【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第29回 「仮想化ブームのお陰で、ようやくリソース管理が定着?」


最近のストレージの話題を探してみる。仮想化のキーワードで、いつも決まって登場する合い言葉は「コスト削減」だ。ストレージも適材適所で使えば、コストの最適化はできる。仮想化だからストレージコストが削減できるわけではない。が、しかし、仮想化されたシステムのおかげで、ストレージの最適化を受け入れるための敷居が下がった。大量リソースを適材適所で利用して全体コストを下げる、いやいや、下げるなんていう湿気た話ではなく、最適化するというのは仮想化の大目標のひとつだから、ストレージもその線で波に乗ったというところだ。

 

仮想化ブームに乗ったおかげで、大量リソースを集約してしっかり管理すれば最適化ができるという、当たり前のことが当たり前にできるようになっただけだ。

 

結局、仮想化プロジェクトは、サーバ統合のプロジェクトでもあるので、サーバの最適化、ストレージの最適化という必然の帰結になったわけだ。ILM(Information Lifecycle Management)の実現によりストレージを最適化するという大きな課題が掲げられていたこともあったが、ILMはどうあるべきかという難しい議論をすることもなく、仮想化プロジェクトで、そこそこのコスト削減の目標があっけなく実現できてしまった。

 

本当のILMの大命題は当面先送りされたので、結果オーライだが、終わり良しかどうかはわからない。でも、3Tバイトのディスクも出てきたので静観することにしよう。面倒なことは先送りが良い。いよいよどうにもならなくなったら、なんて悲観的なことも最近は考えることも無くなってきた。これはJDSFのメンバーとしてあるまじき事なのか、それとも前途が明るいということなのか。くよくよ考えると胃に穴が開くので「前途は明るい」ということにしておこう。

 

それにしても、最近はストレージの話題が減ったような気がする。Googleで探してみる。大した話題は見つからない。日経のデータベースを探してみる。ここでも見つからない。この一年を振り返ると買収の話題が多かったような気がするが、これはストレージが更にコモディティ化していく証拠だろう。

 

だが、ワクワクするような話題が無くても、必要なストレージ容量だけはひたすら増え続け、10Tバイト、20Tバイトなんて大したことはなくなった。ペタバイト・クラスの話を聞いて、ようやく、へぇーと感心する程度だ。すっかり麻痺してしまった私の家のPCの周りには500Gバイトの2.5インチディスクがゴロゴロしている。500Gバイトなんてチョット重い3.5インチフロッピといった消耗品並みの扱いだ。

 

3.5インチのような重い、大きい、うるさいディスクはじゃまなので、すっかり影も形もない。3Tバイトくらいの3.5インチディスクならバックアップ用として存在を許してあげよう。

 

その3Tバイトのディスクも、最近届いたダイレクト eメールにある「バックアップ容量無制限。年 XX千円」のキャッチコピーの前には風前の灯火だ

 

 



JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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