■日時:2025年2月7日(金) 10:00〜16:50、2025年2月26日(水) 10:00〜16:30
■会場:連合会館2階「201会議室」(東京都千代田区神田駿河台3-2-11)
■定員:46名
■受講料:66,880円(税込、テキスト費用を含む)
■主催:株式会社エヌ・ティー・エス
〈第一日目のみ〉 〈第二日目のみ〉
第一日 芽胞菌対策研究会2025
【芽胞菌制御の経験交流と相談所を目指して】
2025年2月7日(金) 10:00〜16:50
■コーディネーター:中西 弘一氏
ナノ・マイクロバイオ研究所 中西技術士事務所代表/技術士 農学博士
■本研究会の狙い:
◇芽胞菌は難敵です。セレウス菌、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌などの芽胞(細菌胞子)を作る細菌は
重篤な食中毒事故を発生させるばかりでなく、カビ・酵母などの真菌胞子を含め、多くの食品で様々な
変敗事故を引き起こし食品回収の原因となっています。
◇とくに近年、低温流通の普及とともにチルド食品の芽胞菌汚染が増加傾向にあり、微生物の生存戦略
としての芽胞菌の正確な理解、食品の特性に応じた芽胞菌制御技術の修得が強く求められています。
◇本研究会は、制御すべき芽胞菌を深く知り、変敗事故を未然に防止する工程管理手法を集中的に学習する
実践講座です。現場に精通した気鋭のエキスパートにより最新の知見を詳細に解説して戴くとともに、
質疑応答の時間を十分用意し受講生の皆様の日頃の疑問や悩みにお応えするプログラムです。
本研究会が皆様の問題解決のお役に立てることを確信し、ご参加を心からお待ちしております。
■開催プログラム
*各講演に対する質疑応答は最後の総合質疑で一括して行います。
1.食品の新しい微生物安全保証の構築
〜芽胞菌制御の環境展開とその勘所〜(10:00〜11:30)
<ナノ・マイクロバイオ研究所 中西技術士事務所
代表 中西 弘一氏/技術士 農学博士> |
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【講演の狙い】
過去12年間にわたり「芽胞菌対策研究会」を開催し、約60社にわたる食品会社の技術アドバイスを
行った実績から、食品製造の技術課題解決と安全性を高めるため「微生物安全保証の考え方」を
構築するに至った。その実施の考え方と手順について解説したい。
【講演プログラム】
(1)食品製造における微生物安全保証の構築の意義
(2)微生物安全保証を定量的に評価する微生物(特に芽胞菌)の
増殖抑制要因から新ハードル理論への応用と展開
(3)殺菌管理指標菌の設定について
(4)芽胞菌の滅菌・静菌効果の評価とF値応用の実際
(5)微生物安全保証の今後の課題
<11:30〜12:30 昼休み>
2.AIを用いた簡便・迅速な微生物検出および芽胞判定技術の構築
(12:30〜13:20)
<アサヒ飲料株式会社 研究開発本部 技術研究所
品質技術グループ プロデューサー 青蛛@真人氏>
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【講演の狙い】
HACCPに沿った衛生管理を実施する際に、微生物による重篤な危害を防ぐことは極めて重要だが、
微生物検査あるいは検出した微生物の特性を解析する作業が製造現場の負担となっていることも
少なくない。
本講演では、微生物検査を効率化するためにAIを搭載した微生物検出法、及び、顕微鏡観察とAIを
組み合わせた芽胞判定技術について紹介する。品質管理現場でのAI導入あるいは簡便迅速な微生物
検出法の導入検討の一助になれば幸いである。
【講演プログラム】
(1)はじめに:簡便・迅速な微生物検出への関心の高まり
(2)AIを搭載した微生物検出法の開発に至った背景
(3)蛍光染色法とAIを組み合わせた微生物検出法について
(4)顕微鏡観察とAIを組み合わせた芽胞判定技術について
<13:20〜13:30 休憩>
3.低温増殖性芽胞形成菌の性状とその制御(13:30〜14:20)
<地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 産業技術環境研究本部
食品加工研究センター 応用技術部
主査 博士(水産科学) 小林 哲也氏>
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【講演の狙い】
加熱済みの加工食品を冷蔵で長期間保存するためには、冷蔵温度帯で増殖する芽胞形成菌
(低温増殖性芽胞形成菌)の制御が肝要です。
本講演では、Paenibacillus属細菌を主とした低温増殖性芽胞形成菌の性状(増殖温度や芽胞の
耐熱性特性、ガス置換雰囲気での増殖など)や有機酸によるpH調整と加熱処理を併用した制御
方法、増殖確率や死滅確率をもとにした加熱殺菌条件の設定方法をご紹介します。
【講演プログラム】
(1)低温増殖性芽胞形成菌の性状
(2)低温増殖性芽胞形成菌の制御
(3)増殖確率や死滅確率をもとにした加熱殺菌条件の設定
<14:20〜14:30>
4.冷蔵保存下で増殖する芽胞形成菌の制御
(14:30〜15:20)
<株式会社明治 研究本部 衛生微生物研究ユニット
衛生微生物G 専任課長 橋 尚美氏>
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【講演の狙い】
数か月に及ぶ賞味期限を有するロングライフチルド食品が普及し、消費者の利便性向上や食品ロス
低減に寄与している。ロングライフチルド食品の微生物学的安全性や保存性を確保するためには、
低温で増殖する芽胞形成菌に対する理解が必要不可欠である。
本講演では、ロングライフチルド食品開発に向けた芽胞形成菌制御の考え方、さらには低温増殖性を
有する芽胞形成菌の迅速識別法について説明する。
(1)食品の冷蔵保存と芽胞形成菌
(2)芽胞形成菌の低温増殖性と耐熱性
(3)ロングライフチルド食品における芽胞形成菌制御
(4)低温増殖性を有する芽胞形成菌の迅速識別法
<15:20〜15:40 休憩/質問票回収>
5.[総合質疑&情報交換会](15:40〜16:50)
座 長:中西 弘一氏/パネリスト:上記講師陣
以上
【コーディネーター 中西弘一氏のプロフィール】
1976年東京大学農学部農芸化学科卒業、同年キリンビール(株)入社。
その後キリンビバレッジ(株)、キリン(株)での勤務を経て2013年同社退社。
同年ナノ・マイクロバイオ研究所、中西技術士事務所創設。技術士(生物工学)、農学博士。
行政からの要請で、農林水産省第6次産業化プロジェクト評価委員、内閣府消費者委員会上級政策調査員を
歴任され、現在、農林水産省食品産業技術懇話会メンバーおよび経済産業省関東産業局技術アドバイザーを
務められています。
主な研究分野は芽胞形成細菌の制御、走査型プローブ顕微鏡を用いた芽胞形成細菌の迅速評価法の開発、
乳酸菌利用法の開発、特定保健健康食品・機能性表示食品の開発など。現場の問題解決と開発支援に
精力的に取り組まれています。
第二日 【基礎を深く知ることが制御の近道!】芽胞菌入門講座2025
〜リアルの触れ合いで芽胞菌を徹底的に理解する1日〜
2025年2月26日(水) 10:00〜16:30
■本講座の狙い:
本講座は初めて芽胞を取り扱う方や、芽胞について学術的な知識が少ないと感じておられる方の
ご要望にお応えするための入門講座です。大学で芽胞研究に携わってきた研究者の視点から、
微生物学における芽胞菌の位置づけ、芽胞の構造と耐性獲得機構・休眠維持機構・発芽機構について
分かりやすく解説します。また、企業との共同研究で培った経験をもとに、芽胞制御に関する
基礎研究の重要性を述べさせて頂きます。
[指導講師 高松 宏治 桑名利津子]
■開催プログラム
*各講義に対するご質問は、第3部で一括してお受けします。
【受講生とのコミュニケーションを大切にします。】
第1部 芽胞菌とは何か(10:00〜12:00 *途中5分休憩)
摂南大学薬学部 微生物学研究室
教授 博士(理学) 高松 宏治氏
<第1部の狙い>
芽胞の基礎知識は大学などの高等教育機関で専門家から直接学ぶことが理想的ですが、
現場担当者がその機会に恵まれることはまれです。第1部では入門者向けの内容として、
芽胞の基本的性質や芽胞菌の系統分類上の位置などについて、生物・農学系の大学生向け
講義レベルで解説します。芽胞の基本用語を学ぶことで、より高度な専門書を理解しやすく
なること、学会などでの情報収集に役立つことなどを期待しています。
第1部の到達目標は次の通りです。
@ 芽胞について概説できる
A 芽胞菌の系統について説明できる
B 芽胞の耐久性について説明できる
C 芽胞形成と発芽について説明できる
<講演プログラム>
1.イントロダクション
2.芽胞の構造と耐性
3.芽胞菌の系統と多様性
4.芽胞形成機構
5.芽胞の発芽のメカニズム
<12:00〜13:00 昼休み>
第2部 芽胞菌を扱うための基礎知識(13:00〜15:00 *途中5分休憩)
摂南大学薬学部 微生物学研究室
講師 博士(バイオサイエンス) 桑名利津子氏
<第2部の狙い>
芽胞の耐性や発芽能について評価するために一般細菌とは異なる試験法が用いられます。
その原理や注意点などを知ることは、それぞれの現場で適格な試験法を用い、得られた結果を
適切に評価するために重要です。第2部では芽胞取扱いの基本的な知識と技術について、
生物・農学系大学の卒業研究レベルで解説します。また、芽胞研究や芽胞制御に関連する
先端技術から注目すべき情報を紹介し、今後の課題や展望を述べます。
第2部の到達目標は次の通りです。
@ 芽胞菌の検出について説明できる
A 芽胞菌の取扱いについて説明できる
B 芽胞菌関連の新技術について概説できる
<講演プログラム>
1.芽胞菌の検出
2.芽胞菌の培養と芽胞サンプルの調整
3.芽胞の耐性試験と発芽試験
4.芽胞研究や芽胞制御に関連する技術と展望
<15:00〜15:20 休憩/質問票回収>
第3部 芽胞菌を徹底的に理解する ― Q&Aと情報交換会(15:20〜16:30)
≪座 長≫ 高松 宏治氏
《ゲストアドバイザー》 中西 弘一氏:ナノ・マイクロバイオ研究所 中西技術士
事務所 代表/技術士 農学博士
*当日受講生から寄せられた質問をもとにQ&Aと情報交換を行います。適宜、受講生のご意見も
お伺いしながら、参加者全員で芽胞菌攻略のヒントを探り課題の共有に努めます。
以上
【本講座の受講対象】
◆広範な食品メーカーの品質保証・品質管理担当 初級技術者
◆食品流通事業者のQC担当 初級技術者
◆食品添加物事業者の開発・営業担当者
【受講生の特典】
◆講演後のメールでのご相談 歓迎です。案件によりオンラインでのご相談も
高松先生、桑名先生にお受け戴けます。
【指導講師陣のプロフィール】
摂南大学で微生物学研究室を率いる高松宏治先生は、名実ともに芽胞菌研究分野のわが国のリーダーです。
1995年筑波大学大学院生物科学研究科生物物理化学専攻博士課程修了。
96年摂南大学薬学部衛生薬学科助手、2006年講師、10年准教授、16年教授就任。
微生物の蛍光染色と応用に関する研究を主なテーマとして、「細菌胞子の構造および機能に関する研究」
「胞子形成細菌の検出・同定と制御に関する研究」「蛍光染色法を用いた微生物の細胞構造解析技術および
活性評価技術の開発研究」等の共同研究に先進的に取り組まれています。学会、産業界の期待も大きく、
日本防菌防黴学会理事、日本薬学会環境・衛生部会微生物試験法専門委員会委員としても活躍されています。
桑名利津子先生は、北海道大学薬学部卒業後、薬剤師資格を取得。奈良先端科学技術大学院バイオサイエンス
研究科を修了し博士号を取得。摂南大学薬学部で助手、助教を経て、2016年講師に就任。Bacillus属細菌および
Clostridium属細菌に着目し芽胞の構造、芽胞形成過程、発芽を主な研究テーマとして取り組まれています。
特筆すべきは2017年9月から1年間、フランスのパスツール研究所に短期留学されたこと。世界の研究最前線と
フランス独特の文化に触れ、日本パスツール財団のホームページに「この留学体験は私に大きな刺激を与え、
今後の生き方を左右する大きなターニングポイントであることは確実です。」と投稿された言葉が、とても
印象的でした。
学会、産業界にも大きく貢献されており、日本防菌防黴学会評議員および同学会運営委員を務めておられます。
また2016年技術士(生物工学)資格を取得し、技術士の育成のほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)公募事業の審査員を務めておられます。
【ゲストアドバイザー 中西弘一先生のプロフィール】
中西弘一先生は、1976年東京大学農学部農芸化学科卒業、同年キリンビール(株)入社。
その後キリンビバレッジ(株)、キリン(株)での勤務を経て2013年同社退社。
同年ナノ・マイクロバイオ研究所、中西技術士事務所創設。技術士(生物工学)、農学博士。
行政からの要請で、農林水産省第6次産業化プロジェクト評価委員、内閣府消費者委員会上級政策調査員を
歴任され、現在、農林水産省食品産業技術懇話会メンバーおよび経済産業省関東産業局技術アドバイザーを
務められています。
主な研究分野は芽胞形成細菌の制御、走査型プローブ顕微鏡を用いた芽胞形成細菌の迅速評価法の開発、
乳酸菌利用法の開発、特定保健健康食品・機能性表示食品の開発など。
現場の問題解決と開発支援に精力的に取り組まれています。
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