
テレワークで業務を効率化するカギ
ミクステンド(株) 代表取締役 北野智大
新型コロナウイルスの感染拡大による1回目の緊急事態から丸3年。我々の働き方をみると,テレワークが浸透し,今ではフルリモートの企業も珍しくなくなりました。ただ,それまで100%出勤を選択していた企業にとっては,テレワークでは互いのコミュニケーションや確認作業がスムーズにいかないなど,課題も残っているようです。そこで,今後もテレワークが働き方の1 つとなる状況下で,社員の働きやすさを重視しながら効率よく仕事を進めるにはどうしたらよいのか考えてみましょう。
■社員の無駄なアクションを減らす
コロナ前の働き方では,社員がオフィスで肩を並べていたこともあり,上司や同僚へ直接話しかけることができ,円滑なコミュニケーションが当たり前でした。ただ,直接話せることで,上司が自席に戻ってくるのを待つなど,確認作業に時間を費やしていた経験はないでしょうか。商談や会議などの日程調整もその1つです。当社は日程調整ツール事業を手掛けていることから,人々の日程調整にかける時間や課題を調べたことがあります。営業職の人を中心に聞き取りを行ったところ,会社によっては1週間に約7時間を費やしていたり,日程調整専門の人員が置かれていたりすることが分かりました。商談では,客先に同行する上司や同僚の都合も考慮して日程を組む必要があり,同行者のスケジュールを直接聞き取って確認していることから,このような結果となりました。しかし,7時間=約1日分の就業時間を日程調整に費やすのは,非効率であり,コミュニケーションが取りづらいテレワークのような働き方が前提の世界では,改善すべきでしょう。改善策としては,まず社員同士が情報やスケジュールをオンラインで共有することが重要です。オンラインで誰でも確認できるようにすれば,無駄な待ち時間やアクションを減らせます。
■ITによる効率化とツール選定のポイント
社員同士で情報を共有し,業務を効率化するためには,ITツールを導入するという手段があります。
日程調整ツールもその1つです。ツールを導入したことで,同行者の予定を確認する時間やメールの往復時間など,日程調整に費やす時間をトータルで60%削減できたコンサルティング企業もあります。しかし,ITツールは種類が多く,どういったものを選べばいいのか分からない人も多いのではないでしょうか。ツール選びのポイントは下記の3つです。
@迷うことなく誰でも使える操作性であること
A自社の課題にマッチした機能が揃っていること
Bツールの方向性に対して共感できること
1つ目のポイントは,社内にツールを浸透させるために重要な要素です。ツールを使う社員のなかには,研修を受けていない人やITが苦手な人もいます。全員に確実に使いこなしてもらうために,直感的な操作性のツールを選びましょう。
2つ目は,ツールを導入して何をしたいのか,解決したい課題をしっかりと洗い出すことが重要です。そのうえで,課題解決するための必要な機能がツールに備わっているかを確認します。課題の棚卸しをせずツールのみを単純に比較してしまうと,「必要な機能が備わっていなかった」「実はより安価なツールでも代替できた」等の失敗が発生します。
最後に,ツールがSaaSの場合は機能追加や改修サイクルが早く,日々変化していきます。そのため利用開始から1年後に自社にとって必要な機能が追加されていそうかを見定めることが重要です。ツールがどういう課題解決を目指しているのか,発信しているメッセージを読み解くことで方向性を理解しましょう。
(月刊 人事マネジメント 2023年5月号 HR Short Message より)
HRM Magazine.
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