JEITA磁気記録媒体標準化専門委員会からのお知らせPart 4

前回に引き続きCEATEC JAPAN 2007で発表した「テープストレージの製品動向-2007年度版-」について、ご紹介します。

今回は、テープストレージの消費電力性、管理性、長期保存性について解説していきます。

【低消費電力】
近年地球温暖化等の影響もあり国際的にもポスト京都が話題となっています。 そんな中、IT業界でも環境保護、CO2削減、消費電力低減といったテーマに各企業が積極的に取り組み始めています。特にデータセンターの消費電力量は増加の一途を辿っており、米環境保護局(EPA)は、米国のデータセンターが現在の電力効率のまま稼動し続けると仮定 すると、2011年にはその消費電力は2006年の2倍になるとの調査結果を発表しています。

ストレージデバイスでは年々記録密度の高密度化が進み、単位容量当たりの消費電力は削減されているものの、ディスクシステムと比較してテープデバイスがより低消費電力であるという相関は変わらず、むしろテープデバイスの高容量化のペースが速いことから、その差は徐々に広がりつつあります。また容量が大きくなればなるほどその差が大きくなるという傾向もあるため、長期にわたる高容量データのストレージデバイスとしてはテープが適しているといえます。

【管理が容易】
テープ装置はシステムやデータのバックアップ装置として長年の実績があり、その分バックアップアプリケーションの機能が充実しています。オートメーション装置による運用の自動化スケジューリング、ステージング、集中管理ツール、外部保管メディア対応など集中化したオートメーション装置によるTCO削減を、部門の壁を越えた集中・統合環境で高い投資効果を実現できます。さらに近年のサーバーのブレード化/ラックマウント化によって統合環境で使用するテープ装置の必要性は日々増大しています。

【長期保存性】
テープは記録した媒体をドライブから取り外して保管が可能です。もちろん同系列のテクノロジーであればその下位互換性によって、前世代の媒体に記録されたデータを最新のドライブで読み取ることが可能です。また意外と知られていない事実ですが、近年のテープ媒体はベースフィルム・磁性体・バインダーなどの素材の改良や生産技術の改良により高品質となり、 長期保存性が向上、定期的なテープの巻き直しが必要というのは遠い昔の話です。詳しくは次回このコーナーでご紹介します。

【テープストレージの役割とは?】
さて前回に引き続き、テープストレージの特徴について説明してきましたが、こういった特徴を生かした運用とはどのようなものなのでしょうか?まずはリムーバブルで改ざんが不可能(WORM)さらには暗号化機能で仮にカートリッジが盗難にあったとしてもデータの流出が防げる、といった特徴から究極の災害対策であり、法令順守には不可欠なテクノロジーということができます。さらに低消費電力、低コスト、保管時には消費電力ゼロ!という真にエコなテクノロジーです。

こういった背景から、テープシステムは比較的参照頻度の低いデータを安全にかつ効率よく保存するのに最も適したテクノロジーで、近年のILM (Information Lifecycle Management)テクノロジー、D2D2Tというコンセプトと相まって、今後より注目される古くて新しいテクノロジーであると言えるでしょう。

これまでの内容の詳細は以下のurlからアクセス可能です。
http://home.jeita.or.jp/is/committee/tech-std/std/2007/CEATEC_4.pdf

[参考]
電子情報技術産業協会 磁気記録媒体標準化専門委員会のホームページ
http://home.jeita.or.jp/is/committee/tech-std/std/com02.html

次回はデータを実際に記録するテープ媒体の寿命について、最新のテープテクノロジーの解説を交えて説明していきます。




 (社)電子情報技術産業協会(JEITA) 磁気記録媒体標準化専門委員会
日本アイ・ビー・エム(株) 白鳥 敏幸