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  教育基本法 (訳:林 郁慧)
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          *終身学習法

                   中華民國八十八年(一九九九年)六月二十三日
                   總統(八八)華總一義字第8800142730号
                   制定公布全文十七条
                  
第1条 
 本基本法は、人民の学習と教育を受ける権利を保障し、教育の基本方針を定めて、健全な教育体制を確立することを目的として制定するものである。

第2条
 人民は教育権の主体である。
 教育は、健全な人格、民主素養、法律観念、人文精神及び健康な身体及び思考、判断と創造の能力を培養し、又基本的人権の尊重、自然環境の保護、異なる国々・民族・性別・宗教・文化への理解を促進し、国家意識と国際的視野を持つ現代的国民の育成を目的としている。
この目的を達成するため、国家、教育機関、教師、親は、互いに協力の責任を負わなければならない。

第3条 
 教育は、孔子教育理念に則し、人文精神と科学的方法で人間的価値を尊重し、個人の能力の開発に努め、団体精神を養い、個人の自己実現を促すことにある。

第4条 
 人民の教育を受ける機会は、性別、年齢、能力、地域、民族、宗教、信仰、政治理念、社会地位及び他の条件等を問わず、全て平等である。原住民、障害者及びその他 の教育に関しては、自主性と特殊性を考量し、他の法律により特別にこれ保障し、またその発展を援助する。

第5条 
 各級政府は、教育経費を確認し、教育資源を合理的に配分し運用しなければならない。辺鄙と特殊な地域の教育に関しては優先的に補助すべきである。

第6条
 教育は、中立の原則を守るものである。学校は、特定の政治団体や宗教信仰宣伝の場所になってはならない。教育行政機関及び学校では、その職員、教師、学生を強制 的に政治団体や宗教活動に参加させることを禁止する。

第7条 
 人民は教育の目的により学校を設置する自由がある。個人と民間団体の教育事業に対し、政府は法律に従って必要な援助や経費補助を提供し、財務を監督する。貢献者には奨励するべきである。
 政府は、私立学校の促進を図るため公立学校を個人事業に委託することができる。その方法については、当該教育行政機関がこれを定めるものとする。

第8条 
 教育職員の職務及び給料、研究・研修などの権利、法律で定められた教師の専業的自主性を重んじること。
 国家は、学生の学習権と教育権を保障しなければならない。
 国民教育の期間内は、親は子どもを教育する義務があり、子どもの受ける教育方法と内容を選択するとともに、学校教育事務に参加する権利がある。
学校は、各級政府の監督の以下、地域発展の需要と連携し、良質の学習環境を提供するべきである。

第9条 
 中央政府の教育権限を以下に示す:
一、教育制度を制定する。
二、地方教育事務を適切に監督する。
三、全国的な教育事務を執行し、各地方教育の発展に協力、協調する。
四、中央教育経費の分配と補助を行う。
五、国立学校と他の教育機関を設置する。
六、教育統計、評価及び政策研究を行う。
七、教育事務と国際交流を促進する。
八、憲法に則した教育事業、教育人員、少数民族等の教育事項を奨励、提供し、その発展を促進する。
 以上に挙げた以外の他の項目で、法律で別の規定がある以外は、その権限は地方に属する。

第10条 
 直轄市及び県(市)政府は、教育審議委員会を設置し、定期的に会議を開いて、教育事務の審議、諮問、協調、評価などを負わなければならない。
 前委員会は、教育専門家、保護者会、教師会、教師、社区、少数民族群、教育と学校行政人員の代表などで構成される。その設置方法は、直轄市、県(市)政府によりこれを定める。

第11条
 国民基礎教育は、社会の発展により年数の延長をすることができる。実施方法は別途で定める。
 前述した学校の編成は、「小班小校」を原則とすべきである。中央教育行政機関は健全なプランを作成し、各学校に必要な協力を提供しなければならない。

第12条
 国家は、現代化に応じた教育制度を設立し、学校と各種教育機関の普及を目指し、学校教育を重んじ、家庭教育と社会教育の結合とバランスの発展を図り、終身教育を促進し、国民と社会の需要を満たすことに努めなければならない。

第13条
 教育の資質を高め、教育の発展を促進するため、政府と民間は、必要があれば教育の実験を進行し、また教育研究と評価を強化しなければならない。

第14条
 人民は、学力鑑定を請求する権利がある。学力鑑定は、各主管教育行政機関が指定している学校や教育試験機関で行わる。

第15条
 教師の専業自主権と学生の学習権が、学校や主管教育行政機関で不正に侵害される場合は、政府は法律によりその当事者もしくは代理人に対し、有効で公平な方法を提供しなければならない。

第16条
 この法律の規定により、関連教育法令の修正・廃止・設置を行うべきである。

第17条
 この法律は、公布の日から施行する。

                             
訳:林 郁慧(九州大学大学院修士課程修了)
TOAFAEC『東アジア社会教育研究』第5号(2000年)所収



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