ITアーキテクトのひとりごと
第56回「シュリンク」

 

3.11東日本大震災が発生してからコンパクト・シティの議論がよく見られるようになった。3.11以前からコンパクト・シティを構想、実施している自治体があることは知っていた。商店街の空洞化も関連しているので切実な問題だ。

 

横浜に住んでいると、こんな問題を実感することは少ないが、たまに出張で地方(この言葉自身にちょっと偏見がにじみ出ている)に行くと、なんて横浜は便利なんだと感じる。地方に住んでいる知人が「横浜」にあこがれている理由が身に染みる。

 

でも、ちょっと我が身を振り返り、町内を見回すと人口が増えているにもかかわらず商店街の空洞化が進んでいる。中途半端な商店街なので、用が足りない。そんなこんなで大手のスーパーに買い物に行くことになる。

 

近所のプライスは我が家の倉庫のようなものだ。 時々ピッキングに行き、ピッキングしたストックがその日の内にデリバリされる。

 

大きなサプライチェーンと小さなサプライチェーンをつなぐ動きは昔からあったが、価格の安さ、高齢化、自動車離れ等で重要さが増した。

 

多店舗展開している家電大手も、店舗も倉庫の一つとして考えた迅速な注文から配達までの体制を整えている。配達のあまりの早さにビックリする。

 

シュリンクも否定的に捉えるのではなく、機能の合理的な再配置の一つであると考えると良いのかもしれない。世の中には、しがらみで生き残っている、とんでもなく無駄なものが多くあるので、何かのきっかけがないと、前向きのシュリンクも否定されてしまう。

 

ところで、先日、Webのニュースサイトで流れたハードディスクの2013年のマーケット予測には驚いた。2012年と比べて10%以上売上が減る、SSDに食われている。SSDに食われているのは実感するが50億ドルも減るとある。DBサーバをSSDを使って高速化しよう、という某メーカのキャンペーンも目につくし、自分自身、256GBのSSD(2万円前後とちょっと高かったけど)で速くなったと喜んでいるし、提案では、SSDをどんと載せたり、もっと速いメモリをドッカァ〜ンと載せたりと高速化には余念がない。

 

SSDによる高速ディスク、大容量メモリでマルチコアCPUを使い倒すと、小さなサーバマシンでも沢山の仕事ができる。CPUを限界まで使えるようになれば、サーバもシュリンクする。

 

システムを更新するプロジェクトでサーバのサイジングをする。マーケットはそんなに大きく伸びないので、いま見積もったシステム規模が最大のサイジングで将来的には横ばい、悪くするとシュリンクする。将来、能力不足でシステムが動かなくなるかも知れない、という心配をせずに済むという、SIerに取っては不気味な予測がでる。

 

こんな現実が迫っているので、商店街の空洞化も我が身を省みて看過できない。 日本の現実は至る所にシュリンクが登場する。



JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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