■特集 家畜のルーツを世界に探る〜在来家畜の研究最前線 私たち人類は野生動物を家畜化し,その利用によって生活の向上と文化の発展を遂げて きた。 家畜はそれぞれの家畜化センターから,さまざまな地域に適応しながら世界各地へ伝播・ 拡大していった。 また現在においても,家畜化が試みられている動物種も存在する。 本号では家畜,特に在来家畜に対するこれまでの研究動向,遺伝学的解析から得られた 最近の興味深い知見,現在家畜化を試みられている動物種について紹介したい。 特集-総論 在来家畜とは何か ─ その意味と意義 山本 義雄(広島大学) 特集-1 ゲノム情報から解き明かす和牛の遺伝構造と伝播経路 ─ ゲノム上に記された和牛のルーツ 万年 英之(神戸大学) 特集-2 家畜ヤギの伝播経路と海洋伝播による遺伝子流入 ─ ヤギは世界へどう伝わったか 増子 諒/万年 英之(神戸大学) 特集-3 イノシシの多元的家畜化とブタの世界伝搬から品種分化へ 西堀 正英(広島大学)/黒澤 弥悦(元・東京農業大学) 特集-4 ゲノムに刻まれた鶏の来た道 ─ その起源と世界伝播 米澤 隆弘(広島大学) 特集-5 アジア在来馬の研究から見えてきたこと ─ ウマのゲノムと人類の歴史 国枝 哲夫(岡山大学) 特集-6 ガーナにおけるグラスカッター家畜化の試み ─ 野生動物保全と食料確保の決め手になるか? 村山 美穂(京都大学)/小出 剛(国立遺伝学研究所) ■寄稿-------------------- 特別寄稿 低カドミウム吸収米の開発物語 ─ 「あきたこまちR」に至るまで 中西 啓仁(東京大学) 特別寄稿 作物の品種改良とイオンビーム育種 小林 泰彦(食のコミュニケーション円卓会議) ■連載-------------------- 実験観察の勘どころ 染色体観察におけるタマネギの活用情報 ─ 簡易染色法とともに 重井 ゆき(株式会社ナリカ)/半本 秀博(放送大学埼玉学習センター) 高校生物・ワクワク宣言!! 北嵯峨田園地帯に魅せられて ─ 北嵯峨高校生物部26年の歩みを経て 木戸 淑裕(京都府立北嵯峨高等学校) 日本列島の多様な淡水生物〜その進化と保全 メダカの生活史の多様性と原因遺伝子の探索 ─ 青森と沖縄, 環境の違いがもたらす生活史の進化 藤本 真悟(琉球大学) 植物を集める!! 第21回─「植物標本」にスポットライトを当てる! 長田 敏行(東京大学名誉教授,法政大学名誉教授)