あらすじ
お江戸日本橋は七ッ時、人波しげき往来で、襟をはたはた扇子ぱたぱた、背中に日傘を背負ってなにやら人待ち顔は、たいこもち桃八。
そこへ、蝙蝠傘を肩に遅れて来たのは、江戸をひらひら遊郭ぴらぴら、薬種問屋の跡とり息子、鰯屋の若旦那、清之助。
「ところで若旦那、今夜はその蝙蝠傘でいったいどこへ行ってもてようという筋書きです?」
夕陽に染まる日本一の冨士を背に、通りかかった駕籠屋をつかまえ、めざすは品川 小菱屋の袖ヶ浦。
「よーッ若旦那、品川女郎殺しッ!」
◆ ◆ ◆
小菱屋へは着いたものの、袖ヶ浦は隣り座敷の薩摩侍の席に。
「薩摩芋野郎めッ!」
恋しい袖ヶ浦の取り合いに、威勢のいいのは声だけで、刀を抜かれたとあっては窓から逃げるだけ。飛び降りたところが海の中。
さてそれからは、観てのお楽しみ!
釜石、遠野、盛岡、古川、天童、新潟と、「みちのく」流れ旅の始まり、始まり〜。
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