ITアーキテクトのひとりごと
第40回 「クラウドストレージのSLAはどうなる?」

 

個人向けのクラウドストレージが登場してから、もう随分と時間が経つ。インターネットやITの世界が人間の感覚を遙かに超えるスピードで動いているせいか、2,3年前のことでも昔々のように感じられる。時間感覚を確かめるために、このビジネスはいつのことだったかと実際の資料をめくって確認する。クラウドストレージも、アマゾンのようなビジネスを狙った大規模なものから、個人向けのものまで千差万別だが、個人向け、SOHO向けのモノは栄枯盛衰が激しい。

 

クラウドストレージのコストはビジネス用途でも個人用途でも決して安くはない。安く無いどころが、電卓をパチパチと叩くと、こんなに高いんだとビックリするが、自分で所有したときのメリット、デメリットを考えてみる。ハッキリ言って高価なクラウドストレージのコストが、リーズナブルかどうかがポイントだ。REASON-ABLEな考え方、態度でよくよく考慮してどんな選択をしようが、それは自己責任。

 

メリット、デメリットの比較項目にどんな項目を選択するのか、どれが自分にとっての重要項目なのかをよく考える。 こんなことを考えるときには、性急な結論は禁物だ。考えて、並べてみて、そして、少し寝かしておく。少し経ったら、もう一度眺めて見て、考えて、並べ替えてみて、また、少し寝かしておく。いつも頭の中に考え事を寝かしておくと、新しい情報が入ってきたり、別のアイデアを思いついたりして、より良い結論になることが多い。

 

さて、いわゆるクラウド・・・というサービスではSLAがハッキリしていないものが多い。自分の首を絞めるようなものは出せないという気持ちは痛いほどわかる。ビジネスでSLAを契約に入れる羽目になったら、リスク × リスク × リスク みたいなことになって金額が跳ね上がる。こんな事にならないためには、そのリスクがどの程度制御可能かどうかが一つのポイントだ。

 

制御可能なリスクと制御できないリスク。制御できないリスクに対しては保険でカバーするという考えもあるが、データ損失のリスクは保険ではカバーできないから、それを担保する何かが必要だ。
私のPCのデータをクラウドサービスに預けておく位の安直なデータ保護なら、クラウドストレージのSLAよりも、安さが最も重要な比較項目となる。自分の家が火事で燃えてしまうリスクと、どこにあるかわからないデータセンターが火事で燃えてしまったり、地震でクラッシュしてしまうリスクを天秤してみれば、直ぐに結論は出る。

 

クラウドサービスや仮想化、ストレージに関連する運用管理技術が急速に進歩しているので、早晩、信頼性、性能も含めたSLA保証を掲げるサービスが登場することを期待している。そうなれば、利用者も漠然とした不安を抱えることなくサービスの選択ができるようになり、私の心配も無くなる。万々歳だ。もっとも、メリハリ付けたSLAとそれに見合う価格のバリエーションが増えて別の悩みが生まれる。 その時も、大事なのは、サービスを選択する自分の尺度であることに変わりはない。

 



JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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