HCIアプライアンスをワークロード要件に適応させる(前編)


あなたが選んだHCIアプライアンスが、あなたの会社のワークロード要件にぴたりと合致することを確かめ(その逆は当然あり得ない)、ハイパーコンバージェンスの可能性を最大限に引き出そう。


Storage Magazine 5月号より
Robert Sheldon

 

HCIアプライアンスを選ぶ前に、あなたの会社が動かそうとしているワークロードを特定し、次にそのアプライアンスがそのワークロードに対応できるだけの機能・性能を提供しているかどうかを判断する必要がある。

このプロセスの一部として、以下に挙げるHCIの要素の評価が入っていなければならない。

システムのデプロイと管理の容易さ
・システムのセキュリティ保護
・パフォーマンスと容量の限界値
・サードパーティ・ツールやサービスとの連携

これらの情報を知れば、短期的将来および予測しうる限りの未来におけるあなたの会社のワークロードに対して、どのHCIアプライアンスが対応しうるのかを判断できるだろう。

日々の運用

多くのベンダーがHCIアプライアンスを提供しており、これら一つ一つの違いを見分けるのは難しいかも知れない。まずはワークロードに関連した要素、IOPS、レイテンシ、ネットワーク・スループット、CPUサイクル、全体の処理能力の評価から始めよう。 システムがアプリケーションの要求にどれだけ素早く応えるかを理解しておかなければならない。 これは、データロードとユーザ数が増加している現在、特に重要だ。

容量もまた考慮に入れておく必要がある。保存できるデータ量は、どれだけあるのか?
VMに割り当て可能なメモリー量はどうだろう?

パフォーマンスと容量を評価するとき、それらの背後にある技術を考慮してもらいたい。例えば一部のHCIアプライアンスは、オールフラッシュ・ストレージで構成されており、NVMeプロトコルをサポートしている。 別のアプライアンスは、ハイブリッド・ストレージを採用していて、オールフラッシュとNVMeほどパフォーマンスが良くないSATA標準にこだわっている。また、フラッシュドライブの密度や耐久性などを左右する、これらの技術を下層から支えているアーキテクチャーについても、習熟してもらいたい。

この種の情報は、HCIアプライアンスのパフォーマンス性能と全体の信頼性および可用性についての理解を助けてくれるだろう。理想を言えば、HCIアプライアンスはデータロスがなく実質的にダウンタイム無し(99.999%の可用性を考えてもらいたい)を保証すべきだ。 そのような理由から、システムのバックアップとフェイルオーバー機能およびアップタイム(稼働時間)と可用性に関してベンダーが保証していることを、よく見極めなければならない。

デプロイメントと管理の容易性は、もうひとつの最大関心事だ。保守とアップグレードは、運用が可能な限り合理化および自動化された、簡単かつ迅速なものでなければならない。 例えば、多くのHCIアプライアンスは、管理オーバーヘッドが最小化できる自動リソース・ディスカバリ&プロビジョニングをサポートしている。また、新たなプラットフォームに移行する際、どれくらいの時間がかかるのかも考慮しておくべきだろう。

求められているHCIアプライアンスは、ITの処理を出来る限り単一化、統合化して、運用機能もスッキリさせているものだ。このHCIアプライアンスは、全てのリソースと処理 に中央一元化したアクセスができる機能を備え、 VM内部も含むハイパーコンバージド環境全体を眺め、監視する機能をも持つ、完全に統合されたシステムでなければならない。一部のハイパーコンバージェンス・プラットフォームは、レポート機能を組み込んだり、 インテリジェント分析サービスを使ったりして、パフォーマンスを最適化し、処理をさらに改善するため、予防的(プロアクティブ)に問題に取り組んでいる。

効果的な管理に不可欠なのは、相互運用性、即ちサードパーティのツール、システム、サービスと連携するHCIアプライアンスの機能だ。この機能による処理を支援するため、システムの基盤は標準的な技術がベースになっており、且つ相互運用性を容易にするためのAPIは開示されていなければならない。

このことは、プライベート、ハイブリッド、パブリックの形態をとりうるクラウドの技術を使う時、特に重要だ。HCIアプライアンスは、今日(こんにち)のデータセンターの変化についていくために、様々なクラウド環境をサポートし、そこに加わり、そことやりとりしなければならない。

HCIアプライアンスのシステムは、変動するワークロードに対応するために、適宜規模を増減(スケール)しなければならない。一部のハイパーコンバージド・システムでは、コンピュートとストレージのスケールを同時に行わなければならないため、サポートできるワークロードやコスト効率の良さに制限が出てしまう。 次世代のHCIアプライアンスは、コンピュートとストレージリソースを独立してスケール可能にすることで、この制限を取り払い、より大きな柔軟性を提供している。

柔軟性は、クラスターの構成や、特定の要件に合わせてコンポーネントを構築あるいは変更する機能にも影響を与える。 アプライアンスは、ハイパーコンバージェンス・ソフトウェアとは対照的に、オプションが少ないのが普通だ。アプライアンスにコモディティ・ハードウェアが使われている場合はなおさらだ。 あなたが特定ベンダーの構成にどれだけ縛られるか、また、今後の拡張でもコモディティ・ハードウェアを検討するのかについて、判断をしておく必要があるだろう。

より重要な検討

ほとんどのIT部門にとって、セキュリティは最優先の課題だろう(または、そうあるべきだ)。実際、HCIアプライアンスが全コンポーネントに対して克明な可視性を組み込んでいる理由の一つはセキュリティである。HCIアプライアンスは、コンピュート、ストレージ、ネットワーク層に組み込まれた保護機能によって、 保存されたデータおよび稼働中のデータを保全する仕組みを持っていなければならない。また、物理・仮想両方の環境にポリシーが適用でき、セキュリティを強化できるものであるべきだ。さらに、プラットフォームの監視機能は、パフォーマンスやシステム保守の監視だけでなく、セキュリティに関する追跡機能を持つものでなければならないだろう。

当然のことながら、技術サポートの範囲がより広範囲になれば、直接、間接に関わらず、支払う金額は増える。サブスクリプション(費用)は、当初急激に跳ね上がるように思えるかも知れないが、もしトラブルが発生したら、ITスタッフの仕事時間、生産性とビジネスの損失に関してさらに大きな金額を支払うことになるかもしれない。

HCIアプライアンスを決定する前に、ベンダーが提供するサポート内容と、それらが個々にいくらかかるのかを査定してみよう。次にこれらの要素と、あなたの会社のスキルレベル、および、アプリケーションが稼働しなくなったり、基幹データが使用不可能になったりして発生したダウンタイムを許容できる度合とを、天秤にかけてもらいたい。

HCI製品のTCOを確立するのは、並大抵なことではない。あなたが考えなければならないのは、アプライアンスの費用(まるごと購入するか、使用量に基づく課金にするか、にかかわらず)だけではない。ITスタッフの仕事時間、トレーニングの時間、移行作業、サポート費用、システムインテグレーションやそれに類した作業の費用も検討の対象である。 もうひとつ、ビジネスの将来計画に基づいたコンポーネントのスケールあるいはアップグレードにどれくらいの費用が掛かるか、という点も考慮しなくてはならない。

目指すべきは、最もリスクを低減し、目標の達成を手助けしてくれそうなHCIアプライアンスを見つけ出すことだ。あなたが探しているのは、単一のワークロードをサポートするシステムかも知れないし、多数のワークロードをサポートするものかも知れない。いずれにせよ、まずワークロードの正確な内容と、それをサポートするには何が必要かを把握することだ。 そうしてこそ初めて、短期的将来および数年後の未来に、アプリケーション・デリバリを改善しつつ、あなたの会社のIT運用を強化し且つ簡素化してくれるのは、どのシステムかを決めることができるだろう。

(後編に続く)

 

著者略歴:Robert Sheldonは、技術コンサルタント兼フリーの技術ライター。彼はまた、ebookの出版の仕方を解説したEbook Nowの著者でもある。

 

 

 

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