JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「JEITAテープストレージ専門委員会コラム 2017年8月」

今、世の中にある「デジタルデータ」の総量は爆発的に増加していると言われています。ある調査会社は、東京オリンピックが開催される2020年には、世界中のデジタルデータの生成総量が44ゼタバイトになる、と予想しています。ゼタバイトという単位は耳に馴染みがありませんが、1000ギガバイトの1000倍の1000倍の1000倍にあたります。想像もできない大量のデータです。どうしてここまでデジタルデータの量が増えると予測されているのでしょうか?

まず最初に、生まれてくるデジタルデータの量が増えています。読者の皆さんも、旅行先のスナップや誕生日・運動会などの晴れ舞台の記念写真に、スマホやデジタルカメラを使っている方がほとんどではないでしょうか?昔はフィルムで撮影していたスナップ写真も、今は「デジタルデータ」として生み出されています。デジタルカメラになって写真を撮る枚数が増えた方もいらっしゃるでしょう。撮った写真をinstagramにコメントを添えてアップすると、ここでもデジタルデータが生まれます。世界中で1日にいったい何人のinstagrammerが写真を投稿しているでしょう?Instragramだけではありません。ブログやtwitterもありますし, youtuberも新しい動画を生み続けます。 位置情報を取得するスマホの機能を考えると、スマホを持って移動するだけでデータを生産していると言っても過言ではありません。

CPSとは、Cyber Physical System の略で、現実世界から得られたデジタルデータをデータの世界(Cyber Space)で収集して解析し、その結果を現実の世界での活動に使用する、という、現実世界とデータの世界が相互に関連しているシステムのことです。現在、現実世界のそこかしこで、カメラや各種センサーなどからもたらされる様々なデータを収集・分析し、多様な分野でその結果を活用しています。これらのカメラやセンサーはこの瞬間にも大量のデータを生み続けています。

このようなデジタルデータへの移行は企業や研究機関の活動でも行われています。例えば、今までフィルムに収められていた映画、あるいは、重要な文化財をスキャンしてデジタルデータ化する業務が行われていたり、ヒトの遺伝子情報や宇宙からの電波などの研究データ、そして橋や建物の設計図や工場での製品製造記録など、昨今、多くのデジタルデータが生み出されているのです。

一方、近年のデータ解析技術や人工知能技術の進展により、多くのデジタルデータを解析することで、これまで気がつかなかったことがわかるようになってきました。この解析技術は日進月歩で進化しており、過去のデータを新しい技術で解析することで、当時知りえなかった事実を導き出すことができるようになりました。またコンピュータでの解析技術が進歩することで、人間では時間がかかりすぎて出来なかった大量のデータの分析を非常に高速に行えるようになりました。最近では、大量の論文を学習した機械による分析で診断の難しい白血病を見抜いた例があります。(http://www.nikkei.com/article/DGXLZO05697850U6A800C1000000/)

従来、データを保管する動機は、法律で義務付けられていたり、業務上破損しては困るデータの予備が必要な場合など、「いざ」という時のための「保険」という要素が大きかったかもしれません。しかし、今後は、デジタルデータを長期にわたって保存することで、大量のデータから価値のある情報を導き出すことができるようになり、デジタルデータを保管することの重要性が高まってきました。

大量に生成されるようになったデジタルデータを、積極的にしかも長期間保管しておきたい、という二つの要素が、今後デジタルデータが爆発的に増加するという予想を導き出していると考えられます。そして、このようなデジタルデータを長期に保管するストレージとしてテープ・ストレージがあります。

現在主要なテープ・ストレージ規格であるLTOではそのロードマップで、1巻あたり120テラバイトのデータを保管することができるようになることを目標としています。(圧縮比2.5:1想定。2017年7月現在は6テラバイト。テラバイトは1000ギガバイト) テープ・ストレージは1巻で非常に多くのデータを保管できる上、保管している間は電気を使用しない容量単価に優れた省エネストレージであり、大量のデジタルデータを長期にわたって確実に保管するのに最適なストレージ・システムです。テープ・ストレージは、超大量のデジタルデータを保管していくという時代の要請に応えるため、これからもより多くのデータを保管できるように更なる進化を続ける使命を帯びている、と私たちは考えています。

 

 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

 

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