JEITA磁気記録媒体標準化専門委員会コラム 「テープオートメーション その2」

■ オートローダとライブラリ
現在、テープオートメーション製品の名称として「オートローダ」と「ライブラリ」が存在します。この違いはなんでしょう。
オートローダは、比較的小型の装置で、スロット数は多くとも20巻程度であり、搭載ドライブは1台というのが以前用いられていた定義でした。この場合、ドライブはフルハイト(高さ)です。ドライブがハーフハイト(高さ)のタイプのとき、フルハイトの半分の大きさ(高さ)であるため、物理的にハーフハイトのドライブでは2台格納可能です。そしてそのハーフハイト・ドライブ2台が機能することがサポートされているときには、最大2台のドライブが搭載できることになります。現在では、オートローダ製品の定義としては、ハーフハイト・ドライブの最大搭載台数が2台(フルハイト・ドライブの場合は1台)でスロット数が20巻以下というのが妥当のようです。使用環境は、小規模システムや部門のバックアップであり、複雑な環境で使われることはほとんどありません。それに対して、ライブラリは複数台数のフルハイトのドライブが搭載できる製品で、スロット数もかなり多く、多いもので数千巻を越える製品があります。ライブラリは種類も多く、スロット数が20巻程度のエントリークラス、4~5百巻程度のミッドレンジクラス、さらには数千巻以上のエンタープライズクラスが存在します。大型のライブラリは、SAN環境内で複数サーバーからの共有やメインフレームとオープン系システムで共有されることも多くなります。

■ ライブラリの拡張性
データ増加傾向は相変わらずです。バックアップするデータ容量も当然ながら増加します。そのため、数年先のデータ量を予測してライブラリのサイズ(容量など)を決めて導入しなければなりません。しかし、データ増加の予測が難しいことやコスト面から最初から大きなサイズのライブラリの導入は困難です。そのためライブラリにもデータ増加への対応と初期投資抑制のニーズへの対応が求められます。つまり、拡張性が必要なのです。
ライブラリでは、ドライブとスロット数の拡張をどのように行っているのでしょうか。
まず、ドライブ搭載台数とスロット数の拡張がライブラリ筐体内のみとなるものがあります。このタイプではライブラリー筐体を越えた拡張はできません。
次に、拡張要求が筐体内部での拡張では済まなくなったとき、筐体を連結してドライブ台数やスロット数を増加させることが可能なタイプがあります。このタイプには、筐体を水平方向に連結して拡張するタイプと垂直方向に連結して拡張するタイプがあります。
OS/アプリケーションからは、複数のライブラリー筐体を連結した全体は、1台のライブラリー・システムとして認識されます。
水平方向への連結拡張は、床に設置する機種に多く見られ、垂直方向への連結拡張は、ラックに搭載される機種に多く見うけられます。
拡張性といえば、ミッドレンジ以上のクラスの製品でしたが、最近エントリークラスでも拡張性をもつ製品も現れてきました。

■ まとめ
上記は、テープオートメーションの説明の一部です。実際は、もっと豊富な機能が搭載されています。監視・管理機能、物理的に一台のライブラリを複数台のライブラリとして運用する論理ライブラリ(パーティショニング)機能、ドライブの暗号化を支援するキー管理機能などです。

ライブラリは、長期のデータ保護やアーカイブ先としてテープメディアを対象とするとき、ディスクベースのバックアップ(NASやVTL)のバックエンドとして接続されることも多くなっています。テープオートメーションは、今後も自動化をささえるために、進化と発展を続けています。