【新連載】ITアーキテクトのひとりごと
第24回 「仮想化、クラウドがキーワードに入っていない提案書は没

最近は仮想化とクラウドというキーワードが入っていない提案書は"没"らしい。しょうがない、仮想化とクラウド、ついでに薬味にSaaSも入れて「なんちゃってXX提案書」を作ることにしよう。"システムの目的"から帰結した結論として仮想化、クラウド、SaaSがあるなら、自分のモノでも他人のモノでも何でも提案書に取り込んでしまうくらいは平気でやるが、よくわからない目的から出た要求なら、その結果、何が起こるか、チョッピリ辛口のコメントを盛り込んでおかないといけない。


でも、ユーザが本当にチャレンジしてみたい、と思っているなら、やりましょう。本当は、わたしもやってみたいんです。本当はね。


さて、実際にこれらのキーワードを取り込もうとすると、もっと泥臭い、当たり前の現実が立ちはだかる。


・あれ、仮想化しても、クラウド化しても安くならないな。効率化どころか、余計に面倒になってしまったぞ。
・俊敏さなんて無用の基幹システムなので5年、6年と同じものを使い続けられそうだ。仮想化した効果は置き場所が減っただけだ。
・ネットワークの通信費用が高すぎる! 毎月の運用費のかなりの割合が通信費だ。家で使っている"auひかりone"は月数千円だぞ。クラウド使うの止めようかな。
・Web/アプリサーバは無償のApacheとTomcatの上にアプリケーションを載せているだけなのに、OSと仮想化ソフトに何でこんなにお金を払わないといけないの。 。。。。。

書き始めたらきりがない。これの10倍くらい言いたいことはあるが、今はチャレンジしないといけない時期なので、あれやこれやといろいろと知恵を絞るが、ITシステムの原価については、ソフトウエア・ベンダーの価格政策に影響される要素が非常に大きい。ハードウエアも米ウォルマートなみのEDLP(Every Day Low Price)をやって欲しい。よ〜しっとばかりに、思い切った割り切りでバサバサと切り捨てる、切り捨てる。切り捨てる一方、やっぱりこれはまずいな、と復活もあるので、コストシミュレーションは下がったり上がったりと予断を許さない。ダメだ、下がらない、思いっきり考え方を変えよう。ここが知恵の絞りどころだ。


私の仕事の肩書きは"アーキテクト"を拝命しているが、自分の技術資料データベース以外に12桁電卓を片時も離さない。エクセルも友達だ。オモチャのような電卓しか持たない営業は信用しないが、エクセルの達人的な営業は信用する。


どんな知恵も最後はお金に行き着く。ちょっと古いテレビのコマーシャルじゃないけど、「お金は大事だよ〜」。


さて、様々な仮想化、クラウド、SaaSがROIのふるいにかけられて、どんなものが生き残るのかわからないが、いわゆるSIerやハード、ソフトベンダーにとっては生きにくい世の中になりそうなので変身を準備しないといけない。でも、蝶のようにサナギになっている暇はありそうもないので、辛い変身が待っている。



JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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