ITアーキテクトのひとりごと
第77回「今年の初夢」

 

パラパラと雑誌をめくっていると、これから5年で席巻する新技術という記事を目にしたので眺めてみる。正直な話、あまり驚きは無かったが、きっとそうなるな、ということは何となく確信。紹介されたブレーク必至の技術も身に染みて確信していたので驚きは無い。ほとんど何も感動が無いくらいに、恐ろしく確実に新技術が浸透していることを確信した。

某紙で特集(2016年1月号)されている、これから5年で席巻する新技術。これからの新しいサービスを創り出す可能性があるとして紹介されている。知っていること、聞いたことはあるけどという、いろいろな技術が紹介されているが復習も兼ねて本当にイケてる技術なのかどうか読んでみた。

これらの技術が"席巻"するかどうかは別にして、当たり前になるだろうな、ということは同感するものが多い。当たり前になるということは、IT技術者として、その技術に直接的に関わる立場でなければ気にしなくなるということだ。

気にしなくなると、その技術がどんどん凄いことになっていったとしても、自分のアンテナに引っかからない。知らない間に凄いことになっていた、こんなことにならないように様々なメーリングリストを流し読み、気になるキーワードをスクラップするけど、スクラップはどんどんたまる。

久しぶりにPCに保存されているスクラップを眺めてみる。眺めるだけでも頭がリフレッシュされるので、たまにやってみるが、どうしてこんなことをスクラップしたのかなというものに多々出くわす。忘れてしまったぞ、思い出すまでとりあえずそのまま。役に立たないスクラップはどんどん捨てる。

どんな技術も成熟すると当たり前のようにビジネス、日常に取り込まれていく。そのスピードは滅茶苦茶はやい。徹底的にエンドユーザー側(のデバイス、日常)に取り込まれるか、徹底的にサーバーサイドに取り込まれるか。メリハリが効いていればいるほどエンドユーザーにとっては気持ちがいい。

検索ツールはすっかり定番化し、うちの奥さんはスマホでGoogleの音声認識入力を使ってスマートに検索しているが、私はポチポチとキー入力だ。

エンドユーザーは技術を理解しないが便利なことはすぐにわかる。いいことだ。電気、水道、ガスが、スマホやPCがどんな仕組みでサービスしているのかなんてどうでもいい。役に立つサービスかどうかだけが大事なことだ。

さて、特集で紹介されている「ブレーク必至」の技術の一つがハイパーコンバージド・システム。
コンバージ(converge)とは「集中する、収束する」という意味。

ちょっと前に流行ったブレードサーバーの類はコンバージド・システムという分類らしい。各社からいろいろなものが出てきたが、使いやすくはなかったな、という印象だけが残っている。物理的に小さくした分だけ不便になったという印象がハイパーコンバージド・システムでは払拭されるのか。

もともと、サーバー、ストレージが高密度化してコンパクトになる傾向は10年以上前から続いている。どんどんコンパクトになるので自然とサーバー、ストレージが収束してきた。ネットワークは元々集積化していたが、10GbEがコモディティ化して、40GbE、100GbEが更に集積化を進める。19インチラック内はToRネットワークスイッチで束ねたハイスピードネットワークでシステム間接続し、FibreChannelケーブルも邪魔になってきた。太い電源ケーブルも邪魔。

ケーブルが数本だったら、修理の時は抜いてしまえば良い。ケーブルがサーバーの後ろに沢山あるとちょっとムカつく。

ハイパーコンバージド・システムでは、同じ形状のサーバー、ストレージ、ネットワーク装置をビルディングブロックのように組み上げて、2、3本のケーブルをプチプチと挿し、構成は全てひとつの管理システムからリモートで自動構成する。これが理想。

違う世代のサーバー、ストレージが出てきたら、同じようにドン、ドンと組み立てて、管理システムで仮想サーバー、ストレージを移動して移設完了。

レガシーな基盤技術者は出る幕がなくなる。それがハイパーなコンバージド・システムだ。

ストレージも「サーバー+ソフトウェア+JBOD」化し、ネットワークも「サーバー+ソフトウェア」化し、そのほとんどをソフトウェアが支配するから出来る芸当だ。

大規模なクラウド事業者はその最先端を走っているが、ニュータイプの基盤技術者は大活躍だ。楽しそうだ。正直な話、わたしも仲間に入りたい。

これが正夢になりますように。。。

 


JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆