2008年〜韓国・地域平生学習の動き

*2008年7月・韓国訪問.■
*韓国・平生教育法■
*2009年平生学習の動き■

<目次>
1,韓国新政権の平生学習・釜山の動き (提供・李正連)
2,
釜山市蓮堤区の平生学習 (提供・肥後耕生)
3,釜山市蓮堤区・巨堤2洞住民自治センター (提供・肥後耕生)
4,釜山平生教育実践協議会、学びの場 (提供・肥後耕生)
地域平生学習の動き−教育行政と一般行政 (梁炳賛氏)聞き取り・小田切督剛

6,
釜山市海雲台区盤松2希望の世界・ケヤキ図書館」 (提供・肥後耕生
7,
釜山市地域平生教育情報センター・学父母教育院提供・肥後耕生
8.
釜山市蓮堤区・ナムムン初等学校附設平生学習院 (提供・肥後耕生)
9.
韓国の住民自治センター・小地域の平生学習(第48回全国集会・18分科会・小林)
10,




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(1) 韓国新政権の平生教育の動き・釜山の動向
    *【南の風】2027号(2008年5月12日) 提供・李正連

<韓国生涯学習研究フォーラム(第9回)資料(2008.2.9)>
 李正連(名古屋大学)Thu, 8 May 2008 13:06

*2月の韓国生涯学習研究フォーラム(川崎)の際に紹介された韓国の新しい動きに関する資料を李正連さんに再送していただきました。福岡グループを中心とする韓国・プサン訪問(7月下旬予定)の事前学習資料として活用させていただきます。有り難うございました。 (小林ぶ)

○韓国新政権の教育改革案と平生教育
T.李明博政権(引継ぎ委員会)の改革案
 −「教育人的資源部」→「教育科学技術部」へ名称変更
 −英語教育の強化(小学校一般教科の授業を英語で行う)
 −大学入試の完全自律化(2012年度)
  (略)
 ※李明博政権の教育政策に対する批判
 1.李明博政権の教育政策関連、社会元老の提言(2008年1月21日)
   :パク・ウォンスン(希望製作所常任理事)の他6人
 2.李明博政府の教育政策を危惧する109人(2008年1月21日)

U.平生教育の動向
 1.平生教育法の全面改正(2007.12.14公布)
 2.平生学習振興5ヶ年総合計画(2008〜2012)
 3.平生教育振興院の開院(2008年2月15日)
   :院長・パク・インジュさん(韓国平生教育総連合会会長) *その後「会長」は辞任
 4.釜山における平生教育の動向
  −2009年、釜山市と釜山市教育庁(日本の教育委員会)が「平生学習振興院」を設立
  −2012年までに、釜山市に平生教育関連担当部局を新設、釜山市教育庁には平生学
    習条例が制定される。
  −釜山市と市教育庁、2009〜2012年の平生学習中長期発展計画を発表
               (2月12日宣布式予定)
 【中長期発展計画】
 平生教育支援システムの先進化
 平生教育の質の管理
 学習者支援システムの構築
 平生教育ネットワーキングの活性化 (4分野、12重点施策、73事業)
 【具体的に】
 16自治体別平生学習チームの構成
 平生教育機関における平生教育士の拡大配置
 平生学習館の拡大指定
 釜山市平生学習協議会の拡大運営
 平生学習行政協議会の構成・運営
 釜山市民大学(仮)の運営・活性化等
 *(資料:平生教育センターホームページより[2007.11.12])

 5.仁川広域市平生学習館の開館(2008年2月)
 6.仁川広域市東部教育庁「2008文解教育指導者養成基本課程」研修
   (2008年1月14〜25日)
 7.韓城デジタル大学と韓国文解教育協会(会長・李善宰)が学術交流協定を締結
   (2008年1月29日)



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(2) 釜山市 蓮堤(ヨンジェ)区の平生学習  訳・肥後耕生
            (2008年7月30日)
釜山資料‐1
*蓮堤区庁でのパワーポイント資料をもとに作成
・訪問日:2008年 7月 19日
・場 所:蓮堤区庁 http://www.yeonje.go.kr/(日本語あり)
・担 当:蓮堤区庁平生学習課
      リュウ シヒョン(平生学習/総括企画)
      パク チグ(平生学習担当)
      ハン スヨン(平生教育士)
・内 容:平生学習都市造成事業の推進(現状及び今後の計画)
1.基本現況
・ 人  口  214,809名(釜山市の5.9%)
・ 面  積  12.08?(釜山市の1.6%)
・ 行政区域 13の洞、280の統(洞と班の中間)、1,790の班
・ 機  構  3局 1室 16課、保健所、13洞、議会
・ 公務員数 572名
・ 財  政  106,792百万ウォン
2.平生学習都市推進背景
・ 1995年に開庁
・ 民選1期(1995〜1998年) 開始と安定の時期
・ 民選2期(1998〜2002年) 成長と跳躍の時期 
・ 民選3期(2002〜2006年) 新たな跳躍の時期
・ 民選4期(2006〜   )   新たな発展動力の必要 ⇒ 平生学習都市推進
3.平生学習都市蓮堤区の現状
・ 2006年度、平生学習都市に選定
・ 自治行政局 → 平生学習課 → 平生学習チーム、体育振興、電算情報
・ 平生学習チーム職員 総 6名(担当:1名、職員:3名、平生教育士:2名)
・ 平生学習チームが"平生学習センター"の役割を遂行(Think Tank)
・ 推進体系 (    )
・ ビジョン及び目標
ビジョン "学びが漂う幸福都市、学習により夢を実現する蓮堤"
目 標1  いつでも、どこでも、誰でも、自身が希望する学習の提供
       ⇒ すべての区民の学習権の実現(保障)
目 標2  学習を基盤として互いに協力する文化づくり
       ⇒ 地域学習共同体形成を通して社会的資本を創出
目 標3  効率的な事業推進及び効果の極大化のための基盤造成
       ⇒ 学習と行政の統合により、有機的な協力体制の構築

・ 推進計画
基盤造成(2006年)
 ‐蓮堤区平生学習条例制定及び平生学習協議会の構成
 ‐事業推進の専門担当部署の構成
 ‐平生学習都市宣布式
 ‐平生学習センター専門人材の確保(平生教育士など)
実行段階(2007年)
 ‐平生学習機関及び関係者ネットワークの構築
 ‐平生学習総合情報網の構築及び運営
 ‐平生学習センターの設置及び運営(平生教育士配置)
 ‐平生学習プログラム開発及び支援
 ‐住民要求調査及び平生学習都市中・長期発展計画樹立
成熟段階(2008年)
 ‐平生学習機関間ネットワーク完了及び定着
 ‐住民自治センター地域別特色化事業の推進
 ‐疎外階層の平生教育プログラム開発支援
 ‐職業能力向上プログラムの開発支援
 ‐優秀講師の養成支援及びワークショップなどの開催
定着段階(2009年)
 ‐平生学習を通した地域共同体づくり
 ‐学校など各種教育施設の積極的な開放
 ‐小生活圏の平生教育施設機関の指定及び支援
 ‐平生学習1人1プログラム参加運動の展開

4.主要プログラムの運営状況
・ 学習都市選定前と比較して、全体プログラム数が増加(143→507講座)
・ 地域住民を対象とする平生教育プログラム領域の多様化
           (学習都市選定前と比較して大幅に増加)
・ 市民教育プログラム (12→51講座)
・ 文化余暇プログラム (71→63講座)
・ 住民自治会プログラム(83→114講座)

5.学習ネットワークの現状
(1)地域内企業とのネットワーク
 ・地域に散在する優秀民間施設との協約を通したネットワーク
  [ロッテキャッスル住宅文化館] 
  ‐主な活用内容:民・官協約を通した優秀施設を無料で利用
          大学入試説明会、夢の木建築文化教室などの協力事業を運営
 ・協約内容
  1) 両機関は、平生学習振興に互いに協力し努力する
  2) ロッテキャッスル住宅文化館は、平生教育のために保有している施設及び
    機器を無料で提供する
  3) 両機関は、多様なプログラム運営に相互交流協力し、資料を共有する
  4) 区庁は、ロッテキャッスル住宅文化館で運営するプログラムに対し、地域住民
    へ積極的に広報する
(2)管内学校とのネットワーク
 ・ 学校平生学習プログラム支援(5校に12百万ウォン)
 ・ 開放型学校の優先支援(2校に15百万ウォン)
 ・ 東?教育庁内の地域と共にある学校事業を実施している5校中4校が蓮堤区に所在

6.今後の推進計画
・ 情報化教育の拡大及びホームページ活性化のためのサイバー講座の開設
・ 管内の平生教育関連機関及び団体とのネットワーク活性化のための地域拠点
 平生学習館の指定運営
・ 平生学習センター登録講師の専門力量開発のための講師研修の実施
・ 学習グループ活性化のための学習グループ連合会の構成
・ 小さな図書館を基盤とする圏域別平生学習館の造成
・ 地域特化プログラム及び住民の選好度調査を通した住民要求プログラムの開発運営

釜山広域市蓮堤区「平生学習都市」選定記念碑の前で福岡訪問団(20080719)




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(3) 釜山市蓮堤(ヨンジェ)区・巨堤2洞住民自治センター 
   提供:肥後耕生
 2008年8月4日
釜山資料‐2
・訪問日:2008年 7月 19日
・場 所:蓮堤区巨堤2洞住民自治センター
・担 当:蓮堤区庁平生学習課、 巨堤2洞住民自治センター
・内 容:住民自治センターの機能、住民自治委員会の構成など

T.蓮堤区住民自治センター
 *入手資料:「住民自治センターの手引き」より

1.住民が主人となる幸福共同体、蓮堤区住民自治センター
 1)住民自治センターとは?
  住民の生活の質を高めるために設置された文化、福祉、教育、プログラム及び便益施設
 として、住民が互いに交流し、共同の問題を共に助け合い解決していく住民のひろばであり、
 住民の参与と自主的管理により運営される住民自治機関である。

 2)住民自治委員会とは?
  住民自治センターの運営主体として、地域の問題を自ら発掘し解決して、プログラムを企画、
 選定、審議する住民の代表組織である。
 現在、蓮堤区住民自治委員は、総316名(男性:262、女性:54)である。

 3)住民自治センターの機能
  ・住民自治:地域問題の討論、集落環境の整備、自律防災活動
  ・文化余暇:文化行事、展示会、発表会、生活体育
  ・地域福祉:健康増進、マウル文庫、青少年学習室
  ・市民教育:平生教育、青少年教室、外国語、技術、コンピューター教室
  ・住民便益:会議場、埋葬、生活情報の提供など
  ・社会振興:家の前の清掃、不遇近所支援、青少年指導

2.常に不足感なく充足していく平生学習都市・蓮堤
 1) 平生学習都市とは?
  個人の自己実現と、都市全体の競争力向上のために、地域内のすべての教育資源と機関
 がネットワークを構築して、いつでも、どこでも、誰でも希望する学習を楽しむことができるよう
 にするための地域学習共同体である。
 ◆蓮堤区は、2006年7月26日に教育人的資源部(現、教育科学技術部)から平生学習都市
   指定された。

 2)蓮堤区平生学習センターのスローガン
  "楽しい学習都市、希望に満ちた未来蓮堤"

 3)蓮堤区平生学習センター主要事業は?
  ◆学習基盤の構築
  ・平生学習都市総合発展計画樹立
  ・平生学習センターホームページの構築
  ◆ネットワークの構築
  ・平生学習協議会及び実務委員会の運営
  ・平生教育講師バンクの実施
  ◆プログラム支援
  ・優秀プログラムの公募
  ・学習グループ支援

3.学ぶ喜び、分け合う愛、美しいマウルづくり
 1)1センター1特化事業の推進
  ・期間:年中実施 →13の洞で15の事業
  ・内容:無料診療、無料美理容、愛の福祉カード、温泉水Well-Beingセンター など
 
 2)温泉水平生学習体験ひろばの運営
  ・期間:4月〜7月、9月〜10月 →毎月第2、4週土曜日15時〜17時
  ・内容:製造(加工)体験、健康、科学、地域を知る など

 3)夢の木土曜学校の運営
  ・日時:毎週土曜日14時〜15時30分
  ・場所:圏域別4ヶ所(巨堤2洞、蓮山2洞、蓮山3洞、蓮山9洞)
   →巨堤教会、シンフン教会、蓮堤区総合社会福祉館、蓮堤文化院
  ・内容:YES計算、漢文、風物

 4)住民自治力量強化教育
  ・住民自治リーダーシップ強化教育、特化プログラム開発ワークショップ
  ・平生学習関係者ワークショップ、住民自治センター実務者ワークショップ

 5)平生学習住民自治文化祭の開催
  ・時期:毎年10月〜11月中に開催
  ・内容:プログラム発表会、作品展示会、体験ひろば、平生学習セミナー など

4.クリック!充実した情報がひとつに・・・、住民自治センターホームページ
  ・住民自治センター紹介:地域現況及び住民自治センターの紹介
             →洞事務所紹介、自治センター施設案内、案内図、主要施設
  ・プログラム:住民自治センターで運営しているプログラム紹介
             →プログラム活動ギャラリー、地域共同体プログラム、健康教室、
              音楽教室、工芸教室、趣味教室、語学教室、その他
 ・講師、支援ボランティア:講師及びボランティア登録申請 など
 ・自治委員会運営:住民自治委員会の現況及び活動事項の紹介
     →住民自治委員会構成、会議録、住民自治活動、行事及び日程、優秀事例資料室
 ・洞内の集まり:グループ構成、会員間親睦及び情報交流 など
 ・討論の部屋:住民知センター関連建議事項及び処理結果の確認 など
 ・住民自治センターの知らせ:住民自治センター関連行事及びその他公示事項の掲示
 ・情報ひろば:生活に役に立つ各種情報、行政施策 など

  洞名    アドレス       洞名    アドレス
  巨堤1洞 geoje1.busan.go.kr   蓮山4洞 yeonsan4.busan.go.kr
  巨堤2洞 geoje2.busan.go.kr   蓮山5洞 yeonsan5.busan.go.kr
  巨堤3洞 geoje3.busan.go.kr   蓮山6洞 yeonsan6.busan.go.kr
  巨堤4洞 geoje4.busan.go.kr   蓮山7洞 yeonsan7.busan.go.kr
  蓮山1洞 yeonsan1.busan.go.kr 蓮山8洞 yeonsan8.busan.go.kr
  蓮山2洞 yeonsan2.busan.go.kr 蓮山9洞 yeonsan9.busan.go.kr
  蓮山3洞 yeonsan3.busan.go.kr 支援センター jumin.busan.kr
  *蓮堤区平生学習センター:www.yjedu.kr

U.巨堤2洞住民自治センター
 *出典:ホームページ掲載情報より(http://geoje2.busan.go.kr) 

1.巨堤2洞基本現況
 面積:1.83?
 世帯数:5,500
 人口:15,512人(男性:7,806、女性:7,706)
 統班:19統、134班 *統とは、市の行政区画のひとつで洞の下。
 公務員数:13名
 2000年11月3日開所(2007年8月27日 新築移転)

2.プログラム現況
 生活科学、生活英語、YES計算(土)、漢文(土)、リボン工芸、書道、民謡装具、腹式呼吸、
 ダンススポーツ、歌、老人健康体操
 *「住民自治センターの手引き」では、巨堤2洞のプログラム数は11(蓮堤区全体122)

3.住民自治委員会
 委員23名、セマウル婦女会中心のボランティア15名で運営
 主要運営プログラムとしては、教養講座水準の長期プログラムと2月の堂山祭(堂山で行われる
 先祖や守護人をまつる祭祀)、5月の長寿祈願祭、8月の青少年プログラム、9月の各団体交流、
 10月の読書大会、12月の住民自治委員会運営決算及び住民会合の夜など、毎月適時に合わ
 せて実施される短期プログラムを運営している。
 すべての運営プログラムの選定及び運営は、住民アンケート調査などを実施し、住民世論を集
 約し、住民自治委員会の審議を経て推進している。

蓮堤区巨堤2洞住民自治センター(20080719)
 写真撤収


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(4)釜山市(海雲台区) ‐学びの場‐ 訳・肥後耕生

釜山資料‐3
・訪問日:2008年 7月 19日
・場 所:カフェ"コーヒーがある文化"(釜山市海雲台区)
・担 当:釜山平生教育実践協議会、学びの場会員
・内 容:学びの場を組織するまでの経緯及び現況
*"学びの場"の会長("コーヒーがある文化"のオーナー)ウ ヨンホ氏の説明資料

1."学びの場"組織までの経緯
1)学習専用空間の必要性
韓国放送通信大学・釜山地域大学の教育課在学生として学業中に、まずは学習できる安定的な場所の確保の難しさを実感し、多くの学習グループもやはり維持できない実情と、うまく活用できていないことに原因があることを把握できた。
 
2)学習専用空間の設置目的
  安定的な学習活動空間を提供し、持続的な活動を奨励する
  学習グループ間の連携を通した方法的な側面を助力し改善する
  学習活動の質的向上と仲間(グループ)の集まりを活性化する

3)類似期間の有無
 学習及び集いの場所を貸与することだけを目的につくられた機関は存在するが、各々の学習を助力し連携し、定着及び活性化する機関は、情報取得の限界で発見できていない。

4)設置障害要因
 専用空間を設置することにおける障害要因は、大きく2つに分類できる。ひとつは実行費用の一律的適用の難しさであり、もうひとつは、円滑な活動のために適切な支援に必要な熟練した助力者の力量を兼ねた運営能力の限界である。

2.現在の進行状況
1)設立及び運営状況
 本機関は、2004年に設立し、5つの学習グループで始まり、現在30の学習グループ及び仲間の集まりを助力している。地域の文化及び社会教育施設とネットワークを構築し、"コーヒーがある文化"という文化を共有し普及することができる地域共同体である平生教育代案空間を備え、非営利地域共同体である平生教育団体を構成し、平生教育の定着及び活性化に貢献しようするものである。

2)主要事業
 平生教育プログラムの開発
 地域の文化、社会教育施設とネットワークの構築
 多様な講座開設を推進し、参加者の資質向上と教授者の安定的な活動を奨励
 地域共同体平生教育の定着、発展のためのあらゆる事業拡大の実施
 非営利地域共同体の平生教育団体の構成

3)施設現況
 地下に25名、20名、15名を収容できる学習空間と、共用で使用できるパソコン周辺機器と、簡単な運動施設などが造成されており、地域住民のための講座開設及び無料映画上映と、少量の図書が準備されている。


釜山平生教育実践協議会‐学びの場‐と福岡訪問団との交流会(20080719)   





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(5) 韓国・平生学習の動き−教育行政と一般行政 
    小田切督剛(川崎市高津市民館) Friday, July 25, 2008 7:26 am

   *2008年7月訪韓−公州・ソウル訪問の報告 (4) 南の風2071号(8月5日)
        …承前(2066、2067、2069)号… 

○<2008年7月24日、公州大学校・梁炳賛(ヤン・ビョンチャン)先生のお話>
 初の住民直接選挙となった7月30日のソウル市教育監(教育長)選挙を控え、ソウル市内はポスターや宣伝カーなどが目につき、全国紙も大きく取り上げていました。しかし、候補たちの選挙広告に掲載された公約には平生教育への言及が見られず、「平生教育は教育行政から一般行政になし崩し的に移っていくのではないか」という疑問を感じ、ヤン・ビョンチャン先生にお聞きしました。
 印象的だったのは「一般行政の側も平生教育に魅力を感じている。平生教育は『住民サービスの向上』『地域の発展』など政治的にも接点がひじょうにあり、目標化させやすい。教育監選挙でも学父母(保護者)教育を挙げている候補がいる。しかし、教育を制限的に認識するという問題がある。「なぜ学校教育中心の思考から抜け出ることができないのか?」という問題。水準の差はあるかもしれないが、この問題について韓国と日本は似た眩目的な現象が起きているのではないか」という解説でした。川崎でも市民館を一般行政に移管しようという動きが根強くありますが、「市民活動支援」ばかりが先行し、「学習権の保障」が軽視されているという問題があります。考えさせられました。
 また、平生教育法全面改正に伴う変化についてのヤン先生のお話も印象的でした。「平生教育法全面改正に伴う変化は、地域によって違いがある。第一に、広域自治団体の動き。教育支援課平生教育チームや平生教育課が設置されてきている。また、教育科学技術部から平生学習支援計画を策定することが勧奨されている(ヤン先生は忠清北道や大田広域市での策定に携わっている)。釜山広域市はこの動きが出る前に計画を作った。第二に、地方教育庁の動き。既得権を突然奪われるのではないかと吝嗇して、一般行政との競争となっている側面がある。第三に、基礎自治団体の動き。2年前に行政自治部が出した行政機構設置条例の改正案では、住民生活支援局を設置し平生教育をその所管事業とすることが勧奨された(富川市の場合、住民生活支援局住民生活支援課の中に平生学習チームを設置)。
 全体としては、広域自治団体の責任と位置づけられつつある。自治団体にとってもジレンマであり、『なぜ平生教育まで我々が行わなければならないのか』『せっかくこうした動きがあるのだから、平生教育をシステム化する機会としよう』とさまざまな反応がある。自治団体の予算や推進力により新しい動きを作れるかどうかによって、平生教育はスランプにも陥りうるし発展の機会ともなりうる」。

金浦空港にて、右・梁炳賛教授(韓国・公州大学校)、ー20080724ー




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(6) 釜山市海雲台区盤松
 ‐
希望の世界・ケヤキ図書館
提供・肥後耕生 
   
                  
釜山資料ー4

・訪問日:2008年 7月 20
・場 所:ケヤキ図書館(釜山市海雲台区盤松2洞)
・担 当:希望の世界‐コ チャンゴン会長(区議会議員)
                  キム ヘジョン事務局長
・サイト:www.sesang.or.kr
・内 容:“希望の世界”設立までの経緯及び活動内容

  〜住民と住みよい集落づくり〜 

1.
海雲台(ヘウンデ)盤松(バンソン)地域

   釜山市海雲台区盤松1,2,3
   人口:約62千名、住居密集地域
   海雲台区生活保護受給者の65%が居住

2.集落の形成と団体の胎動
  盤松洞は、1968年から1975年まで、釜山市内スジョン洞からの撤去民の集団移住
   により形成された集落である

  1995年以降、6千世帯規模のアパート団地の建設に伴い、急速に人口が増加
  1997年から、集落新聞を作成し、地域活動を開始
  19986月、事務室を準備し、“盤松を愛する人々”を創立し本格的な活動を開始
  まずは、取り組みやすいことから開始

3.住民を主体とする多様な地域活動
  地域共同体を目標‐住民が主体となる住みやすい集落づくり、住民が集落の主体
   として地域の問題を自らの力で解決する住民自治を実現

  地域活動の開始‐少年少女をなによりも支援、集落の知らせの伝達
               1997年に新聞発刊
  2005年に“盤松を愛する人々”を“希望の世界”へ改称
  2007年現在、会員数200名‐後援会員と一般会員に区分
  団体の運営は、会員の会費で行い、ずべての活動は、ボランティアで

4.多様な活動を通した会員組織
  参加者すべてが各自の役割があるように準備
  会員がやりたいと思え、楽しめることを行う
  根気強くできることをつくろう
  会員一人一人の欲求を把握する
  責任感を高めることができる会議、評価
  自分が成長するんだという意識の強化

5.“希望の世界”の多様な活動‐集落新聞‘盤松の人々’
  住民、会員がよく知ることが重要だという認識から出発
  住民と希望の世界をつなげる重要な媒体
  集落新聞‘盤松の人々’を発刊
  毎月発刊(20087月号‐136号)
  6,000部発行
  ‐希望の世界の編集部で討論後、企画及び取材、発行
  ‐会員が住民に直接配布
    *新聞は一番いい学習道具!


6.多様な小集団活動
  人々が集まり議論し、学んでいることを見て、多様な要求がでてくる
  ‐共に分け合う(分かち合う)班、子女問題研究班、読書班、製作班、人形劇班、
   風物班、編集部など

  2005年に希望の世界に転換し、
  ‐“幸せな分け合う店”
  ‐“ケヤキ図書館”
  ‐“非文解者教育”へ専門化
  お母さんがさらに幸せな人形劇班
  ‐集落に文化空間がないことを惜しむお母さんたちが中心となりグループを結成
  ‐一般の主婦たちが台本を作り人形を製作し子どもの家、幼稚園など循環公演
  ‐各種行事に招待され公演を開いている
  痛みを共に分かち合う、分かち合う班
  ‐主婦たちが家庭で手軽に接近でき、余力あるときに一番やりたい活動が他人
   を手助けする活動である

  ‐団体創立からこれまで、毎月第四土曜日におかずを直接作り、独居老人の方
  に届けてあげている

  ‐対象家庭を訪問し、清掃や話し相手となる

7.100日間共に準備する、‘子どもの日ひとつの広場’活動
  19974月から研究を始め、1999年から開催している
  2008年、10回目を開催し、住民6万人中1万余りの住民が参加
  地域内すべての団体が意味ある参加

8.知っているほど感じ、感じるほど実践する
  多様な講座を準備
   ‐主婦大学、主婦環境講座、区人口職相談室、夏休み・冬休み教室、
   放課後学習ルーム運営、青少年リーダーシップキャンプ、学父母教室、
   良いお父さん教室、民主市民教室、会員教養講座など進行中


9.子ども・青少年のための多様な活動
  子どもたちが自分たちの集落を誇りに思えるように
  民主的な素養向上のための活動
  私たちの集落を引っ張っていく次世代は、青少年
  学生や子どもとしてではなく、集落の重要な構成員として認められるように
  例)分かち合い教育、民主市民教室、自然探査、河川探査、農村奉仕団など

10.良いお父さんの集まり
  地域活動に消極的であるお父さんたちが共に結集し地域活動に大きな成果がある
  3040代のお父さんたちで構成され、家族共同体強化と多様な地域活動を実施
  良いお父さん学校、子どもとのキャンプ、野生学習場の管理、学父母特講など進行中

11.私たちの子どもたちの問題は、住民の手で‐‘希望の架け橋運動’
  教育福祉事業を実施しながら、子どもたちの問題を具体的に考えるようになった
  夢をすてないように、寂しくないように、お金がなく飢えないように、治療を受
   けられず痛くないように、というスローガンのもと、希望の架け橋運動を実施

  地域が中心、学校が連携 ⇒ 教育福祉ネットワークの構築
  後援者300余名 ⇒ 教育福祉事業、夢の木奨学金、生活奨学金など長期的支援及
   び事例管理


12.住民自治の花を咲かせるために
  1)住民意識改革運動‘盤松を起こそう’
   盤松発展100大課題実践運動(2005)
    ‐設問調査、公聴会開催
   地域の10年後、20年後を設計しよう
    ‐住民自治、地域経済、教育、福祉、文化、環境分野に分け、実践計画樹立
  2)多様な自治活動
   住民自治委員及び指導者ワークショップ、各種文化祭、盤松の象徴‘盤松’の
  木植樹、野生学習場運営など


13.新たな10年に備え、希望の小さな図書館づくり
  これまで10年を評価
  子どもたちにどのような故郷をつくってあげられるのか、という考えから始まった
  集落の文化を変え、子どもたちが誇りに思う集落づくり

お母さんが必要な子どもたちには

お母さんとなり

友達が必要な子どもたちには友達となり

学習室が必要な子どもたちには

学習室となり

地域住民には希望を話すことができる

図書館を



14.地域活動の教訓
  住民の要求から出発、要求は変化、発展する
  学習と実践は、根気強く進めなければならない
  会合と団結が発展の原動力となる
  資金が常に不足しても、できない事業はない
  重要なことは‘人’である
      
  (*パワーポイント資料より)

   〜希望を美しく咲かせる地域共同体“希望の世界”〜

1.“希望の世界”活動内容
  1)分かち合いを実践する、幸福な分け合いの店
   再活用品の常設展示及び販売
   制服交換展
   少年少女家庭、女性家庭、独居老人の後援及び支援
   (店の収益金は、生活が苦しい隣人のために使用される)
  2)子どもたちの空間‐ケヤキ図書館
   必読勧奨図書の配置、貸与
   毎週土曜日、読み聞かせの日
   本を読む大人の集まり、家族の歴史紀行班の運営
  3)美しい地域共同体づくり
   朝日を浴びる登山
   集落新聞の発行
   子どもの日、遊びのひろば
   野生学習場の整備
  4)希望を育てる。ボランティア活動
   分け合いの店
   子ども図書館ボランティア
   生活が苦しい隣人の支援
   農村奉仕活動
  5)民主社会の花、参与民主主義の実現
   住民自治活動への参与
   統一を早める活動
   子ども、青少年リーダーシップ教室
   教育環境改善、地域環境改善活動
  6)お父さんたちがつくる美しい世界
   良いお父さん学校
   家族機能強化プログラム
   子どもとのキャンプ

2.分かち合い実践する、幸福な分け合いの店
  私には必要ではないけれども、少し手入れをすれば他の誰かが必要なものとなる
 物品などの寄贈を受け販売し、その収益金は、私たち地域の苦しい隣人たちの
 後援(支援)金として使用する

  例)衣類、学生用品、子ども用品、プレゼント用品、家電製品、靴など

3.子どもたちの空間、ケヤキ図書館
  どのような本を取り出しても、子どもたちの害となる本はない。子どもたちのた
 め良い本だけを選び備え配置しいる

  活動内容
  ・毎週土曜日、読み聞かせ
  ・多様な読後活動
  ・家族歴史紀行班の運営
  ・子ども記者団の運営
  ・紙芝居上映
  利用方法
  ・無料利用:希望の世界会員
  ・有料利用:年会費5,000ウォン
  ケヤキ図書館の沿革
    2006.10         本を読む社会、小さな図書館支援事業選定
    200612   小さな図書館づくり推進委員会構成
    2007.1   毎週土曜日、募金活動実施
    2007.2   住民募金を通した建設敷地確保
    2007.3   幼稚園、子どもの家、豚の貯金箱集め、煉瓦一枚基金積み
    2007.4   着工式開催/文化観光部文化空間造成事業選定
    2007.5〜8 図書館工事
    200710   ケヤキ図書館開館
  図書館各階の案内

F

住民文化センター

F

青少年室

1・2F

幼児室

地下1F

ブックカフェ及びコミュニティー空間、パソコン室

  利用時間
  ・月曜〜金曜:午前11時〜夕方630
  ・土、日曜日:午前11時〜午後5
 ・休 館 日:火曜日、祝日
           (*希望の世界、ケヤキ図書館パンフレットより)

【参考】
 釜山で訪問した『希望の世界』ホームページに早速、今回の訪問記事が掲載されました。
 「2008年7月20日、日本からお客様がいらっしゃいました。日本で生涯学習、住民自治などについて学んでいる集まりの会員の方々など、20名ほどいらっしゃいました。図書館を見てまわり、一緒に映像も見て、住民自治、生涯学習に関する話を交わしました。ケヤキ図書館の映像を見て、皆さん感動を受けたとおっしゃいました。その後、一緒に夕食をしながら、さらにたくさんの話を交わし、一緒に歌も歌いました。日本で故郷の春、イムジン河、アチミスルなどの歌を練習していらっしゃり、韓国語で、また日本語で一緒に歌いました。最後に手をつなぎ、アチミスルを歌うと、どうしてかわからないけど、涙が流れてきました。今後、さらに頻繁な交流とネットワークを通して、お互い協力し、助力いたします。」
 ホームページには、ケヤキ図書館や募金活動の様子などの映像もいくつか掲載されております。www.sesang.or.kr映像は、ホームページの左側の中間あたりに青色で示してあります。テレビでも特集が組まれたようです。ケヤキ図書館にて説明の際、国民銀行のコマーシャルを見せていただきましたが、その映像ファイルを事務局長さんよりいただきました。(肥後耕生、Mon, 28 Jul 2008 18:27)

海雲台区盤松(パンソン)2洞・ケヤキ図書館 1階壁面(20080720)




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(7)釜山市地域平生教育情報センター・学父母教育院提供・肥後耕生
 

釜山資料ー5
・訪問日:2008 721
・場 所:釜山地域平生教育情報センター・学父母教育院
・担 当:キム ソンス事務官 他
・サイト:www.hakbumo.go.kr
・内 容:学父母教育院紹介、戦略事業など

‘視野の広い学父母(学生の保護者)、体系的なプログラム、開かれた教育院’を標榜する釜山地域平生教育情報センター・学父母教育院は、全国で最初の学父母対象専門教育機関として、すべての学父母に子どもの教育に対し考え、悩む空間を準備している。

1.設立目的
 子どもの未来に肯定的に寄与する積極的で正直な父母像を定立
 優秀な学父母人的資源の教育現場支援を誘導し、公教育の内実化に寄与
 学父母自身の学習要求の充足及び成長発展を基盤とする平生学習社会の実現
 地域の人的資源である学父母の能力開発と活用を通した地域社会発展の誘導

2.沿革

2000.  7. 13

釜山地域平生教育情報センター(市民図書館)指定

2004.  3. 19

釜山地域平生教育情報センター・学父母教育院開院

7. 14

日本・福岡県立社会教育総合センターとの交流協力調印

2005.  6.  1 

教育人的資源革新博覧会参加

 

革新優秀事例公募展最優秀賞(国務総理賞)受賞

       8. 20

中国・上海東華老年大学と交流協力調印

      10.  8

釜山平生学習フェスティバル

      12.  8

地域平生教育情報センター最優秀機関選定

2006.  9. 30

5回全国平生学習フェスティバル(釜山開催)

2007.  1. 25

釜山地域平生教育情報センター(市民図書館)再指定

      10. 12

釜山平生学習フェスティバル

      11. 12

釜山地域平生学習中・長期発展計画宣布式開催

3.運営目標及び運営方向
1)運営目標
 誰でも、いつでも、どこでも教育を受けることができる平生学習社会の実現
2)運営方向
 目覚めている市民、体系的なプログラム、開かれた釜山地域平生教育情報センター・学父母教育院

4.重点事業(2008年度)
1)平生教育活性化のための平生学習基盤強化
 平生教育機関間の人的・物的ネットワーク強化
 特色のある平生教育プログラムの開発、普及及び支援
 学習者別、領域別の平生学習活性化
2)学父母の学習要求を充足させる研修の内実化
 家庭教育力向上のための学父母研修の拡大
 学父母の自主的学習能力の向上
 学父母人的資源を活用した教育現場の支援拡大

5.平生教育活性化のための平生学習基盤の強化
1)平生教育機関間のネットワーク強化
 平生学習館の運営活性化(27館)
 平生教育機関との連携体制及び共同プログラムの開発
 平生教育情報データベースのup grade及び運営事例資料集の発刊
 平生教育機関優秀学習グループ選定支援
 平生教育機関パートナーシップ構築及び共同事業プログラムの開発
  ‐平生学習情報総合情報システム400機関構築
  ‐平生学習&コンソシアム機関の支援
 平生教育機関従事者の専門性向上
  ‐平生教育関係者及び教・講師研修開催(10回)
  ‐平生教育実務者セミナー及びワークショップ開催(15回)
 海外の平生教育機関との交流協力
  ‐日本・福岡県立社会教育総合センターとの交流協力
  ‐日本・北海道教育大学生涯学習教育研究センターとの交流協力
  ‐中国・上海東華老年大学との交流協力
2)平生教育プログラムの開発及び普及
 釜山地域平生教育総合発展計画樹立
  ‐釜山地域平生教育マスタープラン必要
  ‐広域単位平生教育総合発展計画を全国で最初に樹立
 地域特性化及び疎外階層プログラム公募の支援
  ‐釜山地域の特性化平生教育プログラム公募申請及び支援(47プログラム)
  ‐疎外階層及び地域特性化平生教育プログラムの開発及び支援
 金色平生教育奉仕団の運営
  55歳以上の専門職退職者を中心に組織(110名)
  ‐福祉館、老人大学など訪問(80機関、9,500回)
  ‐ボランティア
3)学習者別、領域別における平生学習の活性化
 市民のニーズに合った質の高い平生教育プログラムの運営
  ‐多様な40の平生教育プログラム運営
 疎外階層を対象に訪問プログラムの運営
  ‐教育福祉投資優先地域、不遇施設などを訪問
  15機関の訪問運営
 平生学習情報相談室の運営
  ‐平生教育プログラム情報提供及び相談
 平生学習フェスティバルへの参与および開催

6.学父母の学習要求を充足させる研修の内実化
1)家庭教育力向上のための研修の拡大
 学父母教育プログラムの体系化及び専門化
  ‐幼稚園、小・中学校学父母教育など、43課程、6,060名養成
  ‐優秀講師の確保及びプログラム開発を通した研修の質的向上
 需要者中心の研修実施(研修機会の拡大)
  ‐共働き学父母のための午後講座及び夜間講座の開設
  ‐父親教室プログラムの開発及び運営
 学父母教育の専門性強化のための地域内ネットワークの強化
  ‐公共、大学、民間教育機関との連携体制構築:36機関
  ‐学父母教育中心センターへの役割強化
2)学父母の自主的学習能力の強化
 自己主導的学習のための平生学習資料室の強化
  ‐子女教育及び平生教育関連資料の配置
  ‐学父母研修の情報収集及び提供
 領域別学習サークル活動の強化
  ‐研修後、領域別学習サークル組織への誘導
  ‐学習サークル発表会
 意見収斂及び需要調査の実施
  ‐研修前後の需要調査の実施を通した教育課程編成
  ‐需要者中心の教科目編成及び研修教材の開発、普及
3)学父母人的資源を活用した教育現場の支援拡大
 支援システム構築
  ‐領域別ボランティア、持続的な個別活動の管理:6領域、154
  ‐奨学協議体の構成を通じた支援システムの構築
  ‐学校及び平生教育機関の連携を通した活動機関の運営:250機関、4,700
 力量及び奉仕精神の強化
  ‐力量強化のための持続的な再教育の深化
  ‐評価、授業発表会など、多様な行事の開催で、奉仕の精神を高める
 領域別開発及び拡大
  ‐養成、深化、体験コースの運営:3課程、トータル17
  ‐設問調査を通した追加新設

7.重点戦略事業
1)釜山平生教育総合発展計画の樹立(200711月)
 推進背景及び必要性
  ‐釜山平生教育総合発展5ヶ年計画樹立の必要
  ‐多様な平生学習要求及び機会拡大
  ‐釜山人的資源開発院を通じた外部支援の留置
 事業内容
  ‐平生教育支援システムの先進化
  ‐平生教育質管理
  ‐平生教育ネットワークの活性化
  ‐学習者支援システム
  ‐釜山地域平生教育情報センター中・長期発展計画樹立
2)学父母支援センター機能転換及び拡大
 推進背景及び必要性
  ‐学父母教育院拡大運営による学父母支援センター必要
  ‐西釜山圏、南釜山圏学父母教育院の追加新設
  ‐学父母教育院支援体系の転換
 事業内容
  ‐学父母教育及び相談
  ‐人材プールの構築及び放課後学校の支援
  ‐教育ボランティアの配置、管理
  ‐需要者中心のオーダーメード型プログラムの開発、普及
  ‐大学及び専門教育機関の人的資源および施設利用により、研修の質向上

8.2008年度、学父母研修課程別計画

研修課程

目標

内容

幼児学父母一般研修

幼児の自主性を支援する父母の姿勢確立

・幼児の健康管理
・応急処置要領
・子どもとの対話法訓練
・父母役割訓練
・幼児の発達心理
・子どもと共に音楽鑑賞

初等学父母一般研修

父母‐子ども間の親密な関係形成

・教育課程の理解
・正しい文字の書き方指導
・子どもの健康と栄養管理
・初等英語指導法
・新聞で教える
・子どもの礼節教育

中等学父母一般研修

子どもとの葛藤解決方法の模索

・教育課程の理解
・子どもの進路指導
・子どもの学習指導の実際
・自己主導的学習能力開発
・論述と思考力
5次元全面教育学習法

領域別学習指導研修

子どもの学習流行の理解

・実用的文章の指導方法
・初等数学指導法
・新聞活用作文
・歴史のはなし
・日常に正しい対話方法
・英語教育方法

9.施設配置

F

放送通信大学自習室、統合学科事務室

F

()釜山人的資源開発院

F

サークル室、相談室、礼節室、視聴覚室、学習室、資料室・平生学習情報相談室

F

釜山地域社会教育協議会、金色平生教育奉仕団、情報学習室、セミナー室、学習室

F

事務室、講師待機室、学習準備室、休憩室、学習室

BF

学習室、幼児室、サークル室

    

 
10.利用案内
 利用時間
   ・学習室:月〜金 9:0018:00
   ・事務室:月〜金 9:0018:00
   ・資料室:月〜金 9:0017:00
  休館日
   ・毎週土曜日、休日
   ・その他、釜山地域平生教育情報センター学父母教育院長が指定する日

     (*学父母教育院案内パンフレット&パワーポイントより)






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(8)釜山市蓮堤区・ナムムン初等学校附設平生学習院 提供・肥後耕生

釜山資料ー6
・訪問日:2008年 7月 21日
・場 所:ナムムン初等学校
・担 当:チョン ユンジャ校長 他
・サイト :www.nammun.es.kr
・内 容:ナムムン平生学習院プログラムなど

*まず、「学校の平生教育」と「学校付設平生教育施設」について、平生教育法での規定及びその解説を示しておく。

1.学校の平生教育
(1)平生教育法での規定
 第29条(学校の平生教育) @「初・中等教育法」及び「高等教育法」による各級学校の長は、平生教育を実施するにあたり、平生教育の理念に基づき、教育課程と方法を需要者の観点から開発・施行するようにし、学校を中心に共同体及び地域文化の開発に努めなければならない。
 A各級学校の長は、該当する学校の教育条件を考慮し、学生・学父母と地域住民の要求に符合する平生教育を直接実施するか、または地方自治体あるいは民間に委託して実施することができる。ただし、営利を目的とする法人及び団体は除く。
 B第2項による学校の平生教育を実施するために、各級学校の教室・図書館・体育館、その他の施設を活用しなければならない。
 C第2項及び第3項により、学校の長が学校を開放する場合、開放時間内の当該施設の管理・運営に必要な事項は、該当する地方地自体の条例で定める。

(2)立法趣旨
 地域住民と学父母、学生の要求に伴い、学校での平生教育を実施できる根拠を新設しながら'学校の平生教育'を平生学習振興のための平生教育機関の一部と見なす。
 学校で平生教育を直接実施するか、地方自治団体及び民間に委託実施できる根拠を準備しながら、既存の平生教育法に規定してあった'学校付設平生教育施設'条項が直接実施に対する内容と'付設'設置に対する内容が混在していたのをより具体的に整理しようとするものである。

(3)解説
1)学校の平生教育実施上における基本原則
 初・中等学校及び大学校(専門大学を含む)の平生教育実施は、平生学習の理念を具現するための基本的な活動であることを認識
  ・教育課程と方法を学習者の観点から開発
  ・該当する学校の教育条件を考慮し、学生?学父母と地域住民の要求に符合する教育プロ
   グラムの実施
 学校の平生教育実施方法
  ・学校が直接実施
  ・民間に委託し実施
  *民間に委託時、営利目的の法人または団体は除外
 学校の教育施設及び人力活用の極大化を図る
 学校開放時、開放時間内の該当施設の管理?運営に関する事項 ⇒ 該当する地方自治団体の条例で規定

2)学校の平生教育実施に伴う開放時間内の該当施設の管理?運営方法:該当する地方自治団体の条例で規定
 地域特性を反映する平生教育実施方法の多様化及び活性化を図る
 学校開放時に発生する事故については、開放時間内、該当施設を管理??運営する市?郡及び
   自治区の賠償責任を明確にしながら、学校の長が安全事故の憂慮などにより、学校開放を
   忌避することを防止しようとする趣旨である
 市・郡及び自治区が学校施設の委託を受け、平生教育プログラムを運営する場合、その運営
   時間内に発生する事故について、平生教育プログラムを運営する間に発生する事故につい
   て「国家賠償法」上の賠償責任を負い、
 被害者は、教務事務の帰属主体である自治団体の長(教育監)と、プログラム運営者である市・
   郡及び自治区の長の、誰にでも「国家賠償法」上の損害責任を請求できる。

(4)参考事項
 学校の平生教育推進方向(中・長期計画)

 導入期(2007〜2008)   地域と共にある学校の運営
 発展期(2009〜2011)   100の地域教育庁支援により事業の発展
 拡散期(2012〜)      すべての地域教育庁支援により事業の拡散

 地域社会の要求に応じる専門化された平生教育プログラムの開発・運営
  ・地域社会問題解決型プログラム(多文化家庭教育、地域社会環境教育)、職務基礎能力(資
   格証課程)、高級人文教養教育、父母役割教育など
 地域教育庁が主管し、地域教育庁別に3〜5の平生教育拠点学校が参与し、学校平生教育プロ
   グラムの運営
 巡回平生教育士制度の運営、平生教育担当教師に対するインセンティブ支援など
 地域教育庁と自治体間の協力及び支援の誘導
  ・地域教育庁を中心に、自治体‐学校との連携の強化
  ・平生学習館、博物館、美術館など、地域平生教育施設と学校との連携強化
   (地域社会の物的資源の連携)


2.学校付設平生教育施設
(1)平生教育法での規定
 平生教育法 
 第30条(学校付設平生教育施設) @各級学校の長は、学生・学父母と地域住民を対象に教養の増進または職業教育のための平生教育施設を設置・運営することができる。平生教育施設を設置する場合、各級学校の長は管轄庁に報告しなければならない。
 A大学の長は、大学生または大学生以外の者を対象に資格取得のための職業教育課程等、多様な平生教育課程を運営することができる。
 B各級学校の施設は、多様な平生教育の実施に便利な形態の構造と設備を備えなければならない。

 平生教育法施行令
 第24条(学校付設平生教育施設の設置報告) 法第30条第1項により、学校付設平生教育施設を設置する各級学校の長は、教育科学技術部令が定める報告書に運営規定を添付し、関連管轄庁に報告しなければならない。報告事項を変更する場合も同様である。

 平生教育法施行規則
 第9条(学校付設平生教育施設の設置報告) 施行令第24条により、学校付設平生教育施設設置報告書は、第8号書式による。

(2)立法趣旨
 学校が持つ人的・物的資源を活用するために学校付設として平生教育施設を設置し、これを通して多様な学生・学父母及び地域住民を対象に平生教育を実施しながら各級学校の平生学習場化を促進し、開かれた教育社会の具現に寄与する。

(3)解説
 1)各級学校が平生教育施設を設置?運営しながら、学校開放及び平生教育活性化に対する努力を傾注
 各級学校は、該当学校の教育環境及び特性を考慮し、地域住民のための各種平生教育を実施
   しながら、平生教育活性化に努める。
 各級学校新築時、地域実情に適合する'地域社会教室'新築など、多様な平生教育実施に便利な
  構造と設備を備えるよう努める。

 2)各級学校付設平生教育施設の設置
 設置節次:管轄官庁への報告制
 設置対象:初・中等学校の場合でも法的に設置可能であるが、現在は、大学または専門大学付設平生(社会)教育院を主に運営されている。
 
 3)大学における平生教育課程の運営
 大学は、大学生または大学生以外の者、特に成人を対象とする時間制登録、資格取得のための職業教育課程、公開講座など多様な学位及び非学位課程の平生教育課程を運営し、平生学習の機会拡大に努めるようにする。
  (平生教育振興院『平生教育法改正解説資料』、2008年5月、pp.134‐139より)


3.ナムムン初等学校付設平生学習院

2007年度より、学校を開放し、地域住民の平生学習を広報
2008年度より、韓国教育開発院から拠点学校として指定されている。
同時に、東ネ教育庁から研究学校として指定され、地域の平生学習を増進
児童の教育課程運営と、平生学習がかみ合っていけば、未来社会が要求する平生学習学校と
 して生まれ変われると確信している。
 
平生教育研究学校の運営目的
・放課後学校が成功的に定着し、放課後学校の活性化に向け、正規教育課程外の学習活動
 に対する条件が構築されている。
・よって、平生教育研究学校運営に人的、物的、財政的支援を合理的、革新的に動員すること
 において、平生学習の中心的機能を遂行し、地域学習共同体構築に向け、地域拠点学校
 としてのブランド化されたモデルの定立をしようとするものである。
・平生教育研究学校運営の具体的な目的は、次のようである。
    第一に、学校が学父母及び地域住民のための平生教育の機会を提供できる効率的な条件
     を整備する。
    第二に、需要者に合わせた多様で有用なプログラムを開発、運営しながら、地域学習共同体
     を構築することと同時に、底辺拡大のために、地域の拠点学校として平生教育の発展的な
     教育体制を具現する。
   第三に、学父母と地域住民のための平生教育活性化に向け、学父母と地域住民の子どもの
     教育に対する素養向上、資格の取得、趣味、教養、余暇善用を通した健全な価値観の定
     立、教育福祉の実現だけでなく、地域、家庭、学校との有機的な関係を強くする。

組織及び業務
 ・指導機関
  ‐釜山広域市教育庁、釜山広域市東ネ教育庁奨学士、釜山広域市教育研究情報院研究士、
   東儀大学校教授、釜山広域市学父母教育院課長
 ・協調機関
  ‐韓国教育開発院、釜山広域市蓮堤区庁、釜山広域市巨堤1洞住民自治センター、釜山広
   域市学父母教育院
 ・分科
  ‐企画・運営分科、予算調整及び研修分科、課題収集開発分科、課題実行分科、広報及び
   環境整備分科、評価検証分科
  
プログラム
  ‐APT(Active Parenting Training:積極的父母役割教育)、Story-Telling&生活英語、リコーダー、読書・論述教室、コンピューター教室、童話口演、美術治療、スワロブスキー、老人福祉士、ダンススポーツ、合唱教室、ヨガ、中国語、健康料理、韓紙工芸、ビーズ工芸、生活体育教室 (2008年6月1日〜8月31日までのプログラム)

【参考】
 「ナムムン初等学校」ホームページ:2008年7月23日号「学校新聞」に掲載された訪問記事
 『「日本 福岡社会教育研究会 本校訪問」 
 7月21日(月)、日本福岡地方団体の教育関係者15名のお客様がナムムン平生学習院の運営視察のために、本校の平生教育現場を訪問されました。韓国と日本の平生教育を比較しながら、さらに活性化させることができる貴重な時間となりました。』 (肥後耕生・提供)

ナヌムン初等学校附設平生学習院・コンピューター教室(20080721)
 写真移動



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(9)韓国の住民自治センター・小地域の平生学習の動き(記録・小林文人)
   −第48回社会教育研究全国集会・第18分科会(2008年8月24日、北海学園大学)
    
報告:キム・ナムソン(韓国平生教育学会長、大邱大学校教授) 
    ヤン・ビョンチャン(韓国平生教育連合会事務総長、公州大学校教授)
通訳:李 正連(名古屋大学)
記録:小林文人(TOAFAEC)

はじめに:
 2008年・社会教育研究全国集会「自治と連帯を築く小地域の活動(自治公民館など)」分科会には、韓国訪日団の主要メンバーが参加された(8月24日)。分科会では、札幌・横浜そして沖縄(竹富島)等に関する報告と関連して、いま活発に動いている韓国の住民自治センターや小地域(マウル)の平生学習について、特別にお話を伺うことができた。主に、キム・ナムソン氏が発言され、ヤン・ビョンチャン氏が補足された。テープにとる用意がなく、不充分な記録(数字等についてとくに確認が必要)であるが、貴重なお話なので、その概略と質疑応答の要点を採録しておく。(文責・小林)

1,地方自治体と住民自治センター:
 韓国は、特別市(1)、広域市(6)、道(8)、特別自治道(1)、合計16の市・道から成り、基礎自治団体237(市・郡・自治区)、その下部行政組織として約3500の邑・面・洞(ウン・ミョン・ドン)がある。従来の地方行政の末端組織(事務所)であった邑・面・洞は、1999年前後から「住民自治センター」としての転換が進められたきた。現在、約90%に住民自治センターが設置され、行政末端サービスの機能とともに、住民自治の拠点としての役割も担うようになってきている。
2,住民自治委員会:
 各センターには住民自治組織として20〜25人の「住民自治委員会」がおかれている。地域の有識者、企業、自営業、ボランテイア団体など各層から構成され、年令構成は20代〜60才代にわたる。農村部は若い世代(青年)は多くない。この委員会は、住民自治センターの運営について審議するとともに、自治活動や地域づくりの活動を担い、とくに住民のための平生学習プログラムを推進する方向がめざされている。利川(リチョン)では住民自治センターを「住民学習センター」と呼んでいる。
3,平生学習都市の施策:
 韓国では2001年より(日本の生涯学習モデル市町村を参考にして)「平生学習都市」選定施策をとり、特別に予算を助成し、基礎自治体・平生学習の積極的な奨励策をとってきた。現在すでに76自治体が選定され、活発な展開をみせている。すべての住民が、いつでもどこでも学習できる都市づくり、のスローガンによって進められているが、官主導の流れがあり、参加者の偏りもある。どちらかといえば余裕のある階層からの参加が多く、平生学習により学校教育の格差を縮小するというより、むしろ格差を拡大・助長する問題が指摘されている。
4,小地域の生涯学習:
 広域の平生教育振興院・情報センターの事業は、一般的に教養・趣味的な講座等の事業に傾斜しがちになる。平生学習を地域に密着して推進していくため、邑・面・洞レベルの平生学習を実践していく方向が求められてきた。さらにその下部地域において、近隣の里や班のつながりによる50世帯前後のマウル(ムラ、集落)ごとに平生学習のリーダー養成が始められている。また、マウル平生学習リーダーとともに、かっての「セマウル(新しいムラ)運動」でつくられた「マウル会館」を活用していく。都市部では団地・マンションの会議室や会館があてられる。マウルのリーダー養成・研修がいま7自治体で積極的に始まっている。これからが注目される。
5,マウル平生学習の新しい展開:
 「ウン・ミョン・ドン」レベルの地域づくりや平生学習から、いま50世帯前後の「マウル」レベルのリーダー養成など小地域での新しい取り組みが提言されている。必要な経費は行政が負担する。その運営方式は、@すべてを住民委員会が取り組む、行政がサポート、A住民委員会が運営するが、行政側から幹事をおく、B先進的な市民団体に委託する、C平生教育法下における平生学習都市と連携する、など4つの方式がみられる。(ヤン・ビョンチャン氏補足。この聞き取りの不充分な点をさらに確認する必要がある。)
6、背景としての地域・住民自治の運動:
 1987年「民主化宣言」を実現するにいたる大規模な社会運動、民主化抗争、国レベルの課題に立ち向かった市民運動は、1990年代以降には、地域に入り、住民自治の運動へと展開していく側面があった。軍事政権と闘ってきた世代的経験や市民意識は、草の根の市民運動として地域課題に取り組み、イデオロギー闘争から脱皮して、住民の生活世界に関わる政策提言を含む地域づくり運動へ、という潮流がみられる。「マウル平生学習」の流れには、このような市民運動の時代的な背景がある。
7,市民運動と平生学習との結合:
 高学歴社会の平生学習だけでなく、低学歴者にとっての学習や生活者にとっての学習保障のためにも、地域に密着した平生学習活動の必要が提言されてきた。さらに、2007年末の平生教育法全面改正により、地方自治体の平生学習への責務がうたわれ、「平生学習都市」施策も自治体・首長の関心を刺激してきている。歴史的には、政府主導の「社会教育」から住民にとっての「平生学習」への発展の流れがあり、それが草の根市民運動の地域的拡がりとリンクするところがある。住民自治・地域づくりと結びつく新しい平生学習の展開が期待される。
 マウル(小地域)レベルの平生学習の取り組みがいま一つの焦点であろう。

第48回社会教育研究全国集会第18分科会ー韓国訪日団:
 左よりキムナムソン、イジョンヨン、パキィンジュ、ヤンビョンチャンなどの諸先生




■<第48回社会教育研究全国集会・第18分科会−「自治と連帯を築く小地域の活動
   (自治公民館など)」に参加して−韓国訪日団による分科会討議の感想
  
                                翻訳:李正連(名古屋大学)

@韓国・大邱大学教授、金南宣(韓国平生教育学会・会長)
1.日本のまちづくり事業全般について大変勉強になりました。
2.札幌の事例を通して、日本のまちづくり事業には自治体別にその地域の特性がいかされて
  いることを知る契機となりました。
3.日本のまちづくり事業と韓国のまちづくり事業を比較することができました。全体的に非常に
  有益な討論の場でした。

A韓国・公州大学教授、梁炳賛(韓国平生教育総連合会・事務総長)
 韓国から参りました梁炳賛(ヤン・ビョンチャン)と申します。昨年に続き、今年も自治公民館分科会に参加しました。近年、韓国のマウル(村=小さな地域)共同体運動において住民教育の重要性が強調されており、様々な事例も出ています。韓国は日本とは違って小さな地域に拠点施設を持っておらず、困難な点もありますが、いくつか地域内住民の活動を中心とした教育プログラムや事業が進められています。とくに地域課題の多い農村の過疎地域や都市の貧困地域の場合、地域内の多様な主体による地域共同体の再生に対する関心が高まっていますが、このとき活発なコミュニティ活動のために生涯学習の役割が強調されています。
 昨年の分科会では韓国の事例と比較しながら小さな地域の事例を学ぶことができました。昨年に比べて、今年は都市地域のコミュニティ・センターやケアセンターを中心とする多少大きい規模の地域が主に議論されました。これは、韓国の住民自治センターや総合社会福祉館において行われている活動や組織等に類似しています。その推進組織の問題、専門性の問題、地域団体、市民団体等との関係等が同様にみられます。
 このような類似性から、両国相互の地域教育共同体に対する調査及び研究を通して、自国の社会教育的課題を解決することができるのではないかと思われます。



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