恋塚正隆の連載コラム

【連載】バックアップの真実
第5回 「クライアント・バックアップ」

-クライアント・バックアップはここがちょっとやっかい-

もう古い話題になってしまいましたが、Google Mapsサービスを使ったことがありますか。具体的に何に役に立つのか、と言われると困ってしまうのですが、このサービスがリリースされてしばらくは、このサービスにはまってしまいました。まず探してみたのは自分の家です。GoogleMapsは衛星写真と連動しているので自分の家を衛星写真で見ることができます。屋根の色が周りと違うので自分の家はすぐにわかりましたが、車庫の色が隣の家の色と混じって区別が付かなかったのが、なぜか”くやしい”と感じてしまったのはどうしてでしょうか。車で走っていると道路から見える部分しか様子がわかりませんが、画面をスクロールしていつも走っている道を衛星写真でトレースしてみると、”ああ、こうなっているんだ”と感動してしまいました。どうも衛星地図サービスは感動を提供するサービスのようです。家族や親戚にもこんなサービスがあることを伝えると、例外なくみんながこのサービスに”はまって”しまいました。はまった人たちから更にその会社の人たちへとあっという間に感動が伝染しましたが、自分の身近にある一連の住所をすべて検索し終わると感動も急速に冷めていったようです。

これとは違い、地図サービスのマピオンが提供する「ここでねマピオン」は秀逸です。行き先、落ち合う場所を地図上で正確にアイコンを使って示すことが出来るのです。地図のURLと一緒に連各メモも一緒に送れるので、誰かと知らない場所で落ち合うときには、これで場所を正確に連絡出来て安心便利。もう皆さんはとっくに知っていたかも知れませんが、次から次に無料の便利なサービスが出てくるのにはビックリします。

自分の家のパソコンも会社のパソコンもこんなガラクタURLと役に立つかどうかわからない(少なくとも自分では役に立つと思っている)情報が山のように蓄積されています。なぜこんなものがPCに入っているんだと言われると必要そうだったからとしか言えないものもありますが、これが結構役に立っているんだというものが多いのも”ちょっと”自慢。時々ふっと思ってバックアップしますが、これで良いのかと言われると”良くない”としか言えません。

このようなデータは殆どいつでも持ち歩いているのですが、いつも使っているクライアントPCはいつも動いているわけではないのでシステマティックなバックアップをすることが出来ない、難しいのが大きな問題です。デスクトップPC兼用でノートPCを使っている場合は、バックアップのためにネットワークに接続している時間も少ないのでバックアップするタイミングも難しくなります。前にもお話ししたかも知れませんが、バックアップは非常にディスクとCPUを使うタスクなのでバックアップ中に仕事をするとレスポンスが非常に悪い非能率な仕事になります。このような問題点を解決するために、クライアントPCのバックアップには差分のみをバックアップする方式が採用されている製品が多くなっています。バックアップするデータ量を最小限に減らし、バックアップするタイミングもユーザが自由に設定、起動することができるのでユーザの自由度は非常に高くなっています。当然、データ・リストアもユーザが自由にいつでも行えるのでシステム管理者から見ても非常に便利なものです。

このようなバックアップ方式は何人がいつバックアップを起動するのかが全くわからないので、テープ・バックアップのように限られたテープとテープドライブ装置を使用したテープ・バックアップ方式では対応ができなくなります。テープの代わりにディスクを使うと、ディスクはランダム・アクセスが可能なので任意のタイミングで起動される沢山のクライアントPCのバックアップに容易に対応することができます。差分のみをバックアップするということは、もし、ユーザがあるディレクトリ以下のファイル全部を二日前の状態に戻したいという時には、過去何週間、何ヶ月前のものを含めて沢山のバックアップの断片をかき集める必要があります。このような要求が一日に何件もあるとテープ・バックアップではテープに大変な負荷がかかってしまいますが、ディスクはそのランダムアクセス性能のおかげで、難なく要求を処理することが可能です。

最近、テープに代わってディスクを使用したディスク・バックアップが注目されていますが、ディスクを使うと、このような任意のタイミングで多重に起動されるバックアップやリストアのタスクを容易に処理することが出来るのがディスク・バックアップの最大のメリットの一つだと思います。テープ単体のスループットは近年、非常に高速になっていますが、「バックアップのスループット」というのが問題になるとき、「テープのスループット=バックアップのスループット」ではないのは多くの人が気づいていると思います。クライアントPCバックアップのように沢山の比較的に低速なバックアップ・ジョブが大量起動されるような環境ではテープは全く使い物にならないといっても過言ではありません。シリアライズされた低速バックアップでは高速テープが泣いてしまいますからね。そうそう、私がバックアップに関連して工夫していることは、ディスクをパーティショニングして、各ドライブにおくデータを明確に分けていることです。会社で使うPCは40Gバイトか80Gバイトのディスクで十分だと思いますが、これでも沢山のPCが集まると相当な量になります。ドライブ毎にそこに置くデータを分類しておけば絶対にバックアップするデータの量は激減するので、バックアップ先のデータ容量に苦労することが減ります。家の中を整理整頓して荷物を減らしましょう、というテレビ番組と同じになってしまいました。。。。。



JDSF データ・マネジメント・ソリューション部会
株式会社エクサ 恋塚 正隆
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