コンバージド・データセンター技術の変遷:過去、現在、未来

Storage Magazine 2020年11月号より
Robert Sheldon

CI、HCI、dHCI*訳註1、CDI、これらの技術が貴社の環境とワークロードに適しているのか、そしてコンバージド・データセンターがどのように進化し続けるのかを明らかにしよう。

コンバージド(集約型)・データセンター技術は、IT基盤を構成しているバラバラのコンポーネントをよりうまく統合する方法を見つける目的で、従来の基盤とストレージの制約に対処するために登場した。それ以来、コンバージド・データセンターは進化してきた。

データセンターを集約化する動きは、10年前コンバージド・インフラストラクチャー(CI)から始まった。これは、基盤デプロイメントと保守の効率化を提供する、事前設定済みのハードウェアをベースにした製品だった。

ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(HCI)は、上記の流れの中で作られた、事前設定済みのソフトウェアをベースにした製品で、これによりITの運用はさらにシンプルになった。これに続くのが、コンポーザブル・ディスアグリゲーテド・インフラストラクチャー(CDI)である。CDIは、自動化とオーケストレーション用に、より高い柔軟性と統合化サポートを提供する目的で、コンバージドとハイパーコンバージド、両方のインフラストラクチャー要素を組み合せている。

これら三つのインフラストラクチャー、CI、HCI、CDIは、今日(こんにち)のコンバージド・データセンター技術へのアプローチを代表するものだ。とはいえ、ベンダーが勝手に自社の製品を定義しカテゴライズしているので、各技術の境界は時として曖昧になる。

この傾向は、ハイブリッドクラウドに向かう動きに関して、さらに顕著になる。とはいえ、この三種類のコンバージド・インフラストラクチャーは、皆共通のゴールを持っている: 従来型データセンターの課題と非効率に対処すること、である。

*訳註1:dHCI(disaggregated Hyper Converged Infrastructure)は、より柔軟な拡張性を提供するために、個々のノードで物理コンピュートと物理ストレージを分離したHCI。

コンバージド・データセンターとは何か

従来の基盤は、スタンドアローンのコンポーネントで作られており、その多くは複数のベンダー製でメーカーごとのサイロの中で稼働している。アプリケーション・デリバリは通常、マルチティア戦略をベースとしており、特定のワークロードをサポートするために機器がデプロイされ設定されている。このアプローチは非常に高い柔軟性を提供するが、高価で保守が複雑であり、常に互換性と統合化に関する課題を抱えている。

とはいえ、従来の基盤はワークロード要求に十分応えていた。複雑且つ動的、そしてリソースに高い負荷を要求するモダンアプリケーション*訳註2が登場するまでは。これらのアプリケーションは、高度なアジリティとスケーラビリティを要求するだけでなく、地理的に分散している場合もあり、従来のアーキテクチャーにかつて無いほどの負荷をもたらした。

訳註2:モダンアプリケーションとは、仮想マシン、コンテナ、サーバーレス・ファンクションなどをオーケストレーションを用いて管理し、マルチクラウドに対応したレジリエントなソフトウェア・サービス。

コンバージド・データセンター技術は、保守が日増しに困難且つ高価になっている、従来の基盤とマルチティア・アーキテクチャーの多くの制約に対処している。コンバージェンスは、IT運用の効率化を促進し、データセンターのリソースを有効に利用し、基盤のデプロイおよび管理費用を低減してくれる。CI、HCI、CDI、どのコンバージド・システムも、モダンアプリケーションの課題を解決するために、コンピュート、ストレージ、ネットワークのリソースを様々なレベルで統合する。

コンバージド・システムでは、それぞれのリソースがワークロード・デリバリにとって必要不可欠だが、アプリケーションとそのデータをサポートしながら基盤を動かすのは、何といってもストレージだ。コンバージド・ストレージは、NAS、SAN、DASといった従来のシステムが抱える制約に対処してくれる。これらのシステムは固定され変更が困難で、デプロイや管理が複雑になることがあり、他の従来型インフラストラクチャーと同じく多くの欠点に苛まれている。

コンバージド・データセンター技術は、CI、HCI、CDI、それぞれ異なるアプローチを取りながら、より簡易なデプロイと管理で、確実にストレージを提供してくれる。

コンバージド・インフラストラクチャー(CI)

コンバージド・インフラストラクチャーは、サーバー、ストレージ、ネットワークのリソースをターンキーのラック型アプライアンスにバンドルすることにより、従来の基盤が抱えていた互換性と管理の課題に対処した。このアプライアンスは、特定のワークロード用に綿密に設計され最適化されており、デプロイメントのリスクの低減とリソースの有効利用を助ける。

CIアプライアンスには、HDD、SSDまたはその両方をサポートでき、他のリソースに依存することなくストレージを拡張する機能が付いている。管理者は、中央一元化されたオーケストレーション・コンソールから基盤コンポーネントを管理する。

CIアプライアンスによって、企業は従来の基盤より購入もデプロイも管理も容易な、事前認証され、事前設定されたシステムを手に入れるのだ。この基盤は単一の標準化されたプラットフォームとして実装され、各コンポーネントは事前検証済みでシームレスに連携する。これによって、データセンター効率化の増大、オーバーヘッドの削減、コストの低減が促進される。さらに、中央一元化されたインターフェースによって、コンポーネントごとの運用インターフェースに依存する割合が減る。

残念ながら、CIも従来の基盤と同様の制約をいくつか抱えている。例えばCIには、今日(こんにち)のアプリケーションの多くが要求するアジリティや動的機能が欠けている。CIアプライアンスは、ソフトウェアベースというよりハードウェアベースの製品であるため、柔軟性やソフトウェア定義の基盤が提供している簡易化された管理機能を備えていない。CIアプライアンスはまた、他のデータセンター・システムと相互運用性の問題を起こし、ベンダー・ロックインを招く可能性を持っている。

とはいえ、CIは従来の基盤を代替するものとして高い人気を維持しており、ベンダーは、かつて無いほど堅牢で機能豊富なCI製品を提供している。例えばDell EMCのPowerOneシステムは、数千のノードと数ペタバイトのストレージをサポートしながら、運用分析と監視を行う、ゼロ・ミッドプレーン・サーバーの基盤を提供する。シスコは、デプロイメントと管理業務の自動化を行う、ライフサイクル・マネジメント・プラットフォームであるCisco Intersightを含む強力なCI製品ラインを出している。

ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(HCI)

コンバージド・データセンター技術の次の進化は、HCIの形をとって現れた。これは、マネージド・リソースのプールに対して、コンピュート、ストレージ、ネットワークのコンポーネントを集める、ソフトウェア定義レイヤーを加えることによって、CIを拡張したものである。HCIは、コンポーネント間の緊密な連携を付加し、高度な抽象化と自動化を提供してデプロイメントと管理をさらに簡素化している。各ノードはコンピュート・リソースを仮想化して、全ノードにまたがるストレージ・プールの土台を提供する。これにより、物理SANや物理NASの必要性がなくなる。

HCI製品は、特定のワークロード用に事前設定と最適化がなされた複数の内蔵ノードで構成されている。このビルディングブロック構造によって、抽象化された物理コンポーネントと共に、従来型基盤やCIよりも、容易にリソースをデプロイおよび拡張できるようになり、結果的に操作の高速化、アジリティの増大、複雑さの低減をもたらしている。さらに、多くのHCIアプライアンスが、組み込みでデータおよび災害復旧保護機能を内蔵している。

その一方で、HCIもいくつかの課題を抱えている。例えば、多くのHCI製品は、同一のノードでコンピュートとストレージ・リソースを組み合わせている。このシステムを拡張する唯一の方法は、ノードを丸ごと追加することだが、結果としてコンピュートまたはストレージ・リソースの過剰供給を招く場合が出てくる。さらにHCIは通常、特定のワークロード用に事前設定されているために、専門的なアプリケーションをサポートする際、柔軟性に制約を受ける状況が発生する。また、CIとよく似ている点だが、HCIでもベンダー・ロックインを回避するのは難しい。

しかしながら、HCIの人気はその実績が示すとおりだ。特に、ベンダーが自社の製品を改良し、HCIの制約に取り組み続けたことが効いている。その一例は、分離型HCI(dHCI)だ。これはより柔軟な拡張性を提供するために、個々のノードで物理コンピュートと物理ストレージを分離したものだ。例えばHewlett Packard Enterpriseは、HPE ProLiantサーバーとHPE Nimbleストレージ上に構築した、Nimble Storage dHCI productを販売している。これはdHCI製品なので、ユーザーはサーバーとストレージを別々に拡張することができる。

ハイパーコンバージド・ベンダーも、高パフォーマンス・システムを要求する基幹系ワークロードの需要に応えるべく改良を行っている。例えば、CiscoのHyperFlex All NVMeシステムは、より高いIOPSと低レイテンシを提供するIntel QLC 3D NAND NVMe SSD とIntel Optane DC SSDの両方をサポートしている。Cisco HCIシステムは、CPUの圧縮処理を肩代わりするHyperFlex Acceleration Engineも提供している。これは、仮想マシン(VM)密度を高めながら、もう一段レイテンシを低減してくれる。

コンポーザブル・ディスアグリゲーテド・インフラストラクチャー(CDI)

コンバージド・データセンター技術進化の次のステージは、コンポーザブル・インフラストラクチャーと呼ばれることもある、コンポーザブル・ディスアグリゲーテド・インフラストラクチャー(CDI)だ。CDIはCIとHCIの最良の部分を組み合わせて、完全にソフトウェア主導の環境を提供するための拡張を行ったものだ。CDIは、コンピュート、ストレージ、ネットワークリソースを抽象化し、絶え間なく変化するアプリケーションのニーズを満たすべく、動的に構成および再構成できるサービスとして、それらのリソースを提供する。この基盤はまた、管理者や開発者が、リソースのプロビジョニングや業務のオーケストレーションおよび自動化に使える包括的な管理APIを提供する。

CDIは、CIやHCIよりもリソースを有効に利用し、多様かつ絶えず変化するワークロードに、より巧みに対応する。例えば、元々のCIやHCIシステムは、単に仮想化されたワークロードを稼働することしかできなかった。しかし現在では、新しいシステムの多くがコンテナをサポートしている。とはいえ、仮想マシン、コンテナ、ベアメタル内でアプリケーションを走らせることができるのはCDIだけだ。CDIはまた、モダンアプリケーションへの対応に、より適している。CDIの包括的APIは、他の基盤が抱えるデプロイメントと最適化にかかる大量のオーバーヘッドを排除しながら、管理を簡素化し、業務を効率化してくれる。

一方でCDIは、業界標準はおろか、コンポーザブルが何を意味するかという共通の定義さえ確立していない若い技術である。コンポーザブル・ベンダーは、自力でCDI製品を作り上げ、それぞれが独自の規則に従っている。これによって、ベンダー・ロックインのリスクが高まるだけでなく、企業が万が一複数のベンダーのCDI製品をデプロイした場合、相互運用性の問題が起こりうる。

色々な意味で、CDIはまだ現実というよりもビジョンであり、この動きを作っているソフトウェア定義の理想形を実現するまでには長い道のりが待っている。そのような状況の中でも、ベンダーは前進を続け大きな進歩を遂げている。例えばHPEは、柔軟なデプロイメント環境を提供するために、コンポーネントを論理リソースプールへと分離した、ソフトウェア定義のコンポーザブル・システム、SynergyとComposable Rackの両方を販売している。HPEは最近、自社のPrimeraストレージプラットフォームをこの両方のCDIシステムと統合した。オールフラッシュ・ストレージアレイと組み合わせることにより、基幹系エンタープライズ・ワークロードをターゲットとする製品に仕立て上げたのだ。

コンバージド製品を選択する

どのコンバージド・システムにするかを決める前に、IT部門は、システムがどのアプリケーションとワークロードをサポートしなければならないか、それらが要求するパフォーマンス、データストレージ、データ保護、さらには将来の拡張性を見極めるべきだ。

CIアプライアンスは通常、大企業をターゲットとしており、特定のアプリケーションまたはワークロード用に構成が組まれている。それに対してHCIは当初、VDIの実装に関心を持っている中小規模の企業に注力していた。しかし、あらゆる規模の企業が、HCIに様々なワークロードをサポートしてもらいたいと思うようになって、状況は変わってきている。

一部の企業は、ほとんどが次に挙げるのと同じ目的でCIやHCIを使っている。即ち、サーバー仮想化、データベースシステム、ビジネス・アプリケーション、開発およびテストなどだ。とはいえ、エッジ環境やITリソースが限られている小企業、あるいはVDIや混合アプリケーションのような複雑な運用を簡素化したいと思っている企業にはHCIのほうが向いている。

モダンワークロードをサポートしている、またはDevOpsメソドロジーを使っている、高度なアプリケーションの柔軟性を必要としている企業は、CDIに関心を持つ可能性が高いだろう。彼らがベアメタル上でアプリケーションを稼働しているのであれば、なおさらだ。また、CDIの自動化機能はITチームが自分たちの業務を効率化するのを助け、包括的APIはサードパーティの管理ツールとの連携を可能にしてくれる。CDIは、複数の業務処理やデータの変動をサポートするために動的なリソース割当てが必要になるAIや機械学習のようなワークロードにも有効だ。

企業がすべてのワークロード要求を満たそうとする時、どれか一つの基盤タイプしか選べないという訳ではない。例えば、データセンターにはCI製品を実装し、エッジ・ロケーションにはHCI製品をデプロイするやり方もあるだろう。この方法なら、管理オーバーヘッドの発生は少なくてすみ、リモートでの管理もできるからだ。中には、ITチームがあえて従来型の基盤を手離さないケースもあるだろう。自分たちのシステムを出来る限り細かい粒度で完璧にコントロールしていくためだ。

コンバージド・データセンター技術の購入となると、基盤のタイプによって、企業にはいくつかの選択肢がある。ユーザーは、すぐデプロイできるアプライアンスを購入またはリースするか、クラウドによく似たIaaSを提供するHPE GreenLakeのようなサービスを通じてコンバージド・データセンター技術を取得することができる。

もう一つの選択肢は、DIYによるアプローチだ。この方法では、IT部門が必要なソフトウェア、ハードウェアを購入し、システム自体を組み立てる。組み立ては、どのコンポーネントを使い、どう設定するのかを記述したリファレンス・アーキテクチャーに従って行うケースが多いと思われる。

コンバージド・データセンター技術の先にあるもの

今日(こんにち)のモダンワークロードの複雑性のゆえに、ベンダーは明らかに今後とも、より高い性能、高い柔軟性、簡素化されたデプロイメントと管理機能を持つコンバージド・データセンター技術製品を作り続けるだろう。と同時に、エッジのデプロイメントは成長を続けると思われ、HCIの人気はさらに高まるだろう。もうひとつ重要な技術動向は、コンバージド・システムの品質とクラウドのサービス志向の機能を組み合わせて、ハイブリッドクラウドの役割をも満たす基盤である。

自動化もまた、コンバージド・システムにおいて、ユーザーがより簡単にワークロードをデプロイし、自分たちの環境を管理する上で、ますます重要なコンポーネントになっていくだろう。自動化と共に進化するのは、AI、機械学習、その他の先進技術に組み込まれるインテリジェンスだろう。これは、リソースの有効利用、パフォーマンスの改善のため、また、問題が深刻化する以前にその特定と対処を行うために使われる。インテリジェンスの進化と連動して、修復不可能な損害に至る前に、予防的にセキュリティやコンプライアンスの問題に対処する手法もさらに洗練されていくだろう。

今後、創造的破壊をもたらしそうなのが、クラウド・ホスティング会社のデータセンターへの浸透である。例えばAWS Outpostsは、AWSの基盤、サービス、ツール、APIをオンプレミス環境に拡張した全面的マネージド・サービスを提供している。この動きによる影響を感じるようになるには、2、3年かかるかも知れない。特に、これ以上クラウド大手の言いなりにされたくないと思っている企業にとっては、そう言えるだろう。しかし、ハイブリッドクラウドがますます重要視される中で、企業は最も安く且つ最も効率良く、自社のアプリケーションに対応する方法を探し続けることになるだろう。これらのクラウドライクなサービスは、拒絶するにはあまりにも魅力的ではないだろうか。

モダン・ハイブリッドクラウドはコンバージド・システムを駆逐するのか?

AWS Outpostsは、Amazon Web Services基盤を、データセンター、コロケーション・ファシリティ、エッジ環境などのオンプレミス・ロケーションへと拡張した。Amazonは、AWSサービス、ツール、APIと共にハードウェア基盤も提供し、AWSクラウド・プラットフォームと完全に連携するハイブリッド製品を販売している。

AWSは、基盤を提供し、それをセットアップし、コンポーネントの監視、パッチ当て、アップデートをしながら管理とサポートを続ける。これによって、ユーザーはネイティブのAWSサービスを使って、自社のアプリの構築と稼働に全面的に注力できる。

これに負けじと、MicrosoftはAzure Stackを発表し、GoogleはGoogle Cloud Anthosを実装した。どちらも似たようなサービスだが、いくつか違いがある。例えば、Azure Stackはサーバーレス・ワークロードをサポートし、Anthosはマルチクラウド環境をサポートする。ちなみに、AWS Outpostsはこのどちらも提供していない。Azure StackとAnthosはまた、いくつかの異なるハードウェア要件とサービスモデルを持っている。

相違点はあるものの、これら三つのサービスの背後にある原理は同じだ:
自社のクラウド・プラットフォームをユーザーのオンプレミス空間へと拡張すること、だ。

このような製品があれば、企業は他の基盤製品が引き起こす、多くの悩みを解消するクラウドライクなサービスを手に入れつつ、ハイブリッドクラウド環境も整うことになる。もちろん、この環境にはベンダー・ロックインがさらに進むという制約がある。とはいえ、多くのユーザーにとって、シンプルかつ簡単にコンバージド・データセンター技術を始められるこのようなモデルは非常に魅力的だ。

オンプレミス・ハイブリッドクラウド・サービスが提供する利点は、HCIのようなコンバージド・システムに非常によく似ている。特に、HPE GreenLakeのような従量性課金方式のサービスにはそれが言える。実際、今では多くのベンダーが従量性課金方式のサービスを提供しており、その多くがコンバージド・システムを含んでいる。そしてこのサービスとシステムは、未来のオンプレミス基盤として説明されることが多い。

ハードウェア・ベンダーとクラウド・プロバイダー、不屈の意志をもった2つの勢力が、自社の基盤製品のターゲットとしてオンプレミス空間を取り合っている状況だが、戦いが収まった後、コンバージド・システムはどこに行くのだろう、という疑問が湧いてくる。考えられるのは、両者が共存し、一緒になって従来型基盤を追い出す一方で、将来のワークロードの要求に応えるために、より多くのオプションを提供している未来図だ。

多くの企業が、これ以上自社の領域をクラウド空間に明け渡すことに抵抗するのは間違いないだろう。その一方で、すでにクラウド・プラットフォームに投資しているユーザーは、こういったサービスが提供する統一性や一貫性を評価するかも知れない。

基盤技術についてこれだけは確かに言えるのは、動的且つ流動的だということだ。そして、この技術はかつて無いほどのペースで進化している。これから5年後、データセンター製品は、現在のものとは似ても似つかないものになっているだろう。そして、コンバージド、ハイパーコンバージド、コンポーザブル、のような用語はほとんど意味を持たなくなってしまうかも知れない。今後も残るのは、デプロイとプロビジョンが簡単で将来のアプリケーションに対応できる基盤を求める思いだろう。

これを実現できる者は、間違いなく業界の頂点に立つことだろう。

クラウド・プロバイダーの製品発表が続いているものの、ここしばらくはコンバージド・システムが使われるだろう。そして、これらの製品はよりアジャイル且つパワフルでコンパクトになっていくことだろう。一方で、これらのシステム間の境界は、dHCIで見たようにますます曖昧になっていき、インテリジェンスと自動化のサポートは増大するだろう。

これまで述べたことにもかかわらず、従来型基盤の居場所はまだ残るだろう。ただし、ワークロードがより動的になり、IT予算が縮小を続ける中で、その役割は小さくなっていきそうだ。別な見方をすれば、将来さらに革新的な技術が生まれる素地は、このような状況の中で作られるということだ。

著者略歴:Robert Sheldonは、技術コンサルタント兼フリーの技術ライター。彼はまた、ebookの出版の仕方を解説したEbook Nowの著者でもある。

 

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