JEITAテープストレージ専門委員会コラム「米国データセンタの最新事情1」

現代のデータセンターではテープストレージはやはり欠かすことのできないものになりつつあるようです。今回は、それを米国の記事、レポートから検証して行きたいと思います。


検証 その1:テープの普及度はまだまだ高い

2009年3月にリリースされたInfoStorの年間購読者調査によると、調査対象者のおよそ75%がテープのみ、もしくはバックアップリカバリーの一次ストレージとして使用していることがわかりました。 何でも新しいテクノロジーを使いたがるイメージの米国ですが、テープはいまだバックアップでは主流のテクノロジーなのですね。


検証 その2:ディスクのみのユーザーがテープの導入を始める

2008年第4四半期に米国の中規模の会社のネットワーク管理/技術部門の200人に対して調査を行ったFleishman Hillardのレポートによると、ディスクのみ使用しているユーザーの約2/3が今後テープの導入を検討しているという結果が出ました。 またテープのみを使用しているユーザーの40%が今後もテープに投資すると回答しています。 この結果からは、ディスク単独で全てのデータ保護の要求を満たすことが困難であると考えているユーザーが多数を占めていると考えられます。


検証 その3:2008年のテープ市場は$3.47bn (3,500億円以上)!

2008年のテープドライブとテープオートメーションの売り上げは約$3.47bn(ビリオン・ドル)(3,500億円以上)であり、現在でも非常に大きな規模であることは変わりません。


検証 その4:テープメディアの総出荷容量は3000ペタバイト以上!

年々増加するデータ量に対する低コストストレージの要求の高まりは、テープメディアの出荷容量に現れています。2008年Q4のSanta Clara Consulting Groupのテープメディア出荷量のデータを元に、各メディアの容量(非圧縮)を掛け合わせると、なんと2008年Q4までに出荷されたテープメディアの総容量は3000ペタバイト(1ペタバイト=1,000テラバイト)にも達しています。


検証 その5:進化し続けるテープテクノロジー

世界で最初のテープドライブがこの世に現れてからほぼ60年になろうとしていますが、テープの技術、パフォーマンスはそれ以来継続的に進化し続けています。最新のLTO4テープドドライブでは2:1圧縮で1.6TBの容量を、一時間当たり864GBのスピードで記録できます。
実際これは最初のテープドライブと比較して50万倍もの性能アップ(転送レート)にもなります。
多くのテープストレージベンダー、テープメディアベンダーは現在も最新のテープテクノロジーの開発にしのぎを削っており、これは裏を返せば、今後もテープストレージには非常に多くの期待が寄せられているという証でもあります。

米SNIA(Storage Networking Industry Association)の予測では、今までディスクが担っていたアクティブストレージの範囲は今後FLASH SSDに一部切り替わり、2013年以降にはFLASH SSDはSCM(Storage Class Memory)に置き換わっていきます。さらにSCMはその守備範囲を拡大し、メモリーの範囲ではRAMの領域を、アクティブストレージの分野ではディスクの領域に拡大していくとの見方をしています。一方テープはアーカイブの分野で継続的に主流であリ続けるとの見方をしています。 これはアーカイブに求められる要件を満たすテクノロジーがテープ以外に見つからないためでしょう。

ではその要件とは? それは次回説明していきたいと思います。



(社)電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
日本ヒューレットパッカード(株) 井上 陽治