消費型ITとOpexストレージ、最新動向を調査

Storage Magazine 2021年8月号より
Robert Sheldon

進化する消費型IT、従量課金型基盤、ストレージのモデルは最先端のトレンドだ。この技術のメリットと課題およびこの市場のトップベンダー5社を調査しよう。

クラウドプロバイダーがそのサービスで企業を引き付けている一方で、ハードウェアベンダーは、どうすればユーザーの運用をオンプレミスにとどめることができるか、その方法を模索してきた。その結果、Dell Technologies、HPE、Lenovoなどのベンダーは、クラウド的なエクスペリエンスをデータセンター、エッジ環境、その他オンサイト・ロケーションに導入するために、消費型ITサービスを提供するようになった。

この新しいプログラムでは、ユーザーはサブスクリプション(定額使用料)を払ってベンダーから機器を借りるが、使ったリソースの分だけを払うことにより、Capex(設備投資型)からOpex(運用コスト型)へと移行する。しかし、消費型ITはまだ出て間もないため、ベンダー間の整合性がほとんど取れておらず、分かりにくい市場になっている。この市場を調査しようとする企業は、各ベンダーがどのようなサービスを提供し、それらのサービスをどう比較すればよいのかが分からず、難儀することだろう。

消費型ITは企業をどう変えるのか

消費型ITのプログラムを使えば、企業は前払い費用を最大限に抑えて、自社のデータセンターやその他のオンプレミス・ロケーションでクラウド的なサービスが受けられるようになる。企業は使ったサービスの分だけを払えばよい。丸ごとハードウェアを購入した場合の様に、オーバープロビジョニングや使っていないハードウェアのサポートが必要になることもない。消費型ITでは一般的に、ユーザーは使用量とサービスのレベルに応じて月額使用料を払う。一部のベンダーは、高機能監視やAIを利用したインサイトなどの付加価値サービスも提供している。

消費型ベンダーの多くが、ユーザーが必要になるまで使われずに置かれるリザーブドキャパシティをサービスに入れている。このようにすれば、企業はほんの一時(いっとき)だけ使うハードウェアに投資しなくても、刻々と変化するワークロードに、より簡単に対応できる。ベンダーは、課金を正確に行うために常に使用量を監視している。また、ユーザーも、容量についての計画を立て、特定のワークロードに対して予算を紐づけるために、集められたデータを利用できる。

また、多くのベンダーが何らかの形で管理やサポートを提供している。もっとも、これらのサービスはベンダーごとに、あるいは同一ベンダー内のパッケージ間でも大きく異なっている。ベンダーは一般的に、システムのプロビジョニング、デリバリー、インストールを行い、サポートを提供する。一部の消費型パッケージには、常時システム管理が入っており、よりクラウド的なエクスペリエンスを提供している。

消費型プログラムは、ITを簡素化し、従来の方式よりも高い柔軟性を提供すると謳っている。これらのプログラムが謳っていることを本当に実現できるのであれば、動的な本質を持つ今日(こんにち)のワークロードと基盤を密接に連携することによって、企業のアジリティ増大に貢献できるだろう。そうすれば、企業は変化する市場の状況と顧客の要求に対して、より迅速に対応できるようになる。同時にITは、より優先度が高い案件とより革新的な取り組みに注力できるようになる。話をまとめると、これらの変化は企業に高い競争力をもたらす。ただし、それは企業が消費型ITの短所を最小化しながら、うまくそのメリットを享受したときに限られる。

メリットとデメリットを比較する

企業が消費型モデルを採用するようになったのは、従来のオンプレミス・システムとパブリッククラウド・サービスの課題を解決してくれるからだ。消費型モデルの主なメリットは以下の通り。

  1. 消費型ITサービスは、予測可能な料金体系を持ったOpexモデルに忠実だ。これによって、前払い資本コストを減らすか、無くすことができる。
  2. 測定機能によってリソースの使用量が可視化され、リソースの割り当ての予算化と特定のワークロードに対するリソースの紐づけが容易になる。
  3. ベンダーの多くが、リザーブドキャパシティまたは容易にスケールアップできる機能を備えたハードウェアを使っているために、高い柔軟性が実現され、将来のワークロード要件を予測する必要性が減る。
  4. 消費型プログラムが提供する管理サービスのレベルは異なるものの、これらのプログラムは一般にITの簡素化に貢献し、基盤の運用計画、購買、デプロイメント、保守、監視、アップグレード、撤収を容易にしてくれる。
  5. ユーザーは、自社のシステムを、クラウドサービスで行うよりも、上手くコントロールできる。これは、セキュリティとコンプライアンス要件にとって重要なポイントである。
  6. 従量課金サービスは、リスクを最小化するのに役立ち、リソースのオーバープロビジョニングや使わないリソースをサポートする必要性を減らして、コスト節約を実現する可能性を持っている。またこれらのサービスにより、必要に応じて柔軟にサービスの拡張および更新ができるようになる。

しかし、課題(デメリット)もある。例えば、TCO(訳注:総所有コスト。設備・機器などの導入運用管理に必要な全経費)は、ハードウェアを丸ごと買うよりも高くなることがある。リース期間が終了したユーザーは特に、投資の成果として示せるものが何も無いのだ。また、ユーザーは最低限の容量とサービス期間の契約が求められる。

同時に、基盤コンポーネントの組み合わせ方、および、機器やソフトウェアの更新・アップデート時期に関するユーザーの権限は、機器を丸ごと購入した時に比べて弱くなる。ベンダーはまた、ユーザーの使用やその他運用に関する測定データを収集し、管理のために、しばしばユーザーのシステムにアクセスしなければならない。

消費型料金システムの長所と短所

消費型製品とサービス5例

オンプレミス基盤向け消費型サービスは、若い市場だ。これらのサービスが何なのか、それらが何を提供すべきなのかについて、広く認められた定義はまだ出来ていない。各ベンダーが独自のやり方でサービスを提供しているために、各ベンダーのサービスを明確な定義なしで比較するのは、非常に難しい。

以下は、消費型IT市場のランキング上位を占めるプログラムを持つベンダー5社が提供する内容だ。これらの製品は、意思決定者たちが使用可能なサービスを検討する時、どのような困難に直面するのかが分かる、良いサンプルになっている。

Dell Technologies Apex

Dell Technologiesは、消費型IT市場において強固な拠点を作るべく、Apex基盤サービスを発表した。Dellは、いつかの時点でApexプログラムによって基盤サービスの全ポートフォリオをそろえることを計画している。このプログラムは、以下の4つのカテゴリーのサービスを提供する。

  1. Apexデータストレージサービス
    Dellはブロックストレージ、ファイルストレージ、両方のサービスを提供する。
    どちらのストレージタイプでも3種類のティアが用意されている。各ティアは、パフォーマンスとベースキャパシティ要件によって分けられている。これらのストレージには、オンデマンドで追加できるバッファーキャパシティが付いている。ユーザーは、余分に課金されることなく、使った容量の分だけを支払えばよい。Dellが、デリバリー、デプロイメント、監視、運用、デコミッショニング(訳注:インベントリからのホストの削除)を行う。
  2. Apexクラウドサービス
    このクラウドサービスは、Dell EMC VxRailハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(HCI)とVMwareソフトウェアをベースにしている。Dellは、プライベートクラウドとハイブリッドクラウドの2つのデプロイメント・モデルを提供している。ユーザーは、自社のラックか、全てDellが構成したラックにシステムをデプロイできる。ハイブリッドクラウド・モデルを選択した場合も、ユーザーはVMware Cloud Foundationスタンダードかエンタープライズ・エディションを選べる。価格は、インスタント単位、月単位の料金体系に基づいている。
  3. Apex Flex on Demand
    このプログラムでは、ユーザーはこの技術を使った分だけ支払い、バッファーキャパシティに即座にアクセスすることができる。Flex on Demandは、PowerEdgeサーバー、一部のHCI製品、PowerProtect DD、PowerProtect DP データ保護アプライアンス、PowerStore、PowerMax、PowerFlex、PowerScale、Elastic Cloud Storageで使用可能だ。ユーザーは、コミットキャパシティについては定額を払い、バッファーキャパシティについてはその都度変動する料金を支払う。ユーザーは、ワークロードの変化に応じてコミットキャパシティを調整できる。
  4. Apex Data Center Utility
    Dellは、自社の製品ポートフォリオとユーザーが選択した専門的なサービスとサポートを組み合わせて、ユーザーのデータセンターと運用を管理する完全なパッケージを提供している。Dellは、自動化ツールを使って実際の消費を記録し、次にユーザーが 閲覧できるようにその情報を提供する。ユーザーは次に、実際の使用量に応じて作られた一つのみの請求書を受け取る。ユーザーは、特定の業務の要件に合わせてサービスをカストマイズできる。

Dellは、Apexサービスと連携するApex Consoleを提供している。Consoleには、ユーザーが別のサービスを申し込んだり、自社のリソースを拡張したり、追加したりするのに使えるポータルが用意されている。ユーザーはこのポータルを使って、Apexリソースのヘルスやパフォーマンスを監視したり、アラートや通知の設定を行うこともできる。

HPE GreenLake

HPEは、GreenLakeで消費型ITの取り組みの最前線に立ってきた。GreenLakeは、エッジ、データセンター、コロケーション環境などの複数のユーザー・ロケーションに、HPEのIaaSを提供する従量課金型のプログラムだ。HPEは、事前設定したシステムを納入し、システムのライフサイクルが終わるまで管理を行う。

HPEは様々なHPE製品でGreenLakeを使えるようにしてきた。2022年までには全ポートフォリオを提供しようと計画している。GreenLakeは、先進的測定技術を使い、広範な測定方法をベースにした従量課金モデルを採用している。ユーザーは、最初に最低限のリソース・コミットメントをしなければならないが、それ以降は使った分だけを支払えばよい。

GreenLakeプログラムを陰で支えているのは、HPE GreenLake Centralというソフトウェア・プラットフォームだ。このプラットフォームは、ユーザーが自社のGreenLakeサービスを管理し最適化するために、以下の機能を提供している。

  1. GreenLakeリソースへのアクセス
    単一ポータル経由で、ITメンバーは主要なパフォーマンス・インジケーターを閲覧し、HPEのマーケットプレイスからアプリやサービスを購入し、アプリやデータをより適切に管理するために、GreenLakeリソースへの迅速なインサイトを得られる。
  2. 消費の分析
    ITメンバーは、ハイブリッドクラウド全体の状況の使用量とコストの分析を見ることができる。GreenLake Centralは、オンプレミスとパブリッククラウド・プラットフォーム間の使用量の合計に応じてシステムを最適化するインサイトも提供する。
  3. 将来の容量計画
    使用量を監視することにより、管理者は使用可能容量に対して実際に使用した容量を比較でき、過去の使用量とその傾向に基づいて、いつ追加の容量が必要になるかの予測が可能になる。
  4. サービスのデプロイメントと管理
    GreenLake Centralは、管理者がGreenLakeリソースのプロビジョニング、監視、 管理を行う手間を軽減してくれる。管理者は、CPU、ストレージ、メモリ使用量全体の統計を閲覧できるだけでなく、迅速にプロビジョニングされたリソースに対して事前設定されたワークロードを使うことができる。
  5. ガバナンス、リスク、コンプライアンスの監視
    GreenLake Centralは、GreenLake システムを監視するために1,500個以上のコンプライアンス・コントロール(訳注:コンプライアンス違反を監視する機能)を提供している。このプラットフォームは、ユーザーがコンプライアンス違反および抵触リスクを発見することを可能にし、監査をスムーズに行うための包括的なレポートを作成する。

HPEはGreenLakeサービスを複数のパッケージを組み合わせた基盤として提供している。例えば、パッケージ・リストに挙げられている製品のひとつPrivate Cloudは、HPE Synergyコンポーザブル・インフラストラクチャー・アプライアンスをベースとしている。このパッケージは、VMware Cloud FoundationまたはRed Hat OpenStackと連携する。もう一つのパッケージがStorageで、HPE PrimeraまたはHPE Nimble Storageシステムをベースとした数種類の構成が用意されている。HPEは、Machine Learning、Database Platform、High Performance Computingなどのパッケージも販売している。

Lenovo TruScale インフラストラクチャー・サービス

TruScaleプログラムは、オンプレミスまたはエッジにデプロイできる基盤を求める全ての企業をターゲットにしている。ユーザーは、ThinkSystem DE Series All-Flash Arrayが入ったThinkSystemまたはThinkAgile製品ポートフォリオのどちらかを選択する。Lenovoはハードウェアをインストール、デプロイし、サービス期間中それを保守し、期間が終了した時にそれを撤去する。Lenovoはまた、顧客を担当する専任のカスタマー・サクセス・マネージャーを個々のユーザーに割り当てている。

大半の消費型ITプログラムと違って、Lenovoは最小限のキャパシティ・コミットメントを要求しない。ユーザーは、自社の要件に合ったどのような構成についてでも計画を立てることができる。サーバーまたはストレージ・リソースを強化したい、ハイパーコンバージェンスまたはハイパフォーマンス・コンピューティングのような、より特化した構成が必要な場合でも、このプログラムは対応可能だ。

TruScaleは、ユーザーが必要に応じてスケールアップやスケールダウンを行える、正真正銘の従量課金(訳注:原文はpay-as-you-go)プログラムだ。このプログラムは、簡単な容量追加機能、使用量に応じて月毎の支払いを予測する機能を提供している。ユーザーは、複数の情報にアクセスして、自社の使用量を常時、リアルタイムで監視できる。この機能は、コストの管理と予測、および潜在的な問題の解決に役立つ。

Lenovoは、SAPやNutanixと提携して、TruScaleの新たなサービスを追加した。

  1. TruScale + SAP S/4HANA Cloud
    SAP HANAが検証したLenovoのサーバーとストレージをベースにした、単一の従量課金制製品。このパッケージにはSAP S/4HANA Cloudのオンプレミス版も入っている。TruScaleサービスはSAP経由でのみ使用可能。
  2. TruScale for Hosted Desktops with Nutanix
    このパッケージは、Lenovo ThinkAgile HX HCI with Nutanix Cloudソフトウェアが入った、完全な仮想デスクトップ・プラットフォームを提供する。また、一部のLenovoのシンクライアントやPC、さらにCitrix Virtual Apps and Desktopsやその他の仮想デスクトップ基盤ソフトウェアと連携する。

TruScaleは、ユーザーのデータ・プレーンから分離された外側で使用量の測定を行う機能を持っている。ユーザーは、アプリケーション層上に自社独自のセキュリティポリシーを置き管理する。Lenovoは、ユーザー操作不要でLenovoの専門サービス・エキスパートが24時間365日のリモート監視と管理を行うためのプラグインを提供している。

NetApp Keystone

Keystoneは、NetAppのストレージ製品とクラウドソフトウェアをベースにしたサービスのポートフォリオを提供している。Keystoneによって、ユーザーはオンプレミスとクラウド上に広がるハイブリッドクラウド環境を構築できる。NetAppは、ユーザーがKeystoneサービスを購入する際に、3つの支払い方法を提供している。

  1. Flex Pay
    異なるキャッシュフローや予算化の必要性に合わせて、融資、リース、定額、変動の支払いオプションが用意されている。これによって、企業は自社の規模に応じた機器を全てそろえることができる。
  2. FFlexサブスクリプション
    従量課金モデルで、ユーザーの前払いコストを減らし、100%Opexモデルをサポートする、ハイブリッドクラウド・ストレージサービスを提供する。
  3. FFlex Utility
    一つのサブスクリプションでオンプレミスとクラウドのサービスを提供するユーティリティ・サービスで、あらゆるクラウドに拡張が可能になる。

この3つのオプションの中で、FlexサブスクリプションだけがDell、HPE、Lenovoと同等の従量課金サービスを提供している。Flexサブスクリプション・プログラムでは、ユーザーに数多くのサービスレベルから、ひとつを選択させる。レベルによって、ストレージのタイプ(ブロックのみ、オブジェクトのみ、ファイルおよびブロック)と求められるパフォーマンスが決まる。各サービスレベルで、それぞれ最低限のキャパシティ・コミットメントが求められる。

Flexサブスクリプション・プログラムでは、特定の運用に関して、誰が責任者なのかを定義した3つの運用モデルを用意している。

  1. NetAppが運用
    NetAppが、Keystoneシステムの構築、監視、管理、操作、最適化、サポートについての責任を負う。
  2. 認定パートナーが運用
    認定パートナーが、Keystoneシステムの構築、監視、管理、操作、最適化、サポートについての責任を負う
  3. ユーザーが運用
    NetAppは、Keystoneシステムの構築とサポートについての責任を負い、ユーザーは、監視、管理、操作、最適化についての責任を負う。

3つのモデル全てにおいて、NetAppがハードウェアとソフトウェアを所有し、どのソフトウェアのバージョンを使い、いつアップデートできるかは、NetAppが決めている。しかし、「NetAppが運用」モデルを契約したユーザーは、セルフサービスポータルNetApp Service Engineを使って、ストレージのプロビジョニング、消費レベルについてのレポートの閲覧、サービスリクエストやサブスクリプションの変更を掛けることができる。NetAppは、基本パッケージに追加できるサービスとしてデータ保護を提供している。

Pure Storage社のSTaaS

Pure Storageは、自社のストレージ製品向けに複数の支払いオプションを用意している。しかし、このベンダーが何をSTaaSと考えているのかは、必ずしも明確ではない。その理由の一部は、Pure Storageのサービス分類に統一性がないからだ。Pure Storageは、下記の4つのパッケージを自社のSTaaSポートフォリオに入れている。

  1. Evergreen Storage
    Pure Storage製品は、単純明快な定額方式で提供されるが、10年以上にわたる継続的な改善と部品レベルのアップグレードという付加価値が付いている。
  2. Pure as-a-Service
    ユーザーは、一つのサブスクリプションと一つのストレージ・サービスのセットを持っていれば、従量課金のハイブリッドクラウドのエクスペリエンスを提供する、オンプレミスとパブリッククラウド用のSTaaSを使えるようになる。
  3. Portworx
    どんなKubernetesプラットフォームを使っているクラウドにおいても、あらゆるクラウド・ネイティブのデータサービスを起動できる機能を提供するパッケージ。データセキュリティ、データ保護、高可用性、ハイブリッドクラウド・モビリティ(訳注:クラウド-オンプレミス間のワークロードやデータの移動)を提供している。
  4. Pure Cloud Block Store
    このサービスは、AWSおよびAzure両方のクラウド・ブロックストレージ用にデータ・モビリティとデータ保護を提供し、圧縮、重複排除、シンプロビジョニングなどで基盤の効率化を実現する。

いくつかの資料において、Pure StorageはPure as-a-ServiceとPure Block Cloud StoreだけをSTaaSに分類している。しかし実際のところは、Dell、Lenovoが提供しているプログラムと同等なのは、Pure as-a-Serviceだけだ。

Pure as-a-Serviceは、ブロックストレージおよび統合型高速ファイル/オブジェクト(UFFO)ストレージの2種類のストレージをサポートしている。Pure Storageは、ブロックストレージ・サービスを4つのティアで、統合型高速ファイル/オブジェクトストレージ・サービスを2つのティアで提供している。各ティアはパフォーマンスのレベルが異なる。

Pure as-a-Serviceは、完全なOpexサブスクリプション・モデルを提供している。ユーザーは、自社で使った分だけを支払う。サブスクリプションには、ストレージだけでなく、ユーザーが自社のハイブリッドクラウド環境を単一のダッシュボードから管理できる、管理ツールPure1が入っている。このツールは、VMの分析やAIによる予測レポートのアクセスに使うこともできる。

貴社を担当するベンダーに聞くべき5つの質問

Dell Technologies、HPE、Lenovo、NetApp、Pure Storageが提供する消費型ITサービスを、このように一通り見ると、それぞれのベンダーの従量課金プログラムの中身が大きく異なることがよく分かる。混乱をさらに深めているのは、NetAppやPure Storageのように多くのベンダーが、消費型モデルとは言えない一部のプログラムを、消費型モデルのプログラムと並べて販売しているからだ。

従量課金システム5つの課題

そのため、意思決定者はベンダーがどれを消費型としているかを見極めるために、各サービスを入念にチェックしなければならない。それをしたうえで、次にユーザーはパッケージを一つに絞り込む前に、各ベンダーに以下の5つの大事な質問をすべきである。

  1. 消費型パッケージとして、どのレベルのサービスをコミットし保証しているのか。
  2. 長期間の契約をコミットする前に、製品とサービスをテストする試験期間やその他の方法は用意されているか?
  3. ベンダーは、パッケージに入っているハードウェア、ソフトウェア、その他コンポーネントや機能についての詳細な仕様を提供できるか。また、それらのコンポーネントは、いつ更改またはアップデートされるのか?
  4. パッケージには、どのような運用計画支援、管理、監視、測定、トラブルシューティング・サービスが入っているのか?
  5. ベンダーのシステムを自社の環境にデプロイおよび移行するのに、どれくらいの時間がかかるのか?

現在、市場に出ている消費型ITプログラムの間には大きな違いがある。そのため、意思決定者はベンダーが提供しているものに対して、勝手な思い込みをせず、自社が契約するものが期待通りであることを確かめるために、あらゆることを調べるべきだ。従量課金サービスをコミットしてしまった後に、見落としていたことに気付く、というのは誰でも避けたいはずだ。

著者略歴:Robert Sheldonは、技術コンサルタント兼フリーの技術ライター。彼はまた、ebookの出版の仕方を解説したEbook Nowの著者でもある。

 

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