JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「磁気テープのイメージ古くないですか・・」



いよいよ9月20日から日本でラグビーワールドカップが開催されます。 ラグビーというと、試合中に倒れた選手に大きなやかんの水を頭からかけると復活するという根性のスポーツというイメージがあるのですが、現在のラグビーは大きく様変わりしているようです。試合や練習の映像を分析し、選手の動きをトラッキングするスポーツパフォーマンス分析が当たり前のように行われています。また、GPS端末を試合や練習時に着用し、走行時の速度、加速度、衝撃、身体の傾き、走行距離を計算することで、通常の選手のパフォーマンスだけではなく、その時の状態、けがなどの可能性なども予測できるようです。
ここでも映像データやその活用が重要になっているのですね。コンタクトスポーツで体力勝負的なイメージですが、ち密に計算されたスポーツになっているのですね。
以前に記憶した古いイメージというのはなかなかぬぐえないものです。今回は磁気テープの古いイメージと近年の状況についてお話しします。

磁気テープについてのイメージでよく聞くのは "定期的に巻き直しが必要だよね"とか、"テープがぐちゃぐちゃになって読めなくなったりしないの" などです。以前にテープを使われていて、そのような経験をしたり、話を聞いたりしてそのような印象を持っている方も少なくないようです。 実際に最新の磁気テープの紹介をしていても、その様な質問をされる方がいらっしゃいます。 以前のテープの取り扱い方の注意書きなどで、"時々巻き直してください" と書いてあったのは、長時間巻いたままにしておくと張り付いて走行しなくなるとか、磁性層が剝がれてしまうことを避けるためだったのですが、現在使われている大量のデータを安価にストレージできる高性能なテープストレージシステム用の磁気テープでは巻いたままで置いていてもそのようなことは起きないのです。

磁気テープは、ナノサイズの微粒子磁性粉を接着剤となるポリマーと一緒に混ぜポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの上にサブミクロンの厚みで塗って作っています。過去に使用していたポリマーは、通常の使用環境を超えた非常に高い温度や高い湿度の環境で長期間放置しておくと分解反応を起こすことがあり、劣化して粘着性が出てきて張り付いてしまうことがありました。それを防ぐために定期的に巻き直すことが推奨されていたのです。LTOテープでは、例えば、水回りのような温度や湿度が高い環境でも分解反応をおこしにくいポリマーを使用しています。そのため、ほとんど劣化することがなく長時間置いておいても張り付いたりすることはなくなっています。
"定期的に巻き直しが必要だよね" というのは古いイメージです。現在は長期間保存するときでも定期的な巻き直しなどしなくても、いつでもすぐに使えるようになっています。
実際に55℃80RH%という環境中で一カ月以上保存しても、全く問題ないというデータがあります。
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20130617102525_XwG0sm45iu.pdf

また、これまで家庭で使われていたオーディオ用やビデオ用の磁気テープは、好きなところから音楽を聴いたり、繋ぎ撮りをしたりできるようにテープを途中まで使用した状態で取り扱いできるように2つのリールを持ったカートリッジが主流でした。そのために、テープの一部が外に出る構造になっていました。誤ってテープに指などが触れてしまいその部分が汚れたり、何かのきっかけで折れたりたるんだりしてしわが入ってしまったりすることがありました。LTOテープカートリッジは、リールがひとつだけの構造でテープは完全に格納されています。記録再生装置に入って初めてテープがカートリッジから引き出されてきます。そのためカートリッジを取り扱う途中で誤ってテープに触れたり、テープが折れてしまったりすることはありません。
ナノオーダーの技術を集めた最新の磁気テープでは、最先端の技術が使われていて、古いイメージとは全く異なる性能を持っています。
磁気テープシステムには高容量、高転送レート、省電力という特長があります。
皆さん、古いイメージにとらわれることなく、是非磁気テープを手に取ってみてください。
大切なデータを長期間の保存をする場合は、JIS Z 6019に従った保存環境にすることをお勧めします。
詳細につきましては以下サイトをご覧ください。
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20190716154136_QizWkNZ1oH.pdf


一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

 

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