
50代社員の活躍を支援しよう
(株)Kakedas 代表取締役社長 竹長 剛
少子化が進み,人手不足の加速が見込まれる今,スキルや経験を兼ね備えた50代社員は企業にとって欠かせない人的資本です。しかし,株式会社ジェイックが実施した『50代正社員の就業意欲等に関する実態調査』によると,50代正社員の約半数が「仕事へのモチベーションを保てていない」と回答しています。当社にも「多くの50代社員がモチベーションを保てず,最低限の業務遂行にとどまる“静かな退職”が広がり,危機感を感じる」といった企業からのご相談が増えています。
■なぜ,50代社員が“静かな退職”に陥るのか?
モチベーション高く働けない理由として,同調査では「キャリアが尊重されていない」という回答が最も多く挙げられています。背景の1つとして考えられるのは,役職定年による裁量の減少や,希望と異なるポストや部署への異動といったキャリアの変化です。長年,企業に貢献し,キャリアを積み上げてきたうえで起きた,または今後起きうる変化に,「キャリアダウンしたのではないか」「会社から期待されていないのではないか」と不満や不安を抱く方は少なくありません。
こうした不満や不安は,今後のキャリアの見通しが立たないことから生まれます。50代以降,「会社や社会で果たしたい役割」や「今後望む働き方・仕事内容」を今の会社では実現できそうにないと感じると,役職定年や異動といったタイミングでモチベーションが低下し,いわゆる“静かな退職”となってしまうのです。こうした熱意の低下は中堅や若手社員にも波及し,放置すれば会社全体のエンゲージメント低下を引き起こす恐れがあります。人手不足の今だからこそ,50代社員が意欲を持って働ける環境整備は,企業の持続的な成長に不可欠です。
そこで注目されるのが,外部のキャリアコンサルタントの活用です。
■キャリアコンサルタントが社員の自律を促す
キャリアコンサルタントは,労働者の職業選択やスキル開発に関する相談に応じ,助言を行う国家資格を持つ専門家です。利害関係のない第三者だからこそ,50代社員は胸の内にある不満や不安を率直に打ち明けられます。キャリアコンサルタントは,そうした本音を聴いたうえで,本人が大切にしたい価値観を言語化し,将来像を描くことを支援します。そして「これからどう働いていくか」という主体的な意欲へと転換します。
実際,ある50代社員は,キャリアコンサルタントとの面談において,最初の数回は会社への不満が多かったものの,次第に「自分はなぜ憤っているのか」「本当に大切にしたい価値観は何か」と内省するようになりました。そして,不満の裏に隠れていた“組織への帰属意識”や“仕事への誇り”を再確認し,「もう一度,自分の力を発揮しよう」と意欲を取り戻したのです。もし,面談をしたのが,本人の上司や年下の人事担当者等であったなら,面談者に高度な面談スキルがあるか,または本人との間に強い信頼関係がある場合を除いて,対話は表面的なものに終始していたでしょう。
従来,キャリア支援は若手社員を対象に検討・実施されることが多かったのですが,より必要性が高いのは,役職定年や再雇用を控えた50代社員です。高年齢者雇用安定法により,65歳までの雇用確保が義務づけられ,70歳までの就業機会の確保も企業の努力義務とされています。企業にとって50代社員は単なるベテランではなく豊富な経験や知見,人脈を生かせる人的資本です。キャリアの停滞感や不安を放置せず,外部キャリアコンサルタントを活用し,その力を再び輝かせましょう。
(月刊 人事マネジメント 2025年12月号 HR Short Message より)
HRM Magazine.
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