■特集 クマの生物学─多様な進化と生態 本特集では,日本列島に生息するヒグマとツキノワグマを中心に,クマの生物学的特徴を 紹介する。 その2種を含め世界に生息するクマは8種。 クマ類の主な特徴は,ベルクマンの規則に従って進化してきたこと,食肉目でありながら 雑食性や草食性が強いこと,大型獣なのに冬眠する種がいることなどである。 ジャイアントバンダも不思議な特徴を持つクマである。 また,クマがヒトの精神文化に深い関係を持っていることも神秘的である。 巻頭グラビア クマ全8種/クマ7種の世界分布(IUCN) 特集-総論 クマの生物学─進化から文化まで 増田 隆一(北海道大学) 特集-1 ヒグマの遺伝と移動の歴史 ─ 北半球でのはるかなる旅 増田 隆一(北海道大学) 特集-2 ツキノワグマの遺伝学的研究 ─ 個体数減少と大量出没の狭間で 大西 尚樹(森林総合研究所) 特集-3 ヒグマの食性─個体差と環境変動への応答 松林 順(福井県立大学) 特集-4 クマは植物にとって望ましい種子散布者であるのか? ─ 森を維持するクマの役割 小池 伸介(東京農工大学) 特集-5 クマ類の冬眠と身体適応性 ─ 寝たきりにはならないクマ類の冬眠 宮崎 充功(広島大学)/下鶴 倫人(北海道大学) 特集-6 ヒグマの匂いコミュニケーション ─ 背部臭腺に着目して 冨安 洵平(帯広畜産大学) ■寄稿-------------------- 特別寄稿 miRNAの発見と機能,そして今後の展開 ─ 2024年ノーベル生理学・医学賞受賞に寄せて 塩見 美喜子(東京大学) ■連載-------------------- 日本列島の多様な淡水生物〜その進化と保全 横浜市におけるムカシツチガエル保全の取り組み ─ 生息域外保全と, 地域と連携した試験放野 尾形 光昭(横浜市繁殖センター) 実験観察の勘どころ ネギボウズを用いた減数分裂の観察実験方法 永井 良介/仁科 美奈子(埼玉県立松山高等学校) 高校生物・ワクワク宣言!! 生物部の好奇心は止まらない! 立石 紀子(静岡県立磐田南高校) シゴト×セイブツ [第15回]臨床心理の専門家に活かされる生物学的な考え プレゼンター:道上 達男(東京大学)