導入の経緯
近年、国産大豆の作付面積は拡大基調にあるものの、年産ごとの作柄変動が大きく、生産は必ずしも安定していません。一方、消費者の国産志向の高まりを受け、国産大豆の加工品向け需要は年々増加しています。
このような需給状況のもと、平成25年産及び26年産大豆に大幅な価格変動が発生し、実需者から安定的な数量、価格による供給が強く要請されるようになってきました。一方、産地においても、担い手への農地利用集積が進み、大豆が経営の中核的作物として重要性を増すなか、増産に見合う安定的な販売先を確保することが重要となっています。
このような課題を踏まえ、農林水産省の主催により平成27年11月から「国産大豆の安定取引に関する懇談会」が開催され、翌年2月に公表された同懇談会とりまとめにおいて、次のような提言がなされました。
①実需者サイドにあっては予め原料コストを的確に見込んだ商品生産計画、生産者サイドにあっては経営安定化に資する農業経営計画の樹立に役立つよう、国産大豆の入札取引について、現行の収穫後入札取引(概要についてはこちらへ)に加え、新たに播種前入札取引を導入すべき
②播種前入札取引は、平成29年産による試験導入を経て、平成30年産から本格実施を目指すべき
③播種前入札取引の具体的実施方法については、大豆入札取引委員会(公益財団法人日本特産農産物協会の専門委員会)において検討すべき
これらの提言を受け、当協会では、大豆入札取引委員会のもとに関係業界の実務精通者及び学識経験者からなる作業部会を設置し、専門技術的観点から播種前入札取引の基本的な仕組みに関する検討を行ったうえ、その結果を踏まえ、大豆入札取引委員会において具体的実施方法に関する検討を行い、平成28年12月に運用ルールを定めた「大豆の播種前入札取引に係る業務規程」を制定するに至りました。
播種前入札取引の概要
- ●売り手:大豆の生産者団体又は集荷業者団体(収穫後入札取引とは別に、年産ごとに取引開始前に協会に登録)
- ●買い手:大豆販売業者(以下「問屋等」という。)若しくは大豆加工品製造業者(以下「加工業者」という。)又は
これが組織する団体(収穫後入札取引とは別に、年産ごとに取引開始前に協会に登録)
[特記事項]
実需の裏付けのない入札取引(いわゆる思惑買い)が行われないよう、問屋等が登録申請する場合は、落札大豆販売予定の
加工業者リストの提出を義務付け - ●取引対象大豆:農産物検査法に基づく農産物検査において産地品種銘柄として認証され、かつ、普通大豆1~3等又は特定加工用
大豆合格の品位に適合し、販売されることが見込まれる国産大豆 - ●上場銘柄:売り手ごとに当該年産の生産見込み数量が1,700トン以上の産地品種銘柄(産地を複数地域に区分した上場、
1,700トン未満の産地品種銘柄の任意上場も可能) - ●上場数量目標:上場産地品種銘柄ごとに当該年産の生産見込み数量の10分の1以上(任意上場産地品種銘柄は任意の数量)
- ●上場単位:1口を9.9トン(165俵(1俵:60kg))とする口数を単位として、産地品種銘柄等区分ごとに一括して上場
- ●入札実施時期・回数:毎年4月下旬に1回
- ●入札取引実施手順:
- ①入札取引実施日程
- 協会は毎年3月中に買い手への上場情報提示期限及び入札実施日を公表(協会HPに掲載)
- ②売り手からの上場申し出
- 売り手は協会に対し買い手への上場情報提示期限の7日前までに上場申し出を行い、上場産地品種銘柄等区分ごとに、粒、品位
(等級の範囲)、上場数量(口数)、受渡し時の等級指定の可否及び指定の対価額等を提示するとともに、上場産地品種銘柄別
の当年産作付意向面積及び生産見込み数量、前年産生産実績等に関するデータを提供
[特記事項]
播種前入札では、上場時点で現物が存在せず作柄変動も予想されることから、大粒・中粒品種は「大粒」、小粒・極小粒品種は
「小粒」に限定して上場し、品位については「特定加工用大豆以上」、「普通大豆3等以上」等と範囲を示して上場 - ③買い手への上場情報の提示
- 協会は売り手からの上場申し出に基づいて上場情報書、入札票及び入札時の判断材料となる参考資料を作成し、上場情報提示期限
(4月上旬)までに買い手登録者に送付 - ④買受け申込み関係書類の提出
- 買い手登録者が問屋等である場合に限っては、落札大豆販売予定先加工業者から受領した買受け申込み関係書面(買付委託書)
の写しを、入札実施日の7日前までに協会に提出 - ⑤入札保証金の預託
- 買い手は入札申込みに先立ち、協会に入札予定総額の10分の1以上相当額の入札保証金を預託
- ⑥入札申込み
- 買い手は入札実施日(4月下旬)に、購入希望産地品種銘柄等区分ごとの入札数量(1口以上、上場口数以下で設定)、入札価格
(60㎏当たり単価)を設定し、入札票に記入して協会にファックス送信
入札総額は入札保証金の10倍以内(超過した場合、当該入札申込みは全て無効)
入札者は入札口数に応じて入札手数料(1口当たり330円)を負担(入札保証金返還時に差し引いて徴収)
[特記事項]
問屋等の買い手登録者が入札する場合は、入札票に販売予定先を明記して入札(販売予定先が複数の場合は別葉の入札票で入札し、
産地品種銘柄等区分ごとの入札申込み口数は入札票ごとに1口以上、上場口数以下) - ⑦落札者・落札価格の決定
- 協会は買い手の入札申込み内容を整理したうえ、落札処理を行い、取引監視委員会の審議を経たうえ、産地品種銘柄等区分ごと
に落札者及び落札者別の落札価格を決定(落札者は産地品種銘柄等区分ごとに売り手が設定した落札下限価格以上の入札者の中から
上場総口数の範囲で高い入札価格の者から順次決定、落札価格は落札者ごとの入札価格) - ⑧入札の結果に関する通知
- 協会は売り手、買い手(入札者)に対し入札結果(入札のあった産地品種銘柄等区分別の落札・不落札・無効の別、落札数量
(口数)及び落札価格)をファクスで通知 - ⑨播種前売買契約の締結
- 売り手は、入札結果通知受領後、買い手(落札者)と協議して落札大豆に係る受渡し時期、品位指定の有無等の条件を決定した
うえ、落札者あてに播種前売買契約書を送付し、入札年の6月末までに契約を締結
[特記事項]
問屋等の買い手登録者が落札した場合は、売り手、買い手に落札大豆販売先加工業者を含めた3者契約とする必要あり - ⑩入札保証金の返還及び帰属
- 協会は入札者のうち非落札者に対しては入取引完了後(5月初旬)、落札者に対しては播種前売買契約締結期限経過後(7月初旬)に
入札保証金を返還(返還額は入札手数料を差し引いた額)
買い手(落札者)が期限までに播種前売買契約を締結しなかった場合、入札保証金のうち落札金額の10%相当額は協会及び
売り手に帰属 - ⑪確定売買契約の締結
- 売り手及び買い手は、受渡し可能な大豆が入庫された後、入札年の翌年の5月末までの間に、受渡し大豆の具体的等級、受渡し
場所・期限等の詳細売買条件を協議・決定し、確定売買契約を締結
[特記事項]
受渡期限は、確定売買契約締結日から2か月以内で設定 - ⑫代金決済及び受渡し
- 買い手は受渡期限までに代金決済を行うとともに売り手に対し受渡指図書の発行を依頼したうえ、落札ロットに係る受渡倉庫に
出向き、受渡指図書との引き換えで落札大豆を引取り
- ●入札実施結果の公表:協会は産地品種銘柄別に落札数量及び平均落札価格を算定し、入札年の4月末に公表(協会HPに掲載)
[特記事項]
公表された産地品種銘柄別平均落札価格は、入札取引以外の播種前に価格を決定する取引を行う際の参考価格として活用 - ●売り手・買い手の負担:播種前入札取引及び同取引で形成された価格を参考として売買価格を決定したその他の取引について、
売り手、買い手とも1俵(60kg)当たり1円を大豆入札取引運営拠出金として協会に拠出(買い手分は売り手が代金に上乗せして徴収)
するとともに、売り手は上場数量、買い手は入札数量に応じて入札手数料を負担
播種前入札取引のルール
令和6年産大豆播種前入札取引新規登録申請の受付について
国産大豆の播種前入札取引の本格実施に係る説明会(平成30年1月~2月に実施)
- 開催案内
- 参加申込書・
- 配布資料
- 資料1 国産大豆の播種前入札取引について
- 資料2 平成29年産大豆の播種前入札取引(試験導入)の実施結果
- 資料3 平成29年産大豆の集荷見込み(12月末速報値)について
- 資料4-1 播種前入札取引の実施手順等について
- 資料4-2 大豆の播種前入札取引に係る買い手登録者遵守事項
- 資料5-1 播種前入札取引による平成○○年産大豆に関する契約書(案)
- 資料5-2 平成30年産播種前入札取引における上場予定銘柄(全農上場分)
- 参考 大豆の播種前入札取引に係るQ&A