JEITA磁気記録媒体標準化専門委員会コラム 「テープオートメーション その1」

■テープオートメーションの必要性
SAN/LAN環境における複数サーバーにアクセスする環境でのデータ・バックアップ。データは大容量となり、テープカートリッジの交換が必要でバックアップ自体も長時間かかることになります。そこでは、バックアップを統合化し、無人化・自動化したいという要求が出てきます。テープストレージの世界でバックアップの統合や自動化のニーズにマッチするのがテープオートメーションといわれる製品です。
各種のバックアップ・アプリケーションを使用して、スケジューリング、カートリッジの外部保管、集中管理が一般的となり、テープオートメーションによるバックアップの自動化・統合が可能となっています。誤ったメデイアの使用やバックアップのし忘れなど、人為的なミスからの回避、単純作業からスタッフを解放するなど、バックアップ運用の効率化には必須の装置です。
最近では、ILM(Information Lifecycle Management)の概念に基づいたデータ運用のアーカイブ先としてテープストレージを用いるときにも、テープオートメーションの自動機構が有用となりつつあります。

■現在のテープオートメーションの基本構造

では、テープオートメーションの基本構造はどのようなものでしょうか。
テープオートメーションの筐体内部に複数のテープカートリッジを格納し、テープカートリッジを自動で入れ替える機構を備えています。
主な構成要素は以下となります。

データのリード・ライトを行うテープドライブ
テープカートリッジを並べて格納するスロット(別名セル)
カートリッジをドライブとスロット間等で移動するロボット機構(カートリッジを掴むロボットハンドを含みます)
ロボットをコントロールする制御回路(ロボットコンローラ)
サーバー等からのデータ入出力をつかさどるI/Oインターフェース
カートリッジの出し入れ専用に使われるメール・スロット(別名Import/Exportスロット、I/Oスロット、カートリッジ・アクセスポートなど)
装置の設定や状態を監視できる、監視・管理インターフェース(タッチパネルやPCなどのブラウザを使用)

このような基本構成でバックアップなどの自動化を支えています。
次号では、オートローダーとライブラリの違い、ライブラリの拡張性について解説します。




(社)電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
日本クアンタムストレージ(株) 吉岡 雄