」のうち海外(台湾、上海、広州、韓国)4氏を「顧問」へ、若い世代の参加により、活性化をめざす→■。4月『東京社会教育の歩み』(仮題)出版企画がまとまり、約40人に執筆依頼が進められ、執筆進行中である。→■
2015年:6月6日・総会により、代表は末本誠より新しく上野景三へ交代、副代表は島袋正敏(他は空席)、従来の役員体制により第11期がスタートした。創設から20年を迎えた年、これまでのあり方を脱皮する方向が求められることとなった。維持会員会費(2万円)を1口1万円に規約改正→■、年報の安定発行のため2口会員の継続を期待しつつ、新たに維持(1口)会員を拡大する方向が課題となった。
2016年:6月4日・総会により事務局体制の拡充をはかり、新事務局長は山口真理子(会計兼務)、同次長を遠藤輝喜(前事務局長)が担当することとなった。→■ 8月25日、東京社会教育史研究フォーラムによる『大都市・東京の社会教育―歴史と現在』(エイデル研究所)が出版された。→■ 10月定例(第232回)研究会において年報22号(2017年度)の編集体制が協議され、小林編集長が復活することとなった。
▼2016総会・懇親会 -東京・高輪、20160604-
号
2017年:TOAFAEC 運営体制の課題であった副代表の充実が実現した。沖縄からの島袋正敏に加えて、小田切督剛(韓国生涯学習研究フォーラム) 黄丹青(中国生涯学習研究フォーラム) 齋藤真哉(東京社会教育史研究フォーラム)の3氏が新しく就任した(2017総会)。4年越しの作業がみのって、韓国生涯学習研究フォーラムは『躍動する韓国の生涯学習―市民・地域・学び』を出版した(エイデル研究所)→■。 2006年.の韓国本刊行10年余にして、韓国生涯学習研究フォーラムは日韓両国に4冊の本を世に送り出したことになる。9月18日・年報22号が刊行された。
2018年 年報刊行へ向けて新編集委員会が始動、編集長・李正連(東京大学)のもと、年報第23号が発行された。6月2日総会が開かれ→■。規約1条改正により、事務局を和光大学から移し、東京大学・李正連研究室におくこととなった。運営役員・編集委員会の構成はほぼ前年度を踏襲しているが、実務体制を強化して形式化を避ける努力を重ねてきた。この間、東アジア・フォーラムは、2010(上海)、2016(同)、2017(日本佐賀)と開かれてきたが、2018年(第4回)は韓国・公州を中心に開催された→■。沖縄社会教育研究フオーラムは、やんばる対談(1~11回)記録を「やんばるの地域活動と社会教育」としてまとめ、あわせて「戦後沖縄青年団運動の証言」を刊行した→■。
2019~20年→■TOAFAEC・2019ー2020年 活動記録
2021~23年(進行中・別ページ)→■TOAFAEC・2021・22~活動記録
●TOAFAEC事務局(2003年~)
TOAFAECの出版物、関連図書・資料、年報編集委員会・定例研究会等のお問い合わせ・諸連絡
事務局・連絡先→■, 事務局コーナー■
●通信「南の風」1998年~→■(小林文人発行、4311号終刊・2022年)
新TOAFAEC通信(山口真理子発行、2022年~進行中)→■
ホームページ(http://www.bunjin-k.net/)→■、運営:小林文人 kob@js4.so-net.ne.jp
●2023年東アジア名護フオーラム→■
▼2023年総会(6月3日)
▼2024年TOAFAEC総会(5月31日)