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接着工学 第2版 〜接着剤の基礎、機械的特性・応用〜 |
= 日本語版へのまえがき =
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本書は,2005 年に出版された原著を大幅に改訂したものである。初版と同じ形式を保ちつつ,いくつかの章を追加して全面的に書き直した。第1 部では基礎科学をカバーし,第2 部では接着剤の試験と特性評価に関する情報を提供している。最後に,接着剤が工業用途でどのように使用されているかを示す7 つの章がある。
最初の章はFay によるもので,先史時代から現在に至るまでの接着の歴史に触れている。この章では,初期の接着剤が樹木の樹脂やアスファルトといった自然界に存在する材料をどのように使用していたのか,そしてそれらの有用な特性を向上させるために,さまざまな工業的プロセスを経てどのように改良されていったのかを示している。しかし,化学者が合成高分子を発明し,それが今日の接着剤に発展したのは20 世紀になってからのことである。
次の章ではComyn が,現代の接着剤とは何か,その物理的特性は何に基づいているのか,どのように硬化するのか(そして有用になるのか)について説明する。彼は,粘着テープから高じん性エポキシまで,現代の接着剤の化学構造を説明する。Watts は,表面の性質と,さまざまな物理的試験を用いて接着適性を評価する方法について説明する。続いてCritchlow が良好な接着可能表面を実現する方法について説明する。洗浄だけでなく,さまざまな化学的前処理を紹介し,良好な初期接着を実現するだけでなく,環境からの攻撃にも耐えられる方法を示す。AndersonとMacon は,高分子接着剤の一般的な特性について記述し,このセクションを終えている。
Akhavan-Safar,Marques,Carbas,およびda Silva による次の章では,試験片から実際の構造で予想されるものまで,さまざまな接合部の応力を解析する方法を扱っている。彼らは,弾性接着剤と延性接着剤の双方について,解析モデルと数値計算モデルの両方を検討している。この章ではComyn が,接合部が過酷な環境,特に水に曝された場合に発生する問題についても述べている。接着接合における主な課題の1 つは品質管理である。特に非破壊検査は重要であり,Crane,Hart-Smith,およびNewman がこれを取り上げている。彼らは従来の非破壊検査の限界を示すとともにレーザー衝撃法の有用性を示し,これ以外では経験豊かな人間の目が最も信頼できるツールの1 つであると結論づけている。
Sato とMarzi は,衝撃荷重の影響と,それらが準静的荷重とどのように異なるかを説明している。また,耐衝撃性接着剤は高いひずみ速度でも強度と延性を維持するため,これを使用すべきであることを示している。Dillard は,破壊力学がどのようにき裂伝播の理解に役立つかを示し,接着剤の破壊じん性を測定する試験について説明している。Ashcroft とMubashar は,疲労という重要なトピックを取り上げ,さまざまな荷重形態が構造物の耐久性にどのような影響を及ぼすかを解説している。金属に関する従来の研究から開発された予測方法を基に示しているが,ここではこれを高分子接着剤に適用している。Hildebrand とAdams は,振動減衰という重要なテーマを取り上げ,接着剤で接合した構造物が金属構造物とどのように異なるかを解説している。サンドイッチパネルとして,あるいはコーティングとして使用される非構造用途の制振高分子でさえも,その成否は接着による結合に依存している。Kellar は,溶接できない異種材料を接着剤で接合し,エネルギー効率が重要視される現代の輸送にとって重要な軽量構造を作ることが可能であることを示している。
構造物の寿命が尽きたときに,その全部または一部をリサイクルできるように,接合部を分解する必要が生じる場合がある。Sato,Carbas,Marques,Akhavan-Safar,およびda Silva は,接着剤に膨張性フィラーを組み込むことによって,これを実現する方法を検討している。また,強度や耐久性に及ぼす可能性のある影響について議論している。Baker とNezhad は,補修のためのさまざまなオプションについて,特に航空機の残留強度と剛性への影響,およびこれらの評価方法について考察している。軽量構造には,繊維強化複合材料の使用されることが多い。
Davies は,これらの材料の強度予測における問題点,特に正確な破壊基準の定義について述べている。また彼は,材料特性を正確に測定することの必要性に言及し,例えばサンドイッチパネルでは現実的な構造を用いて試験する必要性についても述べている。
Vallee とAlbiez は,建築構造物に使用される鋼鉄とアルミニウムを幅広く扱い,いくつかの実用例を挙げている。彼らは,ラボレベルの試験と実際の構造物との相違,特に変動荷重と環境要因の重要性に関して強調している。Sterley,Serrano,およびKallender は,建築用接着のテーマを木材や木質系材料による構造にも広げ,その基礎的な科学と実際の使用例を示している。
Dilger は,現代の自動車が溶接できない異種材料を用いるようになっており,その接合に構造用接着剤をますます使用するようになっている現状について述べている。これらの接着剤は,衝突に耐え,パネルの剥離を避け,かつ金属構造が変形により運動エネルギーを吸収できる必要がある。Dilger はまた,機械的締結手法(自己穿孔リベットなど)を接着剤と組み合わせたハイブリッド接合についても解説している。自動車用接着剤の多くは,カーペットやトリムの取り付けなど,非構造用途にも使用されている。Hentinen は,船舶および舟艇の構造における接着剤の使用について説明している。ここでは木材,繊維強化プラスチック複合材料(FRPC)サンドイッチパネル,スチール,アルミニウムなど,さまざまな材料が使用されている。船の大きさや機能は,セーリング・ディンギーから本船までさまざまで,海軍の掃海艇はガラス製のFRPC で作られることが多い。水に浮いている以上,船舶に用いられる接着剤はすべて,水漏れがなく,水による劣化に強くなければならないという明らかなニーズがある。例えば主要な構造に使用される構造用接着剤でさえ,外部パネルのシール機能を同時に提供している。接着剤の重要かつ広範な用途は製靴産業であり,そこでは多種多様な基材が,同様に多種多様な接着剤で接合されている。Martin-Martinez は,さまざまな種類の接着剤が,時には伝統的な縫製と組み合わされながら,最新の靴を作るためにどのように使用されているかを説明し,多種多様な基材に対する慎重な表面処理の必要性を強調している。Nassiet,Hassoune-Rhabbour,Tramis,およびPetit は,電子部品の封止から回路基板上のチップの接着に至るまで,電気・電子産業における接着剤の使用を取り上げている。彼らは,接着性が重要である一方で,熱伝導性や電気伝導性も重要であることを指摘している。現代のエレクトロニクスは,接着剤をうまく塗布できるかどうかに完全に依存している。また聖杯は,はんだ付けを導電性高分子接着剤に置き換えることであるが,その実現の遠い道のりはまだ遠いことも同時にして示している。最後にHart-Smith は,航空機構造について解説しており,その接着剤の主な用途は2 つあると述べている。彼は,最新の航空機用接着剤の典型的な応力-ひずみ特性と,それらが設計や機能にどのように寄与するかについて説明している。構造的な欠陥は深刻な結果をもたらすため,厳格な非破壊検査および品質保証手順とともに,適切な表面処理も必要かつ重要であることを示している。最後に,航空機産業における彼の生涯の経験に基づく推奨事項リストを示し,本章を締めくくっている。
接着剤の使用に慣れていない方,あるいは経験豊富な方であっても,安心感や新しいアイデアを必要としている方であれば,求めるもののほとんどを本書で見つけることができるだろう。著者はいずれも各分野の専門家であり,その多くは長年の経験を持つが,現在のトレンドにも精通している。各章は,基礎的な科学から多くの産業応用の解説まで,幅広いトピックをカバーしている。各章には包括的な参考文献リストが添付されている。
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BSc[Eng ],DSc[Eng ]ロンドン,PhD,ScD ケンブリッジ
ブリストル大学機械工学 名誉教授
International Journal of Adhesion and Adhesives 名誉編集長
R.D.Adams |
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接着工学 第2版 〜接着剤の基礎、機械的特性・応用〜 |
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