恋塚正隆の連載コラム

【連載】バックアップの真実
第2回 「ストレージガバナンスとは」

これまで9回にわたって「クライアント・バックアップ」というテーマでメルマガを続けてきましたが、前回の第9号メルマガの前振りに引き続き、いよいよ「ストレージガバナンス」というちょっと堅い話に突入です。ちょっと堅い、わかりにくい、この言葉の持つ意味は世の中で定着してはいません。このテーマは今年の1月25日、26日に開催された「第6回JDSFデータストレージWORLD」のテーマとしても取り上げましたが、ハッキリ言って消化不良の状態です。JDSFとしても活動をストレージシステムそのものから、ビジネスの中のストレージシステムのあり方を考える方向に切り替えていきたいという思いがありますが、ストレージガバナンスという言葉は、ビジネスの中のストレージシステムのあり方を考えていこうというビジネス戦略と強く結びついた言葉です。

しかし、その言葉が意味するところがハッキリとしていないので、これから連載するメルマガの中で皆さんと一緒に考えていきます。

難しい話になる前にどうしてガバナンスが求められるのか考えます。私の家のIT環境は、ブロードバンド、無線LAN、3台のPC、フラットベッドスキャナ、連続ドキュメントスキャナ、プリンタ、コピー機、デジタルカメラ2台等から成り立っていますが、この環境をガバナンスするのは簡単です。奥さんが、ダメ、無駄だ、お金がない、用が足りている、これまで幾らお金を使ったんだ、どのくらい役に立っているんだ、と"ひとこと"言うだけで即決。議論の余地はほとんどありません。相談する相手が少ないので非常に短時間で話が片付いてしまいます。この「ダメ」「無駄だ」と言われるといろいろと沢山の言い訳を言わないといけませんが、ほとんどの場合、却下になります。ビジネスでも同じことが起こっています。ガバナンスが必要な理由は、この「ダメ」「無駄だ」から始まる評価指標を確立しておき、沢山の利害関係者を納得させるためです。家庭では評価指標の要素が非常に少ないので、即決、口を挟む余地がない、ということになりますが、ビジネスでは非 常に沢山の要素が発生してくるので簡単にことは収まりません。

このように理解してしまうと奥さんの言うことにも何となく納得させられてしまうところが、会社勤めをしている私の(そして皆さんの)弱いところです。奥さんに何と言って納得してもらうかは秘密ですが、ITガバナンスの5つのドメイン、「戦略との整合性」「価値の提供」「資源の管理」「リスクの管理」「成果の測定」は奥さんを説得する上でも重要なキーワードになります。この5つのドメインは、米国ITガバナンス協会(http://www.itgi.org/ 日本ITガバナンス協会はhttp://www.itgi.jp/)が提唱しているコンセプトですが、こういう考え方でストレージシステムのガバナンスを考えていくことは同じ指標をビジネスとITが共有する 上では非常に重要だと思います。ストレージガバナンスはITガバナンスの一部として議論されていますが、ストレージシステムがビジネスの中で金額的にも、役割的にも非常に大きな部分を占めるようになったので、このストレージガバナンスに絞り、ストレージの大きなテーマを幾つか選んで、これら評価指標を具体的に検討していきます。

さて、ストレージガバナンスを意識して進めるべき大きなテーマとして、次の6つのテーマをこれからメルマガで連載しますが、みなさんのご意見も伺えれば幸いです。 (ご意見はこちらまで:mm_info@jdsf.gr.jp)

・ILM (Infomation Lifecycle Management)
・コンプライアンス
・仮想化
・アーカイブ
・ディザスタリカバリ
・CDP (Continuous Data Protection)




DSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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