来年初春、四年ぶりに京都南座に戻ります。
三年前の初春『夢千代日記』千穐楽の翌日から南座が休館、耐震工事に入り、昨年暮れの顔見世から新装開場しましたが、一年間は松竹さんの主催公演でした。
私自身も六十年前に出演し、以来一番多く出演しているのが京都南座、千回は超えています。先輩たちのこと、上演した芝居、多くのお客様、あまたの思い出が詰まった劇場です。改修中に京都を訪れ、工事フェンスに囲われた南座を見たのも、私が一番多いでしょう。
鴨川の対岸から見る南座の夜景は絶品、客席の格天井や桟敷の雰囲気も最高、歌舞伎の劇場として舞台もちょうどいい寸法で、もちろん八坂神社をはじめ、周囲は名だたる観光の名所です。
最近の京都の冬も、昔ほど寒くはありません。ぜひ初詣・初芝居に、初春京都南座へお出かけください。演目は黙阿弥さんの散切り喜劇、本邦初?の翻案劇『人間万事金世中』です。一昨年五月、東京国立劇場での初演を、更に練り上げてご覧いただきます。
京都の正月はよろしおすえ。
2019年 10月 藤川矢之輔
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