JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「LTO 5データテープの寿命試験」

 

オーディオ、ビデオカセットテープとしてコンシューマー用途に普及した磁気テープも、現在ではデータストレージ用途及び放送局向けビデオテープが中心となっています。当初はサーバデータのバックアップが主でしたが、最近の動向としてはビッグデータに象徴されるように、長期アーカイブ用途に移り変わってきています。特に大容量、安価、省電力を特徴とした磁気テープは、アーカイブ用途に打って付けです。
そのような背景から、データテープの長期保存性、寿命に関するユーザーからの問い合わせが頻繁になり、それに対応すべく媒体分科会が2006年に「媒体寿命評価SWG」という名称で発足しました。

 

データテープの歴史は古く、媒体分科会発足当時は寿命評価法に関する調査分析の活動を行い、15〜19年の保存実績があることが判明しました。但し、現在デファクトシステムとなりつつあるLTOなど最新テープについての具体的な保存データは無かった為、当時最新フォーットであったLTO第3世代のテープ媒体を用いて、各メディアメーカで寿命試験を2007年に実施しました。寿命試験は高温高湿環境での160日にも及ぶ長期保存を実施し、アレニウスの式を使ったメタル磁性体の加速寿命推定を行いました。その結果19年以上の寿命推定が確認され、評価結果をJEITAホームページ上に公開できました。

 

LTO第3世代媒体を使用した寿命試験から5年が経過し、今回寿命試験の第二弾として、LTO第5世代のテープ媒体を用いた寿命試験を2012~2013年に実施しました。保存期間は高温高湿環境で168日に延長し、加速寿命推定で20年以上が検証されました。詳細な資料は、以下のJEITAホームページに近日中に公開しますので参照ください。

 

システムの保証期間、OS及びソフトウェアの互換性等を考慮すると、安全かつ安心して、一つのフォーマット媒体にデータを保管する目安は10年と考えられ、 10年以上の長期保管するユーザーにおいては、10年を目安にデータを移行(マイグレーション)することを推奨していますが、今回の寿命試験により媒体としては充分な保管期間(2倍以上)があることが確認され、安心してアーカイブ用途に使用できることが検証されました。

 

詳細レポートは、近日中に JEITAテープストレージ専門委員会のホームページに掲載されますので、今しばらくお待ちください。
http://home.jeita.or.jp/cgi-bin/about/detail.cgi?ca=1&ca2=292


一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会 (※)
TDK株式会社 松野 浩司
※:旧名称:磁気記録媒体標準化専門委員会