【連載】バックアップの真実
第3回 「クライアント・バックアップ」

-バックアップしなくても良いクライアントを作る- その2

バックアップしなくても良いクライアントはMetaFrameに代表されるシンクラ イアントを導入すると容易に実現できます。”なんだ昔のキャラ端がGUIになっ ただけか”という気もしますが、全てのアプリケーションはサーバで動作し、 ストレージもそのサーバに接続されているので、データのバックアップも、その OS稼働環境のバックアップもクライアントPCのバックアップを考えることに比べ ればずっと簡単になります。最新の技術、製品で設計された稼働環境が導入でき るからです。何よりも訓練を受けた運用オペレータがいる(はず)のが心強い限 りです。でも一台のサーバで何人のクライアントがストレス無く業務ができるの かを評価しておく必要が出てきます。(ここまで書いて、温故知新、メインフレ ームを連想してしまいました。過度な分散化のデメリットを修正して、分散と集 中を再設計する必要が出てきたような気がします。)

コストと性能が気になるときは、手っ取り早くWindowsの移動プロファイルと ファイルサーバを使えば、アプリケーションはローカルのクライアントPCで稼働 し、データはサーバにあるという環境ができます。ActiveDirectoryが必須なの で私の会社ではちょっと困ったことになりますが、TCO削減のためにActive Directory導入は必須になるでしょう。 ( ん?!ActiveDirectoryが無い私の会 社はTCOを削減できない??これはちょっとマイクロソフトの肩を持ちすぎなの で退散退散)

クライアントPCは共通のアプリケーションを事前導入しておけばいいので導入、 展開、保守はシンクライアント並に簡単です。さて、シンクライアントも移動プ ロファイルもネットワークの常時接続環境が前提なので、それがネックになるよ うな業務があります。帯域の狭い無線環境でも定型業務ならばシンクライアント は使えそうですが、定型業務以外のレスポンスが必要なワープロ、プレゼン作成 のような業務に使えるとは思えません。つまり、社外、ネットワーク常時接続が できないオフラインの環境では、通常のアプリケーションをインストールし、必 要なあらゆるデータを蓄えたPCが必要になります。もうこれはバックアップ必須 ですが、狭い帯域幅でも動くデータの同期技術でデータロストのリスクを最小限 にすることは可能です。USBメモリ、スマートカード、CF等の堅牢な記録媒体を ストレージに使えば壊れて無くなるリスクも最小化できます。

データ・プロテクトの観点から考えると、これらオフライン環境にあるクライ アントPCはノートPCでしょうから、バックアップだけでなく置き忘れ、盗難によ るデータ漏洩に備えるセキュリティも非常に重要な課題になります。もっともノ ートPCを無くして一番困るのは必要なデータが何もかも入ったPCを使って仕事を していた本人でしょうから、セキュリティも大事だけど、バックアップの方がも っと大事、というのが実感かも知れません。

私はどうしているか?あまりお手本のような回答ではありませんが、取り外し 可能な小型記憶媒体と複数のPC間で同期ツールを使って常に細かくスナップショ ットを取り合いデータロストの最小化を図っています。もっともつい最近、同期 ツールの使い方を誤ったらしくエクセルのファイルを失ってしまいました。すぐ に気づいたので、どこかに無いかと探したのですが見つかりませんでした。非常 に悔しいけど後の祭りです。自動でバージョン管理できるファイルシステムが欲 しい!ディスクとCPUは有り余っているぞ!




JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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