ITアーキテクトのひとりごと
第81回「サービスインテグレーション」

 

システムを構成する3種の神器としてサーバ、ネットワーク、ストレージがあるが、これらのコンポーネントは、ユーザの要件を実現するための最も基本的な道具に過ぎない。サーバは計算する道具、ネットワークはデータを運ぶ道具、ストレージはデータを保存しておく道具だ。

時代は道具にこだわる時代から、その道具で実現するサービスが大事な時代になったが、その道具を提供するクラウドサービスは徹底的に道具にこだわっている。

道具にこだわらないと良いサービスが提供できないからだ。良い道具を提供する人、良いサービスを提供する人、そして、その道具とサービスを利用して、更にインテグレーションされた良いサービスを提供する人たちがいる。

ストレージシステムの利用者から見たより良いサービスとは何か。

どこからでも、いつでも、同じようなレスポンスで応答するGoogleドキュメントは、このメルマガをGoogleドキュメントで書いている私にとって良いサービスだ。

ERPを動かしているユーザにとって良いストレージサービスとは何か、統計処理を動かしているユーザにとって良いストレージサービスとは何か、大量の文書を管理しているユーザにとって良いストレージサービスとは何か、大量の観測データを長期に保管しているユーザにとって良いストレージサービスとは何か。

良いサービスの定義はマチマチだが、いろいろなニーズに基づいてトランスフォームしていく変幻自在なストレージシステムがいつ登場してもおかしくない時代になりつつあることは、ストレージシステムのプロバイダにとって、きっと良いことになりそうだ。

ネットワークの世界でSLA、プロトコルに応じてトラフィックを自在に制御するルータが登場して久しいが、ストレージの世界でも、そんなストレージルータが登場して、素敵なサービスを提供してくれるとうれしい。

ただし、そんな自由な世界が登場するためには、無制限とも思えるようなバンド幅と容量を持ったストレージネットワークが必要なので、そのストレージネットワークを作る道具がなおさら一層重要なのだ、と思う。

日常生活の中では、制限のないストレージサービスを手に入れて自由を満喫できる時代になった。ビジネスのエンタープライズな世界で、そんな世界を手に入れるためには、あとどの位の進化が必要なのだろうか。

ひょっとしたら、全てをクラウドに持っていけば、すぐにでも限りなく理想の世界に近づくような気がする。理想の世界に近づいて何をしたいのか、ユーザの世界観が問われているのかも知れない。


JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆