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== 改訂版発行にあたって ==
遺伝学は遺伝(親から子へどのように形質が伝わるのか)と多様性
(どのように多種多様な生き物が誕生し進化して来たのか)を研究する学問です。
100年以上前から生命科学の中心をなし、現在では生物学のほとんどすべてと言ってもいいくらい、
多くの分野が遺伝学を基礎として発展しています。それに伴い、遺伝学で使う用語も変化し、
新しい用語が続々登場しています。日本では、伝統的に漢字から意味がわかるように日本語の対訳をつけてきました。
生徒や学生に教える教育用語として、これらの対訳は非常に役に立ちます。しかし最近は、
例えばゲノムやエピジェネティクスのように日本語に訳さずカタカナのまま使っている言葉もあります。
また、これまで使われてきた用語の中にも、研究の進歩や社会の変化により、訳が実情と合わなくなったり、
差別的な意味として受けられてしまうものも出てきました。そのため、遺伝学の用語は定期的に見直す作業が必要になってきます。
今回の改定では、初版にいただいた様々な意見も踏まえ、日本遺伝学会教育用語検討委員会で議論、整理し、
一部については用語の追加・変更をいたしました。さらに新型コロナウイルスやPCR検査、
日本の遺伝学の歴史などの新しい項目も加え、現時点で最適と思われる用語を提案しております。
2019年7月に日本学術会議生物学分科会から出されました「高等学校生物教育における重要用語の選定について」
にも準拠しています。学習や教育にご活用いただければ幸いです。
最後になりましたが、改訂版作成にあたって多くの専門家のご意見を頂戴いたしました。
特にvariation, mutationの訳語については日本分類学会連合、
顕性・潜性につきましては日本人類遺伝学会や日本医学会用語委員会のワーキンググループ作成の報告書内容を反映させていただいております。
心より感謝致します。
2021年 3月
日本遺伝学会会長(2017-2020)
小林 武彦
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生物の科学 遺伝別冊No.25 改訂 遺伝単 〜遺伝学用語集 対訳付き〜 |
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