時は慶応四(一八六八)年春。前年の王政復古の大号令に
端を発した鳥羽・伏見の戦いは、薩長率いる官軍が勝利。江戸城総攻の期日が三月十五日にせまっていた。戦争か、無血開城かー。
徳川慶喜(嵐圭史)の生命を守り、江戸の街を戦火にさらさぬため奔走する、勝麟太郎(瀬川菊之丞)と山岡鉄太郎(嵐広也)。その願いを、江戸百万の民を守るため受け容れる西郷吉之助(藤川矢之輔)。そこには、新しい時代を切り拓く男たちの、ほとばしる情熱と葛藤のドラマがあったー。
歴史劇の大家、真山青果作の『江戸城総攻』『慶喜命乞』
『将軍江戸を去る』の三部作を、一本に仕立て直し上演する、
意欲作!
(撮影:加藤孝)
飴売り卯助(中村梅之助)は、妻を亡くして娘のおきみ(上沢美咲)と二人仲良く暮らしていた。おきみは奉公先の料理茶屋・松葉屋で誰からもかわいがられる働き者。互いに想いあう、銀次(高橋佑一郎)という相手もいた。
やがて、松葉屋の女主人・おあさ(河原崎國太郎)の親切で、おきみとともに松葉屋で働くことになった卯助。その界隈を縄張りにしている岡っ引き・いなりの麻吉(武井
茂)に、なぜか目をつけられて……。
松本清張の時代小説の傑作「無宿人別帳」シリーズからの舞台化で、翫右衛門の卯助で初演。いらい再演を重ね、新しい世話狂言として座の財産≠ニ評される本作を、松本清張生誕百年と中村梅之助舞台生活七十年に寄せて、再び上演!
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