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『人生の再発見』のために (2/6) |
□カウンセリングに対する企業側の期待 講演料が安い、ということに加えて、私が選ばれた理由は、もう一つありました。 企業で働く人たちの側にも、『カウンセリング』への関心が高まっているのです。部長や、課長といった立場にある人たちの多くは、部下が言うことを聞いてくれない、という経験をしています。どのように部下に接すればいいか分からない、という人が増えてきているのです。部下に対するカウンセリングによって、部下を自分の思いどおりに動かすことができるのではないか、と考えているのです。そのような意図によるカウンセリングですから、それは、『戦うカウンセリング』である、ということになるわけです。 私への講演依頼には、このような企業側の期待が反映しているのだ、ということが分かってきました。 私は、迷いましたが、講演を引き受けることにしました。 □上役たちの自己評価不安 講演では、私は、全然遠慮しませんでした。課長や部長から、取締役クラスの人たちを相手に、普段どおりの話をしました。私は、その方たちに問いかけました。『部下を変えようとする前に、上司であるみなさんが変わる必要があるのではないか』と。初めは、あまり関心がないようでした。私は、当然の反応だと思い、気にせず話しつづけました。そのうちに、聞いている人たちの様子が変化してきました。次第に、私の言葉に関心が集中してくるのがわかりました。最終的には、会場全体が、静まり返っていました。 私は、企業の中核にいる方たちも、今、自己評価不安を感じているのだ、と実感しました。 講演の後に懇談会がありました。この講演会の、もうひとつの目玉のようです。懇談会が、一種の異業種交流の場になっているのです。その席で、主催者から、私に相談したい、という人が何人もいるので、応じてあげてほしい、と頼まれました。あまり時間がとれないので、一人につき三分、という条件で引き受けました。 そこでの相談内容を聞いて、私は、深刻な問題がはらまれていることを感じとったのです。 |
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