(1)笹川孝一:試行錯誤で拓いた日韓教育交流−「日韓社会教育セミナー」の回想,
黄宗建・小林文人・伊藤長和共編『韓国の社会教育・生涯学習』エイデル研究所、2006
(2)小林文人:留学生との出会いと交流−この20年・上海への道、日中教育研究交流会議「研究年報」第14号、2004年、TOAFAEC http://www.bunjin-k.net/shanhai2001.htm
(3)TOAFAECホームページ(http://www.bunjin-k.net/)とくに中国・韓国のページ参照を。
(4)小林文人・末本誠・呉遵民共編『現代社区教育の展望』(上海教育出版社、2003年)中国語版。呉遵民・末本誠・小林文人共編『現代生涯学習論−学習社会へ向けての架橋』 (上海教育出版社、2008年)中国語版。黄宗建・小林文人・伊藤長和共編『韓国の社会 教育・生涯学習−市民社会の創造に向けて』(エイデル研究所、2006年)日本語版など
(5)TOAFAEC年報『東アジア社会教育研究』は1996年創刊、毎年次着実に刊行し、2019年で第24号を迎えた。
(6) 小林文人・李正連・上田孝典:東アジアにおける研究交流の歩みと新しい地平をさぐる、TOAFAEC年報『東アジア社会教育研究』16号、2011年、pp.27〜28
(7)『東アジア社会教育研究』22号(2017年)は2016上海フォーラムを、同23号(2018年)は2017佐賀フォーラムを記録している。
(8) 石井山竜平:東アジア生涯学習の課題に協働して挑戦する「佐賀宣言」、『東アジア社会教育研究』23号、2018年
(9)小林文人:TOAFAEC20年の歳月、いくつかの回想『東アジア社会教育研究』20号、2015年,巻頭言
12、東アジア生涯学習研究フォーラム交流史(1〜5、2021年2月「南の風」)
(1)2010年にいたる経過(南の風4222号
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TOAFAEC ホームページ、毎月の活動予定記事など、この間ほとんど記載がありませんでしたが、ここにきて石井山さんの積極な動きにより「東アジア生涯学習研究フォーラム」関連の会合が三つほど。ただしZoomによる会議。それでも久しぶりに2月7日、北京の韓民、上海の呉遵民などの皆さんと顔を合わせました。「しばらく」と声をかわしました。韓民・高峡夫妻には、一昨年11月、北京で八十八歳のお祝いをしていただきましたが、そのお礼を言ういとまもないほど・・・挨拶のみでした。
南の風4222号記載のように、石井山さんが「東アジア生涯学習研究フォーラム」の去年から今年への経過を書いていただいたので、当方は少し遡って、「東アジア」フォーラムの大すじの流れ、その思い出し作業を試みておきます。
振り返ると、東アジアでは中国の文化大革命や、韓国の軍事政権、台湾の戒厳令など、厳しい政治状況が続いて、自由な交流はずいぶんと制限されてきた歴史でした。私たちの研究室に留学生がポツポツやってくるのは、やっと1980年代になってからでした。1990年代になると東西冷戦の終結もあり、ようやく中国・韓国そして台湾にも招聘・訪問・交流の機会が増えてきました。TOAFAEC
の創設(1995年)もそういう時代状況を反映しているところがありましょう。
今世紀に入ると、活発な相互交流が広がり、留学生の架け橋としての役割も注目されるようになります。中国・韓国それぞれの交流史については、ホームページに詳細に記録してますのでご覧ください。
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しかし多くは二国間の交流が主で、これが三国間に、つまり交流が多角的に広がって、いわゆる多国間の訪問や会議が開かれるようになる動きが注目されます。社会教育・生涯学習の分野では、たとえばTOAFAEC の呼びかけで、沖縄に中国(華東師範大学教授団)と韓国社会教育関係者が集う機会がありました(2008年)。その翌年、日本・社会教育法60年を論議する研究会に、韓国・ヤンビョンチャンさんが来日。この機会に日本「東アジア研究交流委員会」が活動を始めました。韓国と中国の両研究フオーラムが動き始め、それをつなぐかたちでの委員会活動、委員長は石井山竜平さん(東北大学)、2009年のことでした。そして翌2010年には、上海外国語大学を会場に「中日韓・生涯学習国際シンポジゥム」が開かれました。ホームページに久しぶりに大規模の集合写真を掲げておきましょう。
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(2)2016年・上海シンポへ(南の風4223号)
上海で開催された東アジア「国際シンポ」(2010年11月)については、その頃、山東省で活躍されていた故伊藤長和さん(TOAFAEC 副代表)が、上海まで駆けつけ参加。集会の最終プログラムで「まとめ」のコメントを求められた小林の発言を印象的に書いていただきました。ホームページ・大会記録2010年・7。「中国の発展、韓国の躍動、そして日本の混迷、脱皮への模索」はこのときの総括。
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また内田純一さんも年報「東アジア」16号(2011年)「ひろば欄」に「日中韓・上海国際シンポ」概要を記しています。この「三国シンポ」は、最後に「第二回生涯学習フォーラムは、暫定として2012年に韓国で実施する」ことを確認し、文書サインを交わして別れました。つまり2年おきの開催案。韓国側では具体的に第2回シンポへの準備が金南宣さんを中心に進められました。ところが尖閣列島問題をめぐって中日間の関係がギクシャク、中国成人教育協会は不参加の意向を表明するにいたり、第2回国際シンポ(韓国開催)は実現にいたらず。日本側の参加予定者は済州島に遊び、韓国側の皆さんと楽しい集いをもった記憶があります。(写真・略)
それから数年が経過。2016年にいたり、中国上海の華東師範大学(上海終身教育研究所)黄健さんが中心となる中国内の生涯教育シンポジウム(第4回生涯教育上海フォーラム)と平行して、中日韓・三ヵ国国生涯教育国際シンポ開催の動きが始まったのです。2010年国際シンポ(上海)は葉忠海さんが中心でしたが、今回は韓民・呉遵民お二人が中心となって、大規模シンポではなく、こじんまりした集いとして企画が進行。この記録は年報「東アジア」第22号(2017年)の第2特集として、中国から黄健、韓民、呉遵民など、韓国からやんビョンチャン、日本から末本、上野、石井山など各氏の報告が収録され、興味深い内容です。小林は、この時期すでに病妻の状態が(介護だけでなく)予断を許さず、上海に参加することはかないませんでした。
(3)2017年・佐賀へ(南の風4224号)
(略) さて本題(前号の続き)。2016年「東アジア・フォーラム」が上海で再開されたあと、翌1917年は日本が担当して佐賀で開催。2日目のエクスカーションは福岡・筑後へ。その記録は年報23号・第一特集として詳細に報告されています。残念ながら小林は、この年5月に妻を亡くし、9月から自らの股関節・大手術、長期入院を強いられ、無念の思いで2年続きの不参となりました。
中国から参加した韓民・呉遵民・黄健・馬麗華の皆さんが帰路わざわざ病院に見舞っていただいたこと、恐縮し感激しました。韓国から参加の各位には、福岡・油山の拙宅文庫に来訪されたそうです。これにも驚きました。長期の留守宅、まったく整理も掃除もできておらず、案内役の農中茂徳がひたすら恐縮していました。しかし年報23号の諸報告では、佐賀の公民館訪問をはじめ、きわめて好評だったようでご同慶の至り。上海から日本への「東アジア・フォーラム」のステップが一歩前進したことになりました。台湾より参加の方々と、北京・上海の皆さんが一緒に合唱されている写真を拝見し、病院ベッド上で感動したことを想い出します。
▼北京・上海・台湾「茉莉花」(molihua)合唱 (佐賀、20171212)
→http://www.bunjin-k.net/albumhigasiasia.htm
(4)2019年・上海・北京フォーラムへ(南の風4225号)
2018年・東アジア生涯学習研究フォーラムは、韓国で開かれました。小林は大手術を経過して初めての海外への旅。切れていたパスポートを新しく取り直し、杖をついて、同行の李正連さんや呉世蓮さんなどに見守られての旅。こんな日が蘇るのを夢にみてきましたので、終始感激の4日間。全体テーマは「学校と社会教育の関係を考える」、韓国からの報告はもちろん、中国・日本そして台湾からの報告が並び、また始興(シフン)市(チャミスル学習マウル)や牙山市(松岳マウル教育共同体)の実践交流の機会も用意され、充実した内容でした。詳しい報告は『東アジア社会教育研究』24号(2019年)に収録されています。前年の佐賀で開かれたフォーラムに来日された李揆仙さんの「全国平生学習実践協議会」本部(始興市)を訪問する機会も得て、手づくりの食事で歓迎いただきました。一連の写真をホームページに収録しています。
そして2019年の東アジアフォーラムは北京市で開催されました。2010年の上海フォーラムから数えると第5回、2016年の上海フォーラムを起点とすれば第4回。東アジアをぐるりと一回りしてきたことになります。東京学芸大学と名古屋大学で学んだ韓民さん(中国教育発展戦略学会)が中心となって運営されたことも印象的なこと。諸報告は『東アジア社会教育研究』25号(2020年)に収録されています。
この旅では同行の山口真理子・江頭晃子のお二人に支えられて、上海まわりで中国入りしました。かってTOAFAEC
と「合作学校」の試みがあった(結果的に実現せず)上海市閘北区や華東師範大学の旧知の皆さん、また同じく東京学芸大学で学んだ張・朱夫妻(張さんは上海市教育科学研究院・副院長)と再会したかったのです。上海の報告は同じく『東アジア』25号に山口真理子さんが書いています。
たまたま上海到着の日が88歳誕生日、皆さんで(翌日の北京でも)お祝いをしていただく僥倖に恵まれましたが、ちょうどその頃、武漢では新型コロナ・ウイルスも誕生してたようで、思わざる歴史のひとこまに驚いています。
(5) 2020年度・日本開催 (2月27日・オンライン)
北京フォーラムより帰国して、2020年が明けました。予定される東アジアフォーラムの日本開催について、準備・協議の機会がないまま、1月早々に松本で日本公民館学会受け入れについて、松本市や松本大学を含めて旧知の方々の集いがもたれる話が聞こえてきました。矢久保学さんと電話で話しているなかで、久しぶりに松本に遊びに行きたいな、そんな気分で出かけることになったのです。私的な旅、もし可能ならば東アジアフォーラム開催の話も聞いていただけるかも?と期待してのこと。その経過や写真は「南の風」(風4123号ぶ欄など)記録やオームページなどに残されている通り。
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ほぼ1年前のこと。そして2月のコロナ騒動へ。いろんな計画や協議もすべて吹ッとんだかたち。そして明日(2月27日)、オンラインによる「東アジアフオーラム」が開かれることになりました。韓国・中国との事前オンライン準備をへて当日を迎えることになります。4号前の風(4222号・2月
8日)に載せた石井山竜平さん(東北大学)の「お誘い」を再録しておきましょう。
◆<「東アジア・フォーラム」オンラインへのお誘い(石井山竜平、南の風4222号)
・2021年の開催計画について ・科研を活用しての共同研究ついて ほか(略)
・2月27日(日)タイムスケジュール 10:00 開会
10:10〜10:30 主催である日本を代表して小林文人先生のスピーチ
10:30〜11:10 報告@日本 11:10〜11:50 報告A韓国
13:30〜14:10 報告B中国 14:10〜14:50 報告C台湾
14:50〜16:00 全体討議 Tea Break
16:30〜 今後のフォーラムを進めるにあたっての協議
・連絡先:石井山竜平(東北大学) Eメール:ishiiyama@hotmail.com
*詳細案内
→■http://www.bunjin-k.net/higasiajia2020.htm
13、年報27号(2022)巻頭言:東アジアの社会教育・生涯学習50年→■
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