ールマガジン掲載記事

仮想サーバのバックアップについてのユーザーからのアドバイス

著者 Rich Friedman
Storage Magazine 2008年12月号より


2008年9月にラスベガスで開催された、仮想化に関するカンファレンスのVMWORLDで、SymantecはVMwareのサーバのバックアップをどうやっているか、無作為に選んだ来場者からアンケートをとった。Symantecのストレージ・可用性マネジメント・グループのディレクターであるSean Derrington氏によれば、回答者は127名だけでサンプル数が少なすぎるが、結果は統計的に有意であると言う。そして、事例としても、アンケートで集まった情報は興味深い。

回答者の41%はサーバを保護するのに2種類以上のバックアップソリューションを使っていた。VMwareのシニア・プロダクトマーケティング・マネージャーのJon Bock氏は、次のように述べている。「仮想化環境では、イメージレベルのバックアップでシステム・データを守り、ファイルレベルのバックアップでアプリケーションとユーザー・データを守っているユーザが一般的です。」

Bock氏は、多くの顧客が既製のバックアップ・ツールを仮想環境に適したツールで補完していることを付け加えた。「そのツールとはVMware Consolidated Backupを使い、仮想マシンを仮想化サーバに直接リストアすることができ、仮想マシンが特定の物理サーバに紐づけられていないことを理解している。」

回答者の57%はバックアップを2種類必要としていた。1つは個々のファイル用、もう1つはイメージ用である。しかし、米国アトランタのTLC Laser Eye Centersの技術サービス・ディレクターのRoger Mcilmoyle氏はそれに反論する。彼のチームはMicrosoft SQL ServerおよびExchangeのオープンファイル・エージェントを使った標準的なバックアップしか行っていない。

「私たちの環境は完全に仮想化されているので、異なるバックアップ手法を2つも持つ意味がない」とRoger氏は述べる。

だが、Bock氏は物理環境と仮想環境で2つのバックアップ手法を用いるのが一般的であると述べている。「オペレーティング・システムとアプリケーションはユーザーの作成するデータほど頻繁に変更されない。だから通常、物理環境と仮想環境では異なるバックアップ・プロセスを用いる。」さらに彼は、イメージレベルのバックアップとともにファイルレベルとイメージレベル両方のリストアを行う製品を販売するベンダーも現れたと指摘している。

回答者の3分の1近くは、仮想環境でのバックアップ成功率は60%以下であると回答している。そんな中、米国カリフォルニア州ロモランドのAffordable Internet Services Online Inc.(AISO)のシステム・ネットワーク管理者であるSteven Craig氏は、同社のバックアップ成功率は「極めて高い」という。AISOは基本的にNetAppのファイラーで定期的にNFSのデータ・ストアのスナップショットを実行している。Craig氏によれば、「一度設定すればそれほど難しくない。後は自動でやってくれる」という。

Lara H. Baker氏はアンカレッジに本拠を置く、データ管理ホスティングのプロバイダーであるSequestered Solutions Alaska LLCのCTOである。彼女によれば、同社のバックアップ成功率は1つの例外を除いて80%以上である。その例外とはMicrosoft Exchange 2007である。Exchange 2007のバックアップは、簡単で正確にできるものもあるが、いつも問題が起こるものもある。「あるお客様がインストールしたExchange 2007のせいで、『なぜ昨晩の(Exchangeの)バックアップは失敗したか?』という質問で始まる会議が毎日のように行われたことがあった。」と彼女は言う。

店頭販売型エネルギー証券会社でヒューストンのGFI Group Inc.の一部門であるAmerex Brokers LLCのCIOであるBrian Trudeau氏は、次のように語る。「VMwareサーバで当社の基幹業務アプリケーション(SQL ServerとExchange)のホスティングを始めたら、まずは何ができて何ができないかを把握しなければならなかった。マイクロソフトにVMwareを使っていることを言うと、彼らは多くの問題点を述べるだろう。」

回答者が語った仮想サーバ上の基幹業務アプリケーションに高い可用性と障害回復機能を持たせる際の一番の課題は、物理環境と仮想環境で異なるツールを管理するのは複雑で、コストもかかるということだった。現在、TLC Laser Eye Centersのストレージ環境はほぼ100%仮想化されているが、Mcilmoyle氏は「当社の障害回復力と事業継続性は大きく向上した。それは仮想化によって物理環境では不可能な障害回復のための階層を増やすことができたためである。最も顕著な効果は、ハードウェア・リソースを過剰に購入することを管理し、仮想化を使用したどの物理プラットフォームにもリカバリが可能となるようにハードウエア層を抽象化することができたことだ。」と語っている。


(完)

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