JEITA連載寄稿

JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「テープ出荷容量ほぼ4000ペタバイトに!ディスク容量に肉薄」

オバマ大統領は2回目の一般教書演説で、米国民の98%が5年以内に次世代高速無線ネットワークを利用できるようになると語った。これは近い将来、コンテンツ・デポ、パブリッククラウドの市場の拡大、つまりデータセンターのデジタルデータがさらなる増加の一途をたどることを示唆している。実はコンテンツ・デポ、パブリッククラウドのデータ量の伸び率は年率76%で、非構造化データの55%、構造化データ、リプリケーションデータの各24%を大きく引き離している(IDCデータ)。

 

そのような中、より省エネルギー、経済的なストレージデバイスが求められているのだが、その最有力候補がテープだ。 実は先日発表されたサンタクララコンサルティンググループ(Santa Clara Consulting Group (SCCG))の2010年第3四半期のレポートによると、同期のワールドワイドのテープストレージメディア出荷量はほぼ4,000 ペタバイト(正確には3,905 ペタバイト) (1ペタバイトは1,000テラバイト)に達しており、同期のディスクの総出荷容量である4,299 ペタバイト(IDCデータ)に肉薄しているのである。

 

尚、伸び率は四半期比で15%、前年比では30%で、牽引役はLTO-4 メディア(四半期比13%、前年比23%)とLTO-5メディア(四半期比23%)である。

 

WWテープ出荷容量トレンド

Source - Santa Clara Consulting Group Tape Media Tracker (December 2010)

 

それでは今後もテープが大容量、低コストのストレージメディアとして君臨することができるのであろうか?答えはいまのところYesである。

 

昨年発表された第5世代LTO(LTO-5)が手のひらサイズのカートリッジに1.5テラバイト(非圧縮)ものデータが記録できるだけでも驚きだが、第8世代では同じカートリッジの大きさで、何と12.8テラバイトの容量が記録できるようになる。

 

更に最近ではエンタープライズ向けテープドライブ用に開発された、5テラバイト(非圧縮)のテープカートリッジも発表されるなど、今後のテープ大容量化の見通しは極めて明るい。



 (社)電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会 (※)
日本ヒューレットパッカード(株) 井上 陽治
※:旧名称:磁気記録媒体標準化専門委員会