最新レプリケーション事情


あなたのIT環境を完璧に理解して、DRの必要性を満たすデータレプリケーション製品を正しく選択しよう

Storage Magazinne6月号より
George Crump

 

企業のDR要求を満たすには、その企業固有の目標復旧時点(RPO)と目標復旧時間(RTO)をベースとした角度から出てくる様々な問題を解決しなければならない。今日のRTO、RPOに対する期待値は非常に高いので、実際上はいかなるデータ損失もダウンタイムもほぼ許されない。

これらの期待値に応えるため、企業はバックアップのさらに先へと進み、データレプリケーション戦略を検討しなければならない。さらに、今日のレプリケーション製品が提供しているのは、DRにおける高速なデータコピーだけではない。今日の製品はクラウド・マイグレーションを手助けし、クラウドをDRサイトとして利用できるだけでなく、コピーデータの課題をも解決してくれる。

レプリケーションのソフトウェアには2種類の形態がある。一つは、ストレージシステムに統合されているもの、もう一つは、ストレージとは別に購入するものだ。それぞれに長所、短所がある。

統合型レプリケーション

統合型レプリケーションにはいくつかの利点がある。統合型は多くの場合、割と安いか無償だ。もちろん、この世の中に本当にタダのものなどない。ユーザーは、「タダ」のソフトウェアを手に入れるために、ストレージ・ハードウェアに余分なお金を支払っているのだ。 統合型のもう一つの利点は、大規模環境において比較的管理しやすいという点だ。ほとんどの統合型レプリケーションはボリュームレベルで動作するので、たとえその上で1000台の仮想マシンが動いていても、一つのジョブでボリューム全体をレプリケートできる。そして最後になるが、統合型レプリケーションは多くの場合、バックアップで制御されている点だ。即ち、レプリケーション・ジョブはバックアップ・ソフトウェアにより統合・管理することができる。

とはいえ、統合型データレプリケーションをベースにしたストレージシステムにも問題はある。一番目は、それがストレージ製品固有であることだ。その結果、大半のデータセンターは複数のストレージ製品を使っているので、ユーザーは複数のレプリケーション製品を管理せざるを得ない。二番目は、ボリューム全体をレプリケートできるという利点が不利にもなりうる点。データセンターによっては、ボリューム上のすべてのアプリケーションをレプリケートしたいと思わないところもあるからだ。三番目は、大概の統合型レプリケーションはクラウドのサポートが不十分だという点である。

スタンドアローン型レプリケーション

IT部門が保護しているホスト1台1台にスタンドアローン型レプリケーション・ソフトウェアをインストールしたり、ハイパーバイザ環境のクラスタに実装したりするのは、ごく一般的だ。柔軟性は、スタンドアローン型レプリケーションの持つ利点のひとつだ。同じソフトウェアで、任意のハードウェア・プラットフォームから別のハードウェア・プラットフォームにレプリケートできる。これにより、IT部門はソースとターゲットのストレージ機器の組み合わせを自由にできる。二番目の利点は、スタンドアローン型レプリケーションでは、何をレプリケートするか、レプリケーションの頻度をどうするかについてより細かく設定することができる点だ。三番目の利点は、ほとんどのスタンドアローン型レプリケーションが卓越したクラウドサポートを提供しているところだ。

クラウドは最低限、データのDR用ターゲットとして使われるが、単なるコピーではなく、全体をDR用サイトとして使われることもある。これは、クラウド・ストレージに加えクラウド・コンピュートを使って、仮想マシンによる即時リカバリを行う事を意味する。中には、複数のクラウド間でのレプリケーションや、クラウドから発生元のデータセンターへのレプリケーション、といったさらに進化したクラウドサポートができるものもある。

スタンドアローン型レプリケーションの一番の短所は、その製品がストレージ・ハードウェアにバンドルされていないが故に、それを購入しなければならないという点だ。細かい粒度で設定できるということは、何百とはいかないまでも、何十ものジョブを管理しなければならないことを意味する。ただし、いくつかのスタンドアローン型レプリケーション製品は、タイプ別にジョブをグループ化する機能を追加している。最後は、バックアップ・ソフトウェアベンダによるこれらの製品のサポートが限られている点だ。そのため、バックアップとの統合を行う時は、カスタム・スクリプト作成を伴うマニュアル処理になる。

最新レプリケーション機能

現在のレプリケーションにとって、クラウドのサポートは当然であり、さらにそれを上手にサポートすることが求められる。この要求によって湧き上がってくるのが、ストレージに組み込まれた統合型レプリケーションに対する一連の疑問だ。一般的に、これらの製品はクラウドのサポートが弱いからだ。レプリケーション・ソフトウェアはデータをどこのクラウドにでもレプリケートし、そのクラウドをデータのDRコピーを保持する場所として使う機能を持っているべきだ。また、IT部門がクラウド内でアプリケーションを立ち上げて、万が一の場合は完全に企業のDRサイトと入れ替われるものでなければならない。最後に、レプリケーション・ソフトウェアは、オンプレミス、クラウドベース両方のアプリケーションを確実に保護するために、マルチクラウド・レプリケーションをサポートしているべきだ。

今日のレプリケーションに求められるもう一つの機能は、データ保護ソフトウェアとの統合だ。この機能は2つの形態に分けられる。ソフトウェアがストレージシステム上のレプリケーション・プロセスを管理するタイプと、データ保護ソフトウェアがレプリケーションも提供するタイプである。いくつかの大手のデータ保護製品は、他ベンダーのストレージシステム上でスナップショットとレプリケーションの管理ができる。これによって、複数の異なる統合型レプリケーション製品を稼働させることに伴う一部の懸念を取り除くことができる。

レプリケーションを統合しているデータ保護ソフトウェアには、以前からあるバックアップ・ソフトウェアにレプリケーション機能を付け加えたものと、ファイル履歴機能を持つことで、バックアップ・ソフトウェアの必要性を無くすだけの力を秘めた、従来型のレプリケーション・ソフトウェアがある。IT部門にとって、このような機能を組み合わせた製品が、実際のバックアップやレプリケーションの必要性を満たすかどうかを確認するのは重要だ。

どうやってレプリケーション方式を決定するか

高速な復旧とデータ損失ほぼゼロに対する期待は日々高まっており、IT部門全員が取り組まなくてはならない課題である。バックアップ・ソフトウェアはかなり進化したものの、RPOとRTOに対する厳しい要求に対して、大半の企業はレプリケーションも併用せざるを得ない。統合型レプリケーションとスタンドアローン型レプリケーションの長所・短所は、それらがデプロイされる環境によって変わってくる。

それぞれのITの現場が、現在の必要性を最も満たすレプリケーションのタイプを決めなくてはならない。と同時に、ITプランナーは新しいデータレプリケーション製品が、既存のストレージ・ハードウェアおよびクラウドのように、将来主流になるであろうシステムとどのように統合していくのかについて、答えを見つけなくてはならない。

著者略歴:George Crumpは、ストレージと仮想化を専門とするITアナリスト企業Storage Switzerlandの社長である。

 

 

 

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