JEITAテープストレージ専門委員会コラム
「LTO規格の最新世代テープドライブLTO 8の出荷が開始されました」

2017年にLTOの最新世代テープドライブのLTO 8がメーカー各社から発表されました。
LTO 8テープドライブはミッドレンジクラスのテープドライブでは最大となる非圧縮時12TB(テラバイト)、圧縮時30TBのデータを保存することが出来るようになりました。
これは前世代であるLTO 7に比べて2倍の容量となっています。
転送速度もフルハイトドライブでは非圧縮時には1秒当たり360MB(メガバイト)、圧縮時では1秒当たり700MBのデータを転送でき、LTO 7に比べて20%向上しています。
LTO 8テープはLTO 7のテープと同じ長さ、厚みであり、かつ、同じ32トラックで読み書きを行うにもかかわらず、この容量、転送速度を実現するために、テープ上のトラック数をLTO 7の3,584本から6,656本に増やすとともに、線記録密度も約8%増加しています。
これに伴って、トラック幅はLTO 7の時の約半分の幅へと更に狭くなっています。
現在まさに猛威を奮っているスギ花粉の大きさが20μmから40μm、今年大流行して いるインフルエンザウィルスは0.1μmだそうです。LTO 8のトラックピッチ幅は、スギ 花粉の1/10以下、インフルエンザウィルスの10倍から20倍程度という狭さです。
このような非常に狭い幅の範囲上でデータを読み書きするために、高精度のヘッド制御が必要になります。
機械的なブレが発生する状況でも狭いトラック上にヘッドを維持するためのサーボ技術や、ホストから入ってくるデータをテープに書き込める状態に変換するLSIの設計、基板の設計、メディアの開発・製造も、日本の技術者達の日々のたゆまぬ努力により実現されていることはご存知ですか。
以下の資料でサーボ技術について紹介しています。
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20110908181338_5aQZ9DXF3N.pdf
以下の資料でテープにかかれたデータの高い信頼性を支える技術について紹介しています。
https://home.jeita.or.jp/upload_file/20110908181308_34jzwpY2GE.pdf
興味がありましたら、ご一読ください。

LTOテープドライブでは、近年の爆発的なデータの増加に対応するという市場の要求に 応えるべくたため、数多くの技術革新により大量のデータの書込みを実現してきました。また、旧世代のドライブで書かれたデータをなるべく新しい世代のドライブでも読み取れるために、LTO 7までは二世代前まで(LTO 7の場合はLTO 5とLTO 6)のテープに書かれたデータを読み取ることができました。書き込みに関しては、一世代前まで(LTO 7の場合はLTO 6)のテープにのみ書き込むことが出来ました。
今回のLTO 8では、読みも書きも一世代前まで(LTO 8ではLTO 7)の対応とすることにより、LTO 7の2倍の記憶容量という大容量化を達成しました。
さらに、Type Mという最も安い容量単価を実現する新しい技術も発表されています。
この技術は新品・未使用のLTO 7テープを、Type M初期化機能を備えたテープライブラリに搭載されたLTO 8テープドライブを使用してフォーマットをすることによ り、非圧縮時で6TBだったLTO 7テープの容量が1.5倍の9TBに増える仕組みです。

Type Mテープの使用上の特徴
- 未使用のLTO 7テープのみがType Mとしてフォーマットできます。
- 一旦、Type Mにフォーマットを変更したら、LTO 7に戻すことは出来ません。
- LTO 8テープドライブでのみ、読み書きが出来ます。
あらかじめフォーマットされたType Mテープを購入するか、未使用のLTO 7テープ をType Mに初期化する機能をサポートしているテープライブラリを使用してType M テープを作成することになります。
LTO 8テープドライブのさまざまな特徴を考慮して、今後のテープドライブ導入の 参考にしてください。

 

一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA) テープストレージ専門委員会
日本アイ・ビー・エム(株) 宮村 剛志
本内容にてご質問などございましたら、JDSF事務局経由でお願いいたします。

 

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