【上の巻】 噺 林家正雀
長吉は達者な口と器用な手先で、盗みをはたらく悪たれ小僧。父・長兵衛に「継母がいじめる」と、嘘の告げ口をする。事実を知った長兵衛は、長吉の性根を正そうと、米問屋山崎屋へ奉公に出す。
【中の巻】 歌舞伎
長吉(広也)は、すっかり心を入れ替えたかに見えたが、身に染みついた悪癖は容易になおらず、掏摸をやるのを、番頭の権九郎(矢之輔)に見つかってしまう。
権九郎は黙っていてやるかわりに、内儀の部屋から二百両を盗んでこいと、長吉を脅す。山崎屋の若旦那(國太郎)をだし抜いて、吉原の女郎・吾妻(國太郎・二役)を身請けするためだった。
盗みをし遂げた長吉は、権九郎を始末し、そのまま奥州へ・・・・・・
【下の巻】 歌舞伎
数年後の冬。父親・長兵衛(矢之輔・二役)を気にかけて江戸に戻った長吉は、薬代のためという袖乞いに金を渡してやる。
「おまえ、長吉じゃないか」
みると、なんとそれは継母・お光(國太郎・三役)だった・・・・
ぼちぼち妻をと、縁起の良い西宮の戎神社に詣でる大名(喜五郎)と太郎冠者(中嶋)は名所旧跡を訪ね歩きながら、参詣をする。通夜をしてまどろむうちに、夢でお告げがあり二人は勇んで釣り糸をたれる…。
常磐津の名曲にのせて楽しくユーモラスに繰り広げられる二組の男女の恋の行方。
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