明治44年冬、本願寺の御屋敷。本願寺21代門主の次女として生まれ、九條家へ嫁いで久しい武子のもとを、義理の姉・籌子(かずこ/22代門主夫人)が訪ねて来ました。
病に侵され、自らの命がもう永くないことを悟った籌子は、心にかかる最後の思い─── 仏教婦人会のこと、そして女子大学設立の夢を武子に託し、帰らぬ人となります。
大正9年、ロンドンへ留学していた武子の夫、男爵良致(よしむね)が11年ぶりに帰国、二人は築地本願寺内にやっと普通の家庭を持つことが出来ました。しかし、大正12年の9月1日、関東大震災により、東京・横浜は、一面の火の海と化します。
自らも被災した武子は、いち早く被災者救援に立ち上がり、困窮する人々の力になるべく、先頭に立って歩み始めるのでした……。