データストレージ保護はハイブリッド手法で行こう

著者:Rich Castagna
Storage Magazine 2013年2月号より

バックアップ、DR、アーカイブを個別に処理しなければならなかった旧来のデータストレージ保護の原則では、今日のデータ容量についていけない

長い間私は、バックアップ、アーカイブ、災害復旧(DR)に関連する処理およびデータを峻別するデータストレージ保護を使った成功事例を、積極的に取り上げてきた者の一人だった。我々ストレージマガジンの記事も同じ流れをたどり、これらの処理を相互に関連したものとして取り上げるよりも、別々のものとして取り上げる事の方が多かった。

私は今でも、これらの区別を保持していくのは大事なことだと思っている。あなたは、ファイルが削除された、もしくは壊れた時に、そのファイルの複製か、最悪比較的新しいバージョンを簡単に戻せるために、一日一回(あるいはもっと頻繁に)データをコピーする。これがバックアップだ。次に、あなたの会社の基幹システムが、嵐や火災、あるいはシステムに壊滅意的な打撃を与える災害により、システムが利用できなくなったとき、いくつかの主要なアプリケーションを立ち上げ、ビジネスができる限り正常に近い形で継続できるようにするためにデータを複製する。これがDRまたは事業継続性である。最後に、あなたの会社では、今すぐは必要ないが、法的にあるいは社内規則により、(万が一必要になった時のために)保存しなければならないデータもおそらくコピーしているのではないだろうか。これがアーカイブである。

最も基本的なレベルでは、これらのデータ保護機能が必要としていることは、データのコピーを取って、データが生成され且つアクセスされるプライマリーストレージ以外の場所に置くことだ。それ故、バックアップ、DR、アーカイブに対して別々の運用を行うということは、遡ってアクセスができ、常に最新の状態を維持しているデータコピーを複数持っておかなければならない、という事だ。まったくその通りなのだが、このことが最大のネックとなって、これらのデータストレージ保護処理を切り離して実行する方法はごくわずかの会社しか遵守していないという現実を生み出している。また、このような運用を実行したいと考えていた会社も、多くの場合、データの急激な増加と、異なる3つの処理を少人数で対応する難しさ、そして限られた予算によって、計画は頓挫してしまった。

それ以外の会社は「触らぬ神にたたりなし」の方針で、バックアップとDRを同じものとして扱い、ほこりまみれの古いバックアップテープを「アーカイブ」と考えるような、完全に機能不全のデータ保護処理を続けている。

どちらのやり方も、ある時点でおそらくは壊滅的な破綻を迎えることになるだろう。今本当に必要なのは、冗長化しているコピーの数を減らすことだ。その方が維持していくのが楽だし、ストレージ全体の管理との統合も可能になる。

新たな方法だけでなく、それを実現するために多分必要なツールが市場に出てくるまでの間は、いくつかの原則がまだまだ有効だという事を頭に入れておかなければならない。バックアップ、DR、アーカイブのためにデータをコピーするのにはそれぞれきわめて異なった目的があり、そのデータを戻すのにも方法がある。それ故、どんなハイブリッドデータストレージ保護でも、それぞれのリカバリーシナリオ特有のニーズを満たす必要がある。アーカイブは、バックアップとDRのためのコピーデータを効率よく一つにまとめ、プライマリーシステムから使用しないデータを取り除く、データ保存処理の一種と考えられるべきだろう。

戻しのための専用のツールがあれば、バックアップとDRをひとつのコピーで済ませることは可能だろう。日々のリカバリー作業として、日次バックアップから一つ一つのファイルを戻す機能は依然として必要だし、データセンターが障害により使用不能になっても、基幹アプリは稼動しつづけるために、本番のデータを遠隔地からアクセスする仮想サーバーを立ち上げる機能も必要だ。プライマリデータが壊れてしまった場合に、通常の安定した状態までロールバックできるように、リモートサイトへのコピーは頻繁に行われなければならない。

これらの新しい要件を満たす製品を開発するソフトウェア及びハードウェアのベンダーの数が増えつつある、というのはいいニュースだ。これらの製品は、従来の機能を犠牲にすることなく、データコピーの処理をより簡単によりすっきりとしてくれるのだ。

新興企業のActifioは、同社の「仮想コピー」方式を宣伝している。この方式は様々な目的のために持っておかなければならない同一データのコピーの数を減らしてくれる。同社は、Actificio Protection and Availability Storage(PAS)製品によって、データコピーの管理が容易になるだけでなく、ディスク容量の節約も可能になる、と言う。しかし、さらに大手のベンダーからも、あふれかえるデータ保護コピー問題を解決する製品が出てきている。CommVaultは、各プロセスが簡単に管理できるように、データ保護の様々なアプリを共通のプラットフォーム上に構築している。これによりデータの重複が回避され、さらには、バックアップ用、DR用、アーカイブ用に保存されたデータをまたがって検索をかける事も可能になる。シマンテックや他のバックアップ・ベンダーも同様の機能を提供しており、ハイブリッドのデータ保護は、明らかに今後この業界が進む方向となっている。

我々が保存するデータ量が増え続ける中で、従来のデータ保護の方法は現実的でなくなり、かつ費用も嵩む一方だ。ハイブリッドなアプローチは、合理的でこの現実を打開する方向を指し示している。と同時に、ハイブリッドのデータストレージ保護には注意して近寄ることも重要だ。保持するデータのコピー数を減らしても、あなたのRTOとRPOを満たすだけの充分な機能と性能を持ったツールが、いつでも使える状態にあることを確認しておこう。

 

著者略歴:Rich Castagna は、Storage Media Groupの論説員。

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