JEITAテープストレージ専門委員会コラム

「技術革新を続ける磁気テープ」

最近、カセットテープに関するニュースや記事を見かけるようになりました。

カセットテープと言えば、40代以上の方なら懐かしく感じる方が多いのではないでしょうか。
音楽用メディアとして長年愛されたカセットテープですが、1990年代以降、CDの登場により、その役割を終えています。

そんな過去の遺物と思われたカセットテープですが、生まれたときからインターネットやパソコン、スマホ等のデジタル機器が身近にある、いわゆる「デジタルネイティブ世代」を中心に、その人気が再燃しているそうです。

現在の音楽鑑賞の主流と言えば、パソコンやスマホなどでインターネットを介して音楽を再生するストリーミングサービスが世の中を席捲しているなか、なぜ?という疑問が湧きます。
どうやらデジタルネイティブ世代等の若い世代にとって、カセットテープのそのアナログさや、お気に入りのアーティストの音楽アルバムを物として手に取ることができる体験がかえって新鮮に映り、注目されているようです。

カセットテープは、現在データセンター等で利用されているデータ記録用のテープストレージの大先輩にあたります。アナログ・デジタルの差はあれ、磁気記録の原理を応用してデータを記録・再生している点では同じ記録メディアです。テープストレージ用の磁気テープは、磁性体を塗料中に均一に分散させて、基板となるベースフィルム上に塗布する「塗布型テープ」が主流ですが、カセットテープも同じ製法で作られていました。

塗布型テープはその記録容量を増やすために、磁性体のサイズを微粒子化して記録密度を高めたり、塗布層やベースフィルムの厚みを薄くしてカートリッジ1巻に格納できるテープ長を増やすなど、今なお技術革新を続けています。一例ですが、カセットテープで使用されていた当時の磁性体に対して、現在テープストレージで使用されている磁性体は、その粒子サイズが約1/100まで微粒子化しています。

一度はその役目を終えたはずのカセットテープがまた脚光を浴びていること、古くからある記録メディアが途絶えることなく技術革新を続けて最先端のICT社会を支えるストレージとして第一線で活躍していることに、磁気テープの奥深さを感じます。

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
https://home.jeita.or.jp/standardization/committee/tape_storage.html

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