JEITAテープストレージ専門委員会コラム

「電気代高騰で考えるテープストレージ」



先日、ニュース番組で、電気代高騰により大学が苦慮しているといったニュースがありました。ある芸術大学では、光熱費高騰などで財政難に直面し、経費削減のために練習室のピアノを一部撤去したといったことが議論を呼びました。学生たちが安心して学ぶ場を維持できるように、歌手のさだまさしさんらが「電気代を稼ぐコンサート」を開催し、その収益を電気代に充ててもらったそうです。

近年、環境保護の観点から、大学でも省エネルギー化が進められており、その一環として、電気の使用量の削減が求められています。大学では、講義や研究など、さまざまな活動が行われており、特に研究室などでは、長時間にわたって電気を使用することが多く、電気代の増加に繋がっていると考えられます。
例えば、研究室ではマイクロスコープや温度制御装置など、電気を多く消費する機器が使われます。また、大型の実験装置やスーパーコンピューターなども多くの電気を消費します。スーパーコンピューターは、通常のパソコンとは異なり、多数のCPUやGPUを搭載し、 従来のコンピューターでは処理できなかった大規模な計算やシミュレーションが可能となった反面、電気の使用量も多くなり、研究にかかる電気代が非常に高額になると考えられます。
研究費を削減するために、省エネルギー化は重要な課題であり、対策としては、エネルギー消費の少ない機器の導入や、機器の定期的なメンテナンス、節電意識の啓発などが挙げられます。また、研究に必要な電気の量や時間を把握し、必要以上に電気を使わないようにすることも大切です。
膨大な研究データの保存先としてテープストレージを利用することも、電気使用量削減のための一つの手段です。テープストレージとは磁気テープメディアを使ってデータを記録・保管するコンピュータ用ストレージの1種です。ハードディスクやフラッシュメモリと比較して、大容量で低コストなため、企業や大規模なデータセンターなどで利用されています。
テープストレージは、ディスクストレージと比較して機械的な動作が少ないため、ディスクストレージよりも電力消費量は低くなります。テープストレージはデータの読み込み・書き込み時にモーターと磁気ヘッドを使用しますが、それ以外の時間は停止状態になるため、電力を消費しません。さらにテープストレージはドライブから取り外すと電力を消費しません。
一方、ディスクストレージはデータの読み込み・書き込み時に回転ディスクと読み書きヘッドの動作が必要であり、それに伴って消費電力が高くなります。また、ディスクストレージは常に稼働状態になっているため、待機中でも一定の電力を消費します。 また、テープストレージは、データの長期保存に向いているということも特長の一つであり、データを記録する磁性体は、少なくとも50年以上、磁気的性能の劣化がないことが検証済となっています。
最近では、クラウドストレージやSSDなどの技術の進歩が注目されることも多くなっていますが、テープストレージがまだまだ大容量なデータの省エネ・長期保存には欠かせない存在であることは間違いありません。
テクノロジーの進化に合わせて、ストレージ技術も常に進化しています。今後の動向にも注目していきましょう。

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292

本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

INDEX:
リンクが張られていない、タイトルだけの記事は、最新号のメルマガ記事です。
次回のメルマガが配信された時点で記事にリンクが張られます。
メルマガ登録すると次回から最新記事を読むことができます。
メルマガ登録は無料、非会員でも登録できます。登録はこちら